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2018.8.8

デザイン思考のプロセスや注意すべき点とは?

デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す「デザイン思考」。GoogleやAppleも取り入れている手法であり、イノベーションを起こすためには必要不可欠だとも言われています。
では、デザイン思考はどのように実践すれば良いのでしょうか。今回は「デザイン思考のプロセスや注意すべき点」について紹介していきます。

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デザイン思考の5段階

まず、デザイン思考のプロセスについて解説していきます。アメリカのハーバード大学デザイン研究所(The Harvard Graduate School of Design(GSD))のハッソ・プラットナー教授が提唱した『デザイン思考の5段階』によると、デザイン思考とは、①共感、②定義、③創造、④プロトタイプ、⑤検証の順序で実現されます。

共感(Empathize)

デザイン思考はまず、ターゲットを観察するところからスタートします。既存の製品やサービスをユーザーがどのように利用し、またどのような不満を抱いているのかを徹底的に調べ、常にユーザー視点に立ちながら彼らのことをよく理解する必要があります。

ここで大事なのはターゲット目線で考えるということです。具体的にはユーザーインタビューやユーザーテストを繰り返し、コンセプトやアイデアの精度を上げていきます。ユーザーインタビューは、ただ話を聞くだけではなく、相手も自覚していない課題を引き出してあげることが重要です。解決するべき課題を特定するためにも、事前準備はきちんとしておきましょう。

定義(Define)

ターゲットを観察し、ユーザー視点で捉えられたことから、何が問題・課題なのかを定義していきます。ユーザーが求めていることは何か、彼らにとってのニーズとは何かという問いから、問題・課題へと落とし込んでいきます。

その際、そもそもの観察対象であるターゲット自体が違っていたのではないかという、根本的な軌道修正を行うこともあるため、最終的なゴールがブレないよう、定義はしっかりとしておくべきです。

創造(Ideate)

ターゲットが抱える問題・課題の定義にまつわる解決策を創造していきます。良質に越したことはありませんが、ここではハイクオリティなものを出していくというよりも、思いつく限りたくさんのアイデアを出していくことが重要です。

発散したアイデアを検証する際は、仮説をより具体的にしましょう。たとえば、ブレインストーミングでは、他人のアイデアに乗っかりながら新しいアイデアにたどり着くために、グループの相互作用にテコ入れを行うことがあります。制約を加えることや刺激を与えてくれる材料を身の回りに用意すると、よりスムーズな創造が可能となります。

プロトタイプ(Prototype)

アイデアを検証するためにプロトタイプを作成しましょう。実際に作成すると、アイデアをより具体化することができイメージが湧きやすくなります。

あくまで試作の段階なので、身近にあるような簡易的なもの(紙コップや割り箸、ダンボール)を活用しても構いません。

検証(Test)

試作が完成したら、ターゲットユーザーに向けた検証および改善を行います。

トライアンドエラーをひたすら繰り返しながら、最終的にハイクオリティなアウトプットを目指していき、仮説に優先順位をつけながら検証していくことが大切です。優先度の高いものから低いものまでバランスよく検証し、改善までのサイクルを早回しすることで精度が上がります。

デザイン思考で注意すべき点

デザイン思考を実践する上で注意すべき点はいくつかあります。

常識にとらわれない

社内や業界だけに目を向けていると、ターゲットの視点に完璧に立つことは難しいです。未発見のニーズやそれに対応したソリューションは、そこにいるほとんどの人が気付いていない可能性があります。その最たる原因として挙げられるのが”常識”です。気付けることにも気付けないような思考が無意識に働いたり、これまでの成功体験だけに固執したりしては、いくらデザイン思考を実践したところで、最終的な検証までたどり着けません。そのため、社内の技術者を対象としたデザイン思考を取り入れたワークショップ、イベントを開催するなど、これまでの常識にとらわれない新しい考え方を養うことが重要となります。

管理者がデザイン思考を理解しているか

日本の大企業には特に多いことですが、イノベーティブな提案が現場から挙っても、それを組織として実際に形に持っていくのは管理者クラスの人です。提案するチームが一方的にブレインストーミングを活用したとて、管理者がデザイン思考を理解できない人材であれば、具現化することはできません。管理者クラスの人間がデザイン思考を体験する工夫をしたり、社内全体でデザイン思考に向けた足並みを確かに揃えたりすることが大切です。

