2023.12.22

テストマーケティングの代表的な手法と具体的な活用事例を解説!

テストマーケティングの代表的な手法と具体的な活用事例を解説!

テストマーケティングとは、開発された新商品・新サービスを市場に本格的に販売する前に、売れ行きや想定顧客の反応を確認することを意味します。

従来、調査会社への依頼や、リサーチ結果を集計/分析するためのコンサルティング会社へ依頼するには、高い費用が発生していました。

しかし、近年クラウドファンディングなど、低コストでテストマーケティングを行える手法も増加しており、多くの企業がテストマーケティングに注目を集めています。

今回は、そんなテストマーケティングのメリットや手法、具体的な事例を紹介します。

テストマーケティングとは?

前述した通り、テストマーケティングとは、開発された新商品・新サービスを、本格的に市場で販売を行う前に、シミュレーションによる調査やテスト販売を行い、新商品・新サービスの需要を確認する手法です。

テストマーケティングを行う事で、本格的に市場に新商品・新サービスを販売する前に、想定顧客からフィードバックを収集することができ、そのデータを分析することで、商品の改善を行うことや、在庫超過のようなリスクを軽減することが可能です。

テストマーケティングを行う3つのメリット

商品やサービスの客観的な意見を得ることができる

テストマーケティングを行うことで、本格的に商品を量産して市場に販売するかどうかの判断を客観的に行う事が可能です。また、想定顧客からの新商品や新サービスに関するレビューを収集する事で、市場に本格的に販売する前に、商品やサービスの改良を行う事が可能です。

狙うべきターゲット層の明確化

テストマーケティングを行うことで、ターゲット分析を客観的なデータをもとに修正することが可能です。

例えば、F2層 (35歳から49歳の女性)向けに開発された新製品が、クラウドファンディングで販売するとM1層(20歳から34歳までの男性)を中心に購入があった場合、市場に本格的に商品を販売した際に、M1層(20歳から34歳までの男性)にターゲットを変更し、広告戦略、販促活動を行うことが可能です。

販売リスクを抑える

新商品を市場に販売する際、大量生産を行うことで、コストを抑えて販売することが可能です。しかし、大量生産を行い、商品の購入が想定より鈍化してしまった場合、在庫超過となる可能性が高くなります。

テストマーケティングを行うことで、本格的に市場に新商品を販売する前に、想定顧客の反応を確認し、実際に商品を販売した際の売れ行きを予測することができます。

またテスト販売を行うことで、新商品を製造するために作られた生産ラインの問題点を把握することが可能です。

テストマーケティングの手法

オフラインのテストマーケティング

オフラインのテストマーケティングで代表的な手法は下記です。

  1. 店舗を活用したテストマーケティング
  2. モニター調査を活用したテストマーケティング
  3. 展示会を活用したテストマーケティング

リアル店舗を活用したテストマーケティングの特徴

リアル店舗を活用したテストマーケティングの特徴

  • テストマーケティングの中でも高精度なデータを収集することが可能
  • 検証を行うまでの費用が高い
  • 既存商品と同様に広告や商品PRを行う必要がある

エリアを限定し、一部の店舗で新商品や新サービスを試験的に販売することでテストマーケティングを行うことが可能です。規模感は小規模ですが、実際に販売する状況と同じ状況で販売を行うことができ、お客様の反応を直接確認することができるため、テストマーケティングの中でも比較的高精度なデータを収集することが可能です。

一般的には、中規模都市で試験的に販売することが多く、実際に既存商品と同様に広告や商品PRを行うことで、質の高いテストマーケティングを行うことが可能だと言われています。

また大々的に展開する前に特定の地域に絞ってテストマーケティングを行う事によって、商品が売れず撤退となった際、比較的容易に撤退する事が可能です。

モニター調査を活用したテストマーケティング

▼モニター調査を活用したテストマーケティングの特徴

  • 一定期間利用することで効果が実感できる商品に有効的な方法
  • 商品情報が販売前に漏れやすい
  • モニターに対する報酬や送付するコストが必要

モニター調査(ホームユーステスト)は、開発された新商品の試作品・サンプルを調査対象者の自宅に送付し、実際に商品やサービスを調査対象者に使用してもらう手法です。試用期間中に定期的にインタビューやアンケートを行い、モニターからのフィードバックを収集します。

