
技術×デザインで革新 NTTドコモ「MetaMe」が生み出す新たなメタコミュニケーション体験にBizDev伴走
株式会社NTTドコモが開発し、Relicが運営するメタコミュニケーションサービス「MetaMe」※1は、2023年2月のサービス提供開始以降、順調にユーザーが増え、企業や団体に向けたプログラム「MetaMe SQUAD」も開始するなど取り組みが拡大しています。
当初、技術主導で開発されていたMetaMeはユーザー体験に課題を抱えていました。そこでNTTドコモは、すでにビジネス推進で協力関係にあったRelicとUIUXデザインの領域でもタッグを組み、技術とデザインの力で抜本的なUIUX改善を実現しただけでなく、デザインチーム起点でプロダクト課題を改善する動きも生まれています。
BizDev一体となった支援により、サービス企画と開発の垣根が払拭され、会社の枠を超えたワンチームでの事業開発に臨む2社が、ユーザー体験の課題解決に取り組んだストーリーをご紹介します。
<インタビュイー>
株式会社NTTドコモ R&Dイノベーション本部 R&D戦略部 竹花 幸伸 様
<インタビュアー>
Relic プロダクトイノベーション事業本部 プロダクトディスカバリー事業部 小野 恵一郎
お客様の課題
- 技術主導で生まれたサービスゆえにユーザー体験の改善が必須な状況に
- 抜本的なUIUX改善をしたくとも、ステークホルダーが多く進められない
- ステークホルダー各社の文化や役割を理解し迅速にまとめてくれるパートナーが欲しい
解決したこと
- ビジネス支援から発展、BizDev一体となった総合支援
- デザインチームを自己組織化し、アジャイルで課題解決する仕組みを実現
- 機能の整理と改善が進み、より多くのユーザーに訴求できるサービスへと進化
Q.サービス概要を教えてください。
竹花:
「MetaMe」※1は「ドコモが技術開発し、Relicが「オープンイノベーション事業」の一環として、大企業の新規事業創出を加速するインキュベーションパートナー・プラットフォーム「DUALii」を活用し、運営するメタコミュニケーションサービスです。2023年2月よりβ版としてサービスを開始しました。
法人企業ならびに地方自治体との取り組みとして、QVCジャパンとバーチャルショッピング空間としてお楽しみいただける「メタバースQVCお買い物PLAZA」を期間限定で公開し、新しいショッピング体験を創出、また地域ならではの特色を紹介する施「北海道コミュニティワールド」、「白川郷コミュニティワールド」も提供中です。
共通体験として提供する「はじまりの広場」をはじめ、VTuberなどのさまざまな配信を楽しめる「MetaMe生放送」、南国リゾートの雰囲気の中で他のユーザーとさまざまなