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2020.1.22

2018年上半期に注目されたM&A事例をご紹介します

2018年上半期に注目されたM&A事例をご紹介します

近年、国内外で多く活用されているM&A。複数以上の企業がお互いの利益のために協力しながら行うものであり、業務提携、資本提携、分割、買収、合併などの5つの形態があります。

※画像出典:グラフで見るM&A動向 – MARR Online

2000年代に突入して以降、国内でもM&Aを活用する事例が増えてきました。2008年のリーマン・ショックをきっかけに一時低迷したものの、2012年頃から再び上昇。現在、大手企業だけでも毎月数十以上のペースで企業同士の合併・買収が行われており、中小企業のM&Aは恐らくその倍以上だと言われています。

では、そんなM&A事例には一体どのようなものがあるのでしょうか。そこで今回は、2018年上半期に注目されたM&A事例について4つほどご紹介していきます。以下をご覧ください。

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M&A(merger and acquisition)とは?

そもそもM&Aについて知らない方もいるかと思いますので、まずはM&Aについて解説します。

概要

M&Aとは、”merger and acquisition”の略であり「合併と買収」を意味します。

一般的には企業の合併買収のことで、複数の会社が一つになったり、ある会社が他の会社を買ったりすることです。吸収合併や株式の取得、事業譲渡、会社分割などを指し、広義には合弁会社設立を含めた資本提携や業務提携、OEM提携なども含みます。

目的

近年、国内の企業がM&Aを実施する事例が増えていますが、主な目的として挙げられているのが「事業拡大」「国際競争力をつける」「成長スピードの上昇」の3つとされています。

既存事業をベースに、その領域を拡大させていくためにM&Aを活用し、企業としてさらなる成長へとつないでいく方針があります。また、国内のみならず海外の市場においても競争力を強めるため国際競争力を強化するゴールも見据えられています。それらを通じて、自社独自の力で成長する以上のスピードを得るためには、M&Aを活用しもう一段階上の成長へとつないでいくことが理想とされています。

M&Aのメリット

買い手

買い手企業にとってM&Aを活用することにより、売手企業の既存経営資源を得ることが可能となるため、事業規模の拡大に期待できます。また、新たな事業に手をつけることは、基本的に大きなリスクが伴われますが、既にその事業領域で成功している企業を買収すれば、新規事業参入へのリスクも軽減され、幅広い事業展開を行える余地があります。

売り手

買い手企業がいわゆる優秀な会社であり、世間からの信用力が高い場合、その買い手企業の子会社になることで金融機関からの資金調達が得られやすくなります。他にもM&Aにより会社を売却することで、売り手企業の創業者は事業の現金化を行うことができ、潤沢な資金を手に入れられるなど、資金面においてはかなりのメリットがあります。

デメリット

買い手

M&Aを通じて複数の会社が一つになるため、買い手企業は売り手企業の従業員も抱えることになります。人数が多ければ多いほど、これまで培ってきた社風や従業員の待遇を融合させるのが難しくなり、バランスが保てなくなると、社内の雰囲気悪化につながる恐れもあります。

売り手

売り手企業も同様、M&Aを実施することによって買い手側の社風に馴染めるかがキーポイントとなり、今までと違った経営者や労働状況に動揺する人も少なくはないでしょう。

2018年上半期に注目されたM&A事例4選

次に、2018年上半期に注目されたM&A事例を4つご紹介します。

武田製薬の大型買収

武田薬品工業は2018年5月8日、アイルランドの大手製薬およびバイオテクノロジー企業であるシャイアーを、460億ポンド(約7兆円)で買収することに合意。日本企業としては過去最高額の海外買収案件であり、日本の製薬会社として初めて世界10位以内に入る見通しとなっています。

反対の声が相次ぐ状況

武田製薬が実施したこのM&Aは、社長就任から4年を迎えたクリストフ・ウェバー氏による起死回生策でもありますが、失敗に終わる可能性が高いと指摘される一幕もありました。

もともとイギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインの幹部にいたウェバー氏は、2014年にスカウトされ武田製薬の社長に就任。長谷川閑史前社長は当時、グローバル戦略の強化に力を入れることに期待感を示していましたが、ウェバー氏の就任後、同社の収益の柱であった糖尿病治療薬「アクトス」特許切れにより、会社の規模は縮小する事態に。