化粧品や家電製品、ダイエット系の商品など一定期間利用することで効果が実感できる商品のテストマーケティングに適していると言われています。

また新規顧客に対しモニター販売を行う場合、商品を大規模展開する前に、競合他社が新商品の特徴などの情報を認知してしまう恐れがあり、注意が必要です。

展示会を活用したテストマーケティング

▼展示会を活用したテストマーケティングの特徴

  • リアルな現場で直接的にフィードバックを収集することが可能
  • 法人向けのサービスに適したテストマーケティング手法
  • 顧客情報を収集することで、具体的な顧客候補が見つかる

展示会は、調査対象者を特定の場所に集めて、新サービスの特徴を紹介することで、新商品や新サービスに関するフィードバックを得ることができるテストマーケティング手法です。直接、想定顧客に商品を紹介するので、想定顧客のリアルな意見を収集することが可能です。

展示会に商品・サービスを出店する際、事前に告知を行い、会場に想定顧客を呼ぶこともできますが、展示会に参加された方に直接声をかけ、商品やサービスのテストを依頼することも可能です。

また法人向けのサービスであれば、展示会に参加された顧客情報から、実際のサービスを展開した際の初期顧客となり得る情報を収集することができます。

オンラインのテストマーケティング

オンラインのテストマーケティングで代表的な手法は下記です。

  1. 購入型クラウドファンディングを活用したテストマーケティング
  2. Webモニターを活用したテストマーケティング
  3. SNSを活用したテストマーケティング

購入型クラウドファンディングを活用したテストマーケティング

▼購入型クラウドファンディングを活用したテストマーケティングの特徴

  • All or Nothing型を活用することで、低コストでテストマーケティングを行う事が可能
  • クラウドファンディングの結果から、必要な在庫数を推測することができ、在庫超過のリスクを軽減することが可能
  • 企画段階の商品やサービスでも市場の反応を確認する事が可能

購入型クラウドファンディングは、企業が主に新商品・サービスを「プロジェクト」としてクラウドファンディングサイトに掲載し、ユーザーは「支援」として商品やサービスを購入することが可能です。

プロジェクトは、掲載期間と目標金額を設定することができ、目標金額に達した場合のみ、プロジェクトの着手が決定するAll or Nothing(目標達成)型という販売方法があります。

そのため、企画段階の商品をプロジェクトとして掲載することで、低リスクでテストマーケティングを行う事が可能です。

また、聞き取り調査などで「魅力的」と答えた人でも、実際にお金を払って購入される方は少ないと言われていますが、購入型クラウドファンディングでは、クラウドファンディングサイト上で商品を購入された方の人数を確認する事ができるので、その結果を元に市場に商品を販売する際、必要な在庫数を推測することができ、在庫超過のリスクを軽減することが可能です。

Webモニターを活用したテストマーケティング

▼Webモニターを活用したテストマーケティングの特徴

  • 比較的、短時間での調査が可能
  • 低コストで実施が可能
  • 高齢者をターゲットとした商品・サービスには適さない

Webモニターを活用したテストマーケティングとは、Web上で想定顧客に関してアンケートを行う方法です。

オンライン上でアンケートの実施を行うため、モニターが集めやすく、地方在住の方など、オフラインのモニター調査に参加できない方にも調査が可能です。

オフラインの施策と比較すると短時間かつ低コストでテストマーケティングを行うことができますが、高齢者の方など、あまりインターネットを利用しない層には適していない手法です。

SNSを活用したテストマーケティング

SNSを活用したテストマーケティングの特徴

  • 他のテストマーケティング手法と比較し、手軽に実施が可能
  • 投稿に対する「コメントの内容」や「いいね数」から想定顧客の反応を確認することが可能
  • 一定のフォロワー数が必要

SNSを活用したテストマーケティングの方法とは、想定顧客の反応を確認することを目的に、SNSの投稿に対する「コメントの内容」や「いいね数」から顧客の反応を確認する方法です。

他のテストマーケティングの手法と比較すると、短時間かつ低コストで実施することが可能です。

しかし、SNSのフォロワー数によって、アプローチできる想定顧客の人数も大きく異なるため、SNSのフォロワー数が少ない場合、質の高いテストマーケティングを行うことは困難です。

