2023.11.18

バンドマンやアーティストがクラウドファンディングを使って音楽活動をする背景とは?

バンドマンやアーティストがクラウドファンディングを使って音楽活動をする背景とは?

ここ数年の間、国内外のバンドマンやアーティストがクラウドファンディングを活用して音楽活動を行なう事例が増えています。CDシングルやアルバムの制作費のために出資を募ったり、ライブやツアーのための費用に充てたりと、その使い道は様々です。また、最近では音楽専門のプラットフォームもいくつかリリースされています。では、こうしたバンドマンやアーティストの音楽プロジェクトはなぜ増加しているのでしょうか。今回はその背景に迫ってみたいと思います。

Kickstarterより前から音楽業界ではクラウドファンディングが使われていた?

クラウドファンディングが正式なサービスとして開始されたのは21世紀以降であり、2008年頃からアメリカのIndiegogoやKickstarterが運営をはじめ、現在に至ります。しかし、それ以前から音楽業界ではクラウドファンディングを活用する動きがあったのです

イングランド出身のロックバンド・マリリオンは、1982年にメジャーデビューを果たした人気グループであり、過去何度か来日公演を行っています。そんなマリリオンは、1997年にファン主催のインターネット上キャンペーンという手段で6万ドルを集め、全米ツアーを施行しました。このアイデアはマリリオンが主体で行ったのではなく、ファンが立案し実行したもので、その後もマリリオンは2001年から現在に至るまで、アルバムの制作やレコーディングなどはこの手法を用い、大成功しています。

マリリオンの全米ツアー成功をきっかけに、その後他のバンドマンやアーティストもクラウドファンディングで資金を募り、CD制作やライブなどに取り掛かっています。すなわち、マリリオンの成功が、今日の「音楽×クラウドファンディング」の礎となったといっても過言ではないでしょう。

音楽業界がクラウドファンディングを行うメリットとは?

音楽プロジェクトのキャンペーン参加者のメリットとしては、今後成長していくであろうバンドマンやアーティストの取り組みに対し、少額から気軽に参加ができるという点や、支援額に応じた様々なリワードを得られるという点です。CD、アナログレコード、アーティストのキャラクターアイテム、アーティストとカラオケができる券など、ファンとの距離が近づけるものが多かったりします。

また、そのアーティストの活動を、企画の段階から完成されるまで、制作の過程を共有できるのもクラウドファンディングのメリットといえます。アーティストとの今までにない距離感、そして音源や会場に足を運ぶだけではない、まったく新しいアーティストとの関わりを、クラウドファンディングで実現する事ができます。

プラットフォーム

では、そんなバンドマンやアーティストを対象とした音楽系クラウドファンディングのプラットフォームを、国内外合わせていくつか紹介していきます。

国内

muevo

あなたに新しい音楽体験を提供するファン参加型ミュージック・プラットフォームのmuevoは、音源制作・イベント・プロモーション・ツアーなど、手がけるプロジェクトは様々であり、音楽業界初の”人を集めるクラウドファンディング”を導入しており、また、個性豊かなアーティストや音楽関連のキャンペーンが随時アップロードされています。

PICNIC

PICNICは、インターネットを使って活動するアーティストとファンをつなぐ音楽専門のクラウドファンディングサイトであり、アーティストがより自由に活動できるような方向に進めるようサポートすることを目指しています。

alive

日本の音楽ファンが本当に聴きたいと思うライブを実現する目的で設立されたalive。東京に拠点を置くスタートアップ Yuno Group が、音楽ファンの支援を受け、海外ミュージシャンのライブ招聘を実現できるクラウドファンディングサイトとしてローンチしました。事前にサイト上で予約を受付、一定期間内にオーダーが規定数に達した場合のみ、公演を開催する仕組みとなっています。

国外

ArtistShare

http://www.artistshare.com/v4/

2000年に音楽のための最初のプラットフォームとして誕生したArtistShare。アメリカのミュージシャンの創作活動をファンが支援する目的で設立されました。アーティストがCD発売前に、ユーザーがCD購入権を買うというサービスで、クラウドファンディング業界のパイオニア的存在とも言われています。