また、武田薬品の株価推移を見てみると、シャイアー買収を発表した2018年上半期においてかなり下落しており、巨額買収に不安を隠せない株主が大勢いることは明らかです。

なぜ買収しなければならないのか

では、そんな反対の声が多く寄せられていながらも、なぜシャイアーを買収しなければならないのでしょうか。

武田製薬は上記のアクトスを発表して以来、目立った大型新薬を出せていないのが現実です。10年前の2008年の連結純利益は3,554億円だったのに対し、2018年3月期ではおよそ半分の1,868億円に。このままいくと2019年3月期の純利益は、今年の26%減となる1,390億円になる見込みとなっています。

そんな武田薬品が買収を試みるシャイアーはというと、創業以来、患者数の少ない希少病の治療薬を作ることに特化しており、血友病や注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療薬など、全40種類の薬品を手がけ、世界100カ国以上で販売。2017年12月期の純利益は約43億ドル(4600億円)で、武田薬品を大きく上回る高収益会社となっています。

製薬業界の情報サイトである「Answers News」が発表した「2017年製薬会社世界ランキング」によれば、ドル換算の売上高は武田薬品が19位、シャイアーが20位という結果に。すなわち買収が実現すれば、日本の製薬企業としては初となる世界トップ10入りを果たす可能性も十分あり得ます。それを見据えた”起死回生策”が今回の買収となるわけです。

リクルートのグラスドア

2018年5月9日、リクルートはグラスドアの全株式を12億ドル(約1,340億円)で取得することに合意。株式の取得は2019年3月期第2四半期中の完了を目指し、買収費用はリクルートが保有する現預金で賄う予定です。奇しくも、上記の武田製薬がシャイアー買収に合意した翌日の発表となりました。

グラスドアについて

リクルートが今回買収に合意したグラスドアは、2007年にアメリカのカリフォルニア州ミルバレーで創業された会社であり、求人情報検索サイト「glassdoor.com」を運営し、企業に関する口コミ情報を収集しています。社員数は750名、77万社以上の4,000万を超えるレビューを保有しており、企業評価やCEO評価、給与や福利厚生などの情報を記載しています。

買収を試みた真意とは

今回、リクルートがグラスドア買収を試みた経緯について説明します。

もともとリクルートは2012年9月に、アメリカの求人情報サイト「インディード」を1,000億円で買収した過去があります。インディードは昨年夏頃から、「仕事探しはインディード」のキャッチコピーにより、斎藤工や千鳥などの人気タレントを起用したテレビCMで話題に。”人材募集のGoogle”と呼ばれ、買収後の5年間で年平均約70%の売上高を誇っています。

インディードは、求人サイト、人材派遣会社サイト、企業の採用ページなど、あらゆる求人情報を一箇所に集約するアカウントアグリゲーションが軸となっており、応募者とのマッチングに関して非常に優位性の高いことが、リクルートによる買収の決め手となりました。

求人検索において優位性を誇るインディードですが、完璧なものとは言えません。というのも、ユーザー行動を考えた時、ユーザーはインディードで求人情報を見つけ、その後外部の口コミサイトで求人掲載企業の口コミを見るという行動をとっていました。その口コミサイトこそがグラスドアなのです。インディードにも口コミ機能はありますが、求人情報の検索として利用している人がほとんどです。

つまりリクルートにとって、インディードの求人検索機能とグラスドアの口コミデータベースは補完関係にあり、ユーザーが仕事を探す際にWebで行う行程の全てを網羅できることから、グラスドアの買収に至ったのです。

富士フイルムのゼロックス

2018年1月31日、富士フイルムはアメリカの事務機器大手ゼロックスの株式50.1%を取得し、子会社である富士ゼロックスと経営統合すると発表。これにより、富士ゼロックスの親会社である富士フイルムは、アメリカのゼロックス事業を買い取り、傘下の富士ゼロックスと統合するため、ゼロックスが展開する全ての事業を手に入れることになります。

買収計画に高まる懸念

ところが、この買収計画に懸念を示す声があるようです。ゼロックス大株主であるカール・アイカーン氏は今回の買収に猛反対。同じく大株主のダーウィン・ディーソン氏は2月に差し止めを求めて訴訟を起こしました。アメリカの裁判所は今年4月27日、ディーソン氏の主張を認めて差し止めの判決を下し、ゼロックスは富士フイルムとの合意を破棄。