テストマーケティングを行う際の注意点

アイデアが盗まれるリスクがある

本格的に新商品や新サービスを市場で販売する前に、テストマーケティングの実施により新商品・新サービスが世に出るため、競合企業に自社の新商品・サービスの情報が知られてしまいます。

本格的に新商品・サービスを市場で販売する際に、競合他社が類似の商品やサービスを開発及び展開する可能性も否めません。

そのため、商品やサービスに関する特許申請や商標登録によって、そういったリスクを軽減した状態でテストマーケティングを行う事を推奨します。

テストマーケティングの結果を鵜呑みにしすぎない

テストマーケティングによって、良い結果を得ることができたとしても、本格的に市場で販売した際、テストマーケティングと同じ結果がでるとは限りません。

例えば、一般的なクラウドファンディングサイトでは、ユーザーの特徴として新しいモノ好きの方が多く、市場に出回っていないものだから購入するといった方が多いです。そのため、クラウドファンディングで成功した場合でも、実際に市場に導入した際、予想していた反応と違う場合があります。

テストマーケティングを行う際の準備事項

テストマーケティングの検証目的を明確化する

テストマーケティングの目的が明確でない場合、最適なテストマーケティングの検証項目や実施方法を選定できず、テストマーケティングから得られた情報を有効活用できなくなる恐れがあります。

テストマーケティングを行う場合、何を目的に行うのか、どのようなデータを収集する必要があるのかなど、細かく設定することで質の高いテストマーケティングを行うことが可能です。

検証目的から検証項目を洗い出し、優先順位を決める

明確にテストマーケティングを行う目的を設定した後に行うのは、検証目的から検証項目を洗い出し、検証すべき優先順位を決めます。

また検証項目にあわせ試作化しながら、実際の商品やサービスの使用環境に近い環境で検証を行うことで、新商品について有益なフィードバックを想定顧客から得ることができます。

検証項目に沿って、評価基準を明確化する

テストマーケティングの検証項目や実施内容、検証方法をふまえて、実際にテストマーケティングを実施します。

最終的にはテストマーケティングによって得たデータを基に結果を評価し、その結果やデータから、商品を市場で販売した際に起こり得るリスクや課題を把握することが重要です。

そのため、評価基準を検証前に洗い出し、予め設定しておくことで、テストマーケティングの結果を評価する際、自身の商品やサービスに対する主観的な考えが入りづらくなります。

テストマーケティングの成功事例

リアルな場を活用したテストマーケティング

▼エナジードリンク「レッドブル」

https://www.redbull.com/jp-ja/energydrink

レッドブルは、1987年にレッドブル社が開発したエナジードリンクです。

テストマーケティングを目的に、渋谷や原宿などの若者が集まる場に、定期的に宣伝カーを走らせ、レッドブルを無料で配布するキャンペーンを行いました。その場でレッドブルを飲んでいただいた方に直接反応を確認することで、想定顧客のリアルな意見を収集することができました。

クラウドファンディングを活用したテストマーケティング

▼あなたの運転特性をスマホで簡単診断!車のIoTサービス「DriveOn」

https://www.makuake.com/project/smartdrive/

2013年10月に創業したIoTスタートアップ企業である株式会社スマートドライブは、国内最大手のクラウドファンディングサイトMakuakeにテストマーケティングを目的にプロジェクトを立ち上げられました。

クラウドファンディングを通して提供するサービスとしては「DriveOn」という車にデバイスを装着して「どんな運転をしたか」などの情報をスマートフォンで確認することができるサービスです。

同社は、プロダクトを通して収集することができたデータから、どの道路で急ブレーキやスピード超過が多いかなどの情報を収集することができ、クラウドファンディングを通じて「DriveOn」の改良点を把握することができたと言われています。

まとめ

今回はテストマーケティングについて紹介しました。

近年クラウドファンディングなど低コストでテストマーケティングを行える手法も増加しており、多くの企業がテストマーケティングを実施しています。テストマーケティングの手法ごとに特徴が異なるので、テストマーケティングを行う目的や検証項目を明確に設定した後に、それぞれの検証項目に最適な手法を検討することが重要です。

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