2023.12.13

アート思考とは?ビジネス思考との違いと定義について解説

アート思考とは?ビジネス思考との違いと定義について解説

IT技術の発達により日々新しい製品やサービスが生み出されています。そんな中で重要なことの1つは、常識や既存の枠組みにとらわれることなく自身で感じたことをアイデアに反映させることです。今回は、その手助けになる「アート思考」という考え方をご紹介します。

アート思考とは

アート思考とは、既成概念や固定観念にとらわれず、自分の思考や感情から新たな課題を見つけるための思考のことです。

この概念は、イノベーション創発や新規事業開発における、重要なマインドセットとして最近注目されるようになっています。

ロジカル思考、デザイン思考との違い

アート思考は、前述したように目新しい発想を生む考え方で、新規事業開発の場面にも応用できる思考です。アート思考は、しばしばロジカル思考やデザイン思考と比較されることが多いです。そのため、以下ではそれらの内容を確認しながら、アート思考への理解を深めましょう。

ロジカル思考とは?

ロジカル思考とは、物事を整理し、根拠を基に、順番に筋道に沿って結論を出すプロセスのことを指します。

ロジカル思考をするメリットを3つ

  • 全員が納得のいく答えを導き出すことができる
  • より深ぼって考えることができる
  • 物事を筋道立てて考えられるようになるので仕事効率が格段に上昇する

つまり、ロジカル思考はアート思考とは異なり、自分自身で発想するのではなく、今わかっていることを要素分解し、フレームワークに沿って考える手法になります。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、ユーザーのニーズに応じて既存の製品やサービスをさらに進化させる場合に有効な考え方です。ロジカル思考より柔軟な思考法で、アート思考に近い考え方になります。

しかし、アイデアを発想した人の数だけ答えがあるアート思考に対し、デザイン思考をビジネスシーンで活用する場合は、顧客の課題に対応する形で最適解を出す必要があります。

つまり、アート思考とデザイン思考は出発点が異なり、デザイン思考は「課題解決」のことを指しています。

それぞれの違い

それぞれの違いをまとめると以下のようになります。

  • ロジカル思考は「物事を整理し、根拠を基に、順番に筋道に沿って結論を出す考え方」
  • デザイン思考は「社会や顧客の課題解決方法やニーズを満たすものを考える」
  • アート思考は「自分起点で課題を探しそれに対するアプローチを発想する」

ここで大切なのは、アート思考の本質は、「問いを立てる力」であると認識しておくことです。問いを明らかにしなければアイデアがなぜ生まれたかの説明をすることが難しくなってしまいます。

アート思考が重要な理由

ビジネスとアートは一見、関係のないものであると思われがちです。ここからはなぜアート思考がビジネスシーンにおいて必要な考え方であるかついてご説明します。

結論としてビジネスでアート思考が必要な理由は「私たちが生きている現実は論理だけで片付くわけではないから」です。答えがないものに対して正解を追い求めるのではなく、自分なりに新しい発想を浮かべ、その想いをしっかりと言語化することが重要です。

直感的に自分が思ったこと、感じたことに関して

  • どういった場面でそう思うのか
  • なぜそう感じるのか
  • どうすれば解決できるのか

をしっかりと言語化することで、従来の考え方とはまた違った視点から物事を捉えることができます。この考え方を取り入れることで、ビジネスの現場でも幅広い視野を持った人材として活躍できることでしょう。

アート思考の事例

「アート思考」によるビジネス事例として食べるスープの専門店Soup Stock Tokyoをご紹介します。

カウンターでひとり、スープをすすっている女性が思い浮かんだことをきっかけにSoup Stock Tokyoはスタートしました。スープを主食とするライフスタイルが確立されていない状況で、「女性がひとりで気軽に入れるファストフード」という、当時存在しなかった飲食店の形を描き、事業化に成功しました。

Soup Stock Tokyoでは、店舗数や売上などの数字的な業績より、アート思考を活用し、直感的に自分が思ったこと、感じたことが大切であるとされています。Soup Stock Tokyoの代表の遠山氏は、自分自身もアート作品を制作したり、個展を開催したことをきっかけに、「自分の意思や直感」に気が付いたことが、Soup Stock Tokyoの誕生に繋がったと話しています。

新規事業開発におけるアート思考

「アート」には、鑑賞という側面があります。実際に絵画を見て、気づいたこと、それに伴う感情を「言語化して表現する」ことがアート思考の重要なポイントになります。

無意識的に見ていたものを「言語化」することで「今まで気づかなかったことに気づくことができる」ようになります。

こうすることで、今まで気づかなかった切り口や今までうまく表現できなかった自分自身の心情、好き嫌いが明らかになります。こうして、自分の直感・心情を大切にするというアート思考をより深いレベルで実行することができます。

また、言語化することで、はじめてチームのメンバーと正確に情報を交換することができるようになり、他のメンバーとのアイデアと融合することで、新しい視点や仮説につながるきっかけが誕生します。

話し合いを通して得た、新しい視点や仮説から新規事業のアイデアが生み出されるかもしれません。まずは、アートを鑑賞し絵画に対して感じたことを周りの人とシェアするところから始めてみましょう。

まとめ

アート思考は自分起点の発想方法です。周囲の事柄に自分なりの問いを見出すための思考法とも言い換えることができます。効率性を重要視しているビジネスとアートとでは、一見矛盾しているように思われますが、どちらも重要な考え方です。

新規事業開発の場面では特に、新たなアイデアや革新的な変化を生み出す能力が求められてきています。自分起点で答えを探すことのできるアート思考は、今後より重要性が増すと考えられます。

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