しかし、富士フイルムはなお買収を進める考えで、訴状でゼロックスの決定を「言語道断」と主張し、裁判を通じて契約履行に迫りました。

撤退の可能性も辞さない状況

富士フイルムの助野社長は、富士ゼロックスとの販売提携の見直しについても言及しており、「提携解消によってダメージが大きいのはゼロックスの方である」と強調しました。その理由として、ゼロックスが使用しているほとんどの複合機を富士ゼロックスから調達しており、代替メーカーを探すのに時間がかかることを挙げています。

提携が解消されれば富士ゼロックスはゼロックスの商標が使えなくなりますが、助野氏は「そんなにダメージがあると思わない」と述べました。ゼロックスと富士ゼロックスは調達や営業地域も含めた技術契約を結んでおり、期限は2021年までですが、ゼロックスは更新しない意向を示しています。

ゼロックス側としても、富士フイルムの2018年4月〜6月期の連結最終利益が、前年同期比35%減の283億円だったことから、買収以後の目処が立たないと傘下に移ることに対する後ろ向きな振る舞いが後を立ちません。今後、富士フイルムとゼロックスの合併が水に流される可能性もゼロではないでしょう。

アドビのマルケト

世界を変えるデジタルエクスペリエンスを提供しているアドビは9月21日、B2B企業向けのマーケティングにおけるクラウドプラットフォームを手掛けるマルケトを、47億5,000万ドル(約5,330万円)で買収することを発表しました。

5,000社ほどの顧客を持つマルケトは、多種多様な業界の企業に対し、プランニングやエンゲージメントなど、統合的なB2B向けのマーケティングプラットフォームとして提供しています。

効果と期待

今回のアドビの買収により、Adobe Experience Cloudが持つアナリティクス、コンテンツ、パーソナライゼーション、広告、コマース機能などが、マルケトのリードマネジメントとアカウントベースのマーケティングテクノロジーと統合され、B2B企業に大規模なマーケティングエンゲージメント作成、管理および実行能力を提供できるようになります。

アドビ社のデジタルエクスペリエンス事業部門担当でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるブラッド レンチャー氏は、「あらゆる業界のマーケターには顧客にふさわしいパーソナライズされた魅力あるエクスペリエンス提供への徹底した注力が求められている。今回の買収により、B2CおよびB2B企業の顧客体験の向上におけるアドビ社のリードが拡大し、Adobe Experience Cloudがすべてのマーケティング活動の中心に据えられることになる」とコメントしています。

今後の展開について

この買収は、許認可取得と一般的な締結条件の充足を前提とし、アドビの2018会計年度第4四半期中(9月から11月まで)の完了を予定しています。

買収完了まで両社は引き続き独立して事業運営を続行し、買収完了後はマルケトのスティーブルーカスCEOがアドビの経営陣に加入。アドビのブラッドレンチャー氏を直属の上司として、アドビのデジタルエクスペリエンス事業の一部となるマルケトチームを率いる予定だそうです。

まとめ

さて、今回は2018年上半期に注目されたM&A事例について解説しました。

国内の企業が海外へと進出する際、その国を傘下にいれるリスクを考慮する必要があります。文化や経営観の違いを含め、買収後の従業員に対するケアやフォローも大切です。

M&Aを活用して成功した企業はこれまでいくつもあります。今後もM&Aの需要はますます高まることでしょう。しかしその分、あらゆる角度から企業戦略を考えていき、確固とした対策を検討していく必要性や責任も十分に伴われていきます。

引用

グラフで見るM&A動向 |MARR Online

M&Aによる企業買収の目的とは | M&A情報広場

M&Aのメリット・デメリットとは | 企業買収の効果 | 事業承継・M&A 山田コンサルティンググループ

武田薬品7兆円買収せざるをえない理由 | プレジデントオンライン

【2017年製薬会社世界ランキング】売上高トップはロシュ ファイザーは2位後退 3位はノバルティス|Answers News

富士フイルムのゼロックス買収 継続か断念かヤマ場迫る |日本経済新聞

リクルートのM&A戦略について | M&A情報広場

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