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2021.6.29

持続的イノベージョン 〜事例紹介〜

持続的イノベージョン 〜事例紹介〜

企業は日々、自社の商品・サービスの機能・性能を向上させるために試行錯誤をしています。

例えば下記のようなものが挙げられます。

・テレビの画質を高画質にする
・電池の持ち時間を長くする
・イヤフォンの音質を向上させる
・自動車の燃費を向上させる

基本的にテレビは映りが綺麗な方が良いですし、電池も持ち時間が長い方が良いです。

顧客の本来求めている機能をより向上させるようなことを「持続的イノベーション」と言います。今回は「持続的イノベーションの事例」をご紹介します。

1.持続的イノベーションとは

持続的イノベーションとは既存顧客のニーズに合わせ、自社製品やサービスの価値を向上させるために継続して生み出されるイノベーション(技術革新)を意味します。

高い付加価値をつけることで他社製品・サービスと差別化を可能にします。日本の製造業やメーカーが得意とする分野で、戦後の日本の高度経済成長を支えたイノベーションでもあります。

2.破壊的イノベーションと持続的イノベーション

⑴破壊的イノベーションとは

持続的イノベーションとよく比較されるものとして「破壊的イノベーション」があります。

「破壊的イノベーション」とは既存事業のルールを破壊し、業界構造を劇的に変化させるイノベーションモデルのことを言います。

代表例としてApple社のiPhoneが挙げられます。

「iPhone」は、携帯電話としての機能に加え、音楽プレイヤーやアプリプラットフォームなどの付加価値が付いた小型コンピューターとして開発されました。

現在はスマートフォンとして当たり前に普及していますが、あらゆるサービスを代替できるiPhoneの付加価値機能は、当初ガラケーを販売していた多くのメーカーにとって脅威となりました。

iPhoneの登場により、既存の二つ折り携帯電話の市場は破壊され、新たなスマートフォン市場に移り変わっていきます。

⑵イノベーションのジレンマ

持続的イノベーションには企業の規模が大きいほど依存しやすいというジレンマがあります。

一つ目はシェアを拡大するたびに、新事業へのチャレンジがしづらくなるというジレンマです。特定事業のシェアが伸びていくと、顧客からのデータや期待が集まるため、企業はその既存事業ばかり重視してしまうことが多くなってしまいます。

もう一つは、市場が成熟するにつれ、消費者が望む性能よりも企業の技術進化が上回るようになり、 過剰供給が生じるというジレンマです。

結果的に、複雑で高価格な製品が市場に溢れ、破壊的イノベーションを採る企業にシェアを明け渡してしまう危険性があります。

大企業の立場に立ってみると、破壊的イノベーションは市場における脅威となるのです。

2.持続的イノベーションの事例

大企業はイノベーションのジレンマに陥り易いと前述しました。

そのように言われる中で顧客のニーズを上手く捉え、持続的イノベーションを成功させている企業についてこの章からご紹介します。

①日産自動車の「eパワー」向け発電エンジン開発

日産自動車は独自のハイブリッド車(HV)技術「eパワー」向け発電専用ガソリンエンジンで、世界最高水準の熱効率50%を実現する技術を開発しました。(2021年3月1日)

この開発によって、現行のeパワー搭載HVと比べ燃費を25%改善できる見込みがあります。

自動車各社は車の生産から廃棄まで、全行程の二酸化炭素排出量を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)での脱炭素に力を入れています。

その中でもeパワーの進化が脱炭素に果たす役割は大きいと考えられています。そして、eパワーが進化することで「燃費が良い車に乗りたい」といった顧客ニーズも満たすことができます。

②ソニーの新型完全ワイヤレスイヤフォン開発

2021年6月、Sony(ソニー)は新型完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」を発表しました。

Sony(ソニー)はApple(アップル)が「AirPods Pro」を発売する半年前に完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM3」を販売し、サウンドとアクティブノイズキャンセリング(ANC)の新しいスタンダードを確立しました。

約2年ぶりに発表されたこの製品は、「WF-1000XM3」に比べ、音質とアクティブノイズキャンセリング(ANC)の両方を向上させたものになります。

また、音質だけでなく、充電ケースが大幅に小さくなっており、フル充電で24時間のバッテリーがもちます。急速充電にも対応しており、5分間の充電で1時間の再生が可能になりました。