観察と共感

先に述べたとおり、デザイン思考を実践するためには、ターゲットの観察を十分に行うことが重要です。観察を行わずしてアイデア創出だけを行っても意味はありません。ユーザーの日常生活におけるさまざまな経験を見つけ出し、ユーザーの置かれている状況を自分の体験してみることで、これまで見えなかった新しい視点に立つことができます。したがって、デザイン思考を実践する際のプロセスの中で、ユーザーの観察と共感がなければ、クオリティの高い成果を生み出すことは不可能です。

デザイン思考の現状

近年、国内でもデザイン思考という言葉は広く浸透しており、さまざまな企業において実践されています。しかし、実際にデザイン思考を導入している企業は未だ少数派で、言葉や考え方だけが広まる傍ら、海外と比べるとデザイン思考の導入はまだまだのようです。

クリエイター採用のWebサービス「ViViViT」を展開するビビビットは、全国の企業を対象に「デザイン経営」と「デザイン思考」に関する意識調査をインターネット上で実施したところ、「デザイン経営」「デザイン思考」を導入している企業は全体で15%未満という結果となりました。

また、日本の大学でもデザイン思考について学ぶことができますが、世界のデザインスクールとして上位にランクインしている大学の中に、日本の大学は見受けられません。

このように、デザイン思考を取り入れてもなかなか定着しないというのが現状のようです。

デザイン思考の失敗事例

いざデザイン思考を導入したところで、失敗に終わってしまうというケースも少なくありません。ここでは、デザイン部門、事業部門、研究開発部門ごとにおける、デザイン思考導入プロセスの失敗について触れていきます。

デザイン部門

一般的な企業において、デザイン思考を導入する際のプロセスについては注意が必要です。

「デザイン思考=デザイナーの方法論」と捉える経営者も多く、デザイン思考に関することはすべてデザイナーに任せれば大丈夫と期待してしまうこともあります。

デザイン思考を導入する際、デザイン部門をプロジェクトリーダーに置き、事業部門や、セールス、広告部門をまたがるプロジェクトチームが編成されることが多くなっています。しかし、短期的な数字を担っている事業部門の意思決定を変えるのは難しく、事業部門の力が強ければ、既存の市場環境の中でどうやって競合との差別化をするかという議論に発展します。

結果的にデザイン部門は、デザイン思考の表面的な理解すら得られず不完全燃焼のままプロジェクトを終えることとなり、デザイン思考を実践するモチベーションを失ってしまう可能性が高くなります。

事業部門

事業部門やプロダクト担当チームが中心となってデザイン思考の導入を進める際、事業部門での導入はすでに検討済みのアイデアやコンセプトを実現する権限を与えられることもあり、製品ないしひサービスを具体化できることに期待されます。

しかし、デザイン思考導入のアプローチは、2〜3日の研修やセミナーといった方法論とフレームワークを理解することを目的に進められることも多く、実際のプロジェクトではなかなか実践することができません。

結果的に、既存の視点や枠組みに捉われたままで、既視感のあるアイデアばかりが残ってしまい、変化を生み出せないままプロジェクトが終了することもあります。導入したはいいものの、結局使いものにならなかったと、評価が下がってしまう可能性もあるようです。

研究開発部門

研究開発部門でデザイン思考を導入する際、技術進化や実現可能性といった部分に重点を置いてしまい、生活者のライフスタイルの中でどのように利用されるのか、どのような意味をもたらすのかを具体的にイメージしにくくなってしまいます。デザイン思考で大切な「共感」の部分が消えてしまい、そうなるとデザイン思考の導入は進みません。

デザイン思考を導入すると、既存の業務範囲を超えて、フィールドワークやユーザーインタビュー、リサーチなど、外出を介した新しいタスクが求められることもあります。そういったことに関して、プロジェクト開始以前から十分な納得ができていないと、「自分たちの仕事じゃないのに」といった不満を感じ、プロジェクトメンバー同士の関係性も危ぶまれるかもしれません。

まとめ

デザイン思考は、共感・定義・創造・プロトタイプ・検証の5段階があって実践できるものであり、逆に言うとそれら一つでも欠けてしまえば、デザイン思考とは呼べません。
これまで国内外問わず、デザイン思考を実践してヒット商品を世に出してきた企業は数多く存在します。しかし、そうした企業も幾度となくトライアンドエラーを繰り返し、ユーザーが何を求めているのかというニーズを入念に察知してきたからこそ成功に至っています。
顧客のニーズがますます多様化している現代において、今後新しい分野で活躍したいと考えている方は、ぜひこのデザイン思考を活かしたマインドを取り入れてみてください。

引用

  1. 5 Stages in the Design Thinking Process | Interaction Design Foundation
  2. デザイン思考とは何か、なぜ必要か 「社内に浸透」わずか5%:日経クロス …
  3. デザイン思考 5 つのステップ

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