PledgeMusic

https://www.pledgemusic.com/

アメリカ発祥の音楽に特化した日本未上陸のクラウドファンディングで、これまでに「ベン・フォールズ・ファイヴ」や「スラッシュ」なども利用しており、日本人アーティストでは、過去に「Nao Yoshioka」が利用し、10,000ドルの資金調達に成功しました。

主なプロジェクト

実際にバンドマンやアーティストがクラウドファンディングを活用したプロジェクトには、どのような事例があるのでしょうか。ここでは芸能人や著名人が多く活用しているプラットフォーム「CAMPFIRE」で実施された音楽プロジェクトをいくつか紹介します。

THE NOVEMBERS、11周年11月11日のコースト公演を美しい映像で残す

https://camp-fire.jp/projects/view/12463 

オルタナティブロックバンド「THE NOVEMBERS」は、結成11周年を迎えた2016年11月11日、新木場スタジオコーストでワンマンライブを行ない、この特別な日を美しい映像作品として記録するためのプロジェクトを実施しました。「お互いの想いや行動によって、共に未来を形作ることができます。特別な日を記録した、記念碑のような作品を作りたい。美しい夜を、美しく記録し、美しい映像作品にしたい。」というボーカル/ギター・小林祐介さんの想いがきっかけで始まったこのプロジェクト。目標額を大きく上回る1,185万円の調達に成功を収めました。

11周年のワンマンライブ当日は大盛り上がりとなり、お客さんとスタッフを混えた大盛況ぶりを美しい映像として残すことが出来たのです。また、リワードには、THE NOVEMBERSのCDやDVD、メンバー手刷りのカットソーなど、ファンには喜ばしいものばかりが揃えられました。

ニューロティカ結成30周年記念

https://camp-fire.jp/projects/view/989

パンクバンド「ニューロティカ」は、2014年にバンド結成30周年を記念して、ドキュメンタリー映画「あっちゃん」を制作。ボーカルのイノウエアツシこと”あっちゃん”は、現在に至るまでの自身のストーリーを赤裸々に描いた本作の制作費375万円を募りました。プロアマ問わず人気の高いニューロティカを支持する人は多く、最終的に940万円もの資金調達に成功。リワードには、ニューロティカのメンバーからのお礼メッセージをはじめ、同映画のDVDやパンフレット、さらにボーカリストの傍ら普段は実家のお菓子屋で働いているあっちゃんチョイスのお菓子詰め合わせセットなど、ユニークなものばかりでした。

Awesome City Clubシングル制作

https://camp-fire.jp/projects/view/21455

男性3人女性2人からなるバンド「Awesome City Club」は、2015年、1stシングル「アウトサイダー」制作プロジェクトでCAMPFIREを通じて、189万円の出資を募ることに成功しました。同企画は、ファンへ向けてシングル制作にあたっての資金支援を求めたもので、パトロンとなったファンには、完成したシングルCDやトートバッグなどのリワード、また、メンバー全員とのバーベキュー、メンバーによるオリジナル曲の書き下ろしなど、金額に応じてさまざまな特典が用意されました。

Awesome City Clubは、その後も2ndシングル「Don’t Think, Feel」(2016年)で512万円、3rdシングル「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」(2017年)で473万円の資金調達に成功しており、メジャーデビューから3作連続でCAMPFIREを活用しています。延べ1,000万円以上を募った彼らは、クラウドファンディングを積極的に駆使したアーティストとして人気と話題を集めている最中です。

まとめ

アマチュアのみならず、プロのミュージシャンも多く活用しているクラウドファンディング。単に資金を集めるというだけでなく、より多くの人に自分の活動や音楽を知ってもらえるチャンスがあります。また、支援者にとってもメジャーデビューを控えたアーティストの卵の実力を身近で応援できます。あなたの支援が、将来の大物ミュージシャンを誕生させるきっかけになるかもしれません。

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