ワイヤレスイヤフォンの市場は、2019年の時点ですでに飽和状態でした。また、最近は5000円以下で買える製品はたくさんあります。しかしソニーは、コストを下げる販売方法ではなく、AirPods Proよりも高い値段設定でプレミアムグレードの地位を固めようとしています。

SONY(ソニー)が今回発表した「WF-1000XM4」は、イヤフォンの音質向上やアクティブノイズキャンセリング(ANC)、急速充電への対応が高い付加価値となり、他の完全ワイヤレスイヤフォンとの差別化に成功しています。

このように、顧客の求めている機能をより向上させることで高価格での販売にも成功しています。

③東芝の新世代テレビ開発

TVS REGZA(旧東芝映像ソリューション)は、新開発の映像エンジンとAndroid TVを搭載した、4K有機ELレグザ「X8900K」シリーズを2021年6月下旬より発売します。

出典:“新世代レグザ”誕生、4K120p/Android TV「X8900K」。ZR1エンジン

’20年6月に発売した、4K有機ELレグザ「X8400」シリーズの後継機種で、長年培ってきた高画質処理システムと快適操作が融合した“新世代レグザ”となっています。

製品開発に際して、「有機ELテレビは魅力的だが、リビングに設置した際、部屋にあるものや見ている自分が映り込むのが気になる」「ゲームプレイ時に、反射が映り込むことで、ゲームへの集中が阻害されてしまう」という市場の声が多くありました。

そこで今回はリビングやゲームプレイを意識し、あえて低反射加工を採り入れ、顧客のニーズに応える製品を実現しました。

「既存の製品に顧客の求める機能を搭載して販売する」というこの東芝の事例は、まさに持続的イノベーションの良い例だといえます。

④タニタのヘルスメーターの変遷

タニタがヘルスメーター初号機となる体重計「No.1302」を発売したのは、日本が高度経済成長期に差し掛かった時代でした。

当時の日本では「体重は銭湯の体重計ではかるもの」という考えが一般的でしたが、米国の一般家庭には一家に1台の体重計が使用されていました。

それを知った創業社長の谷田五八士は、日本においても生活レベルの向上と洋風化が進むと考えるとともに、「米国成長の源泉は国民の健康にあるのではないか?日本が成長するためには家庭用の体重計が必要になる」との思いから、体重計を開発、販売を開始しました。

その後、1994年に、「肥満は体重が重いことではなく、脂肪の量が多いこと」という医師の言葉を受けて、世界初となる家庭用の体脂肪計「TBF-501」を発売。1995年に発売した普及版の「TBF-511」はヒット商品となり、日本人に「体脂肪率をはかる」文化が定着していきます。

2020年に「TANITA  4C Technology」を搭載した最新モデル「RD-803L」を発売しました。スマートフォンアプリで計測データを管理できるなど、利便性を高めています。

左右部位別体組成計「RD-803L」(2020年)

出典:タニタ、ヘルスメーターの国内販売が1億台突破。初号機から62年

タニタは、顧客の健康に関する潜在的需要に対して的確なイノベーションを起こし続けてきました。その結果、ヘルスメーターは多くの生活者に愛用されるものとなり、日本の健康レベルを推進する要因となりました。

3.まとめ

今回は、持続的イノベーションの事例として4つの企業についてご紹介しました。

全てに共通して言えることは、日頃から自社の製品をより良いものにするにはどうするべきか考え、顧客の求める最高品質のものを継続的に提供してくれているということでしょう。

顧客が本当に必要としている機能は何であるかを見極め、供給過剰を避けることが持続的イノベーションを起こす要素であるといえます。

 【参考文献】

破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いとは?
https://lifecoordinate.com/skill/1506/

破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いを事例で解説
https://takapi-blog.jp/deisruptive-innovation/#i-3

日産が「eパワー」向け発電エンジンで世界最高水準!熱効率50%実現へhttps://news.yahoo.co.jp/articles/3d48f452386a90885edc5130070f6ee4b3e014a7

ソニーが新型完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」正式発表、さらに小型化・ノイキャン性能向上https://jp.techcrunch.com/2021/06/09/2021-06-08-sonys-best-in-class-noise-cancelling-earbuds-finally-get-a-pricey-upgrade/

持続的イノベーション 成功の法則
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00074/?i_cid=nbpnxr_parent

“新世代レグザ”誕生、4K120p/Android TV「X8900K」。ZR1エンジン
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1326689.html

タニタのヘルスメーターが国内累計販売台数1億台を達成
https://www.agara.co.jp/article/126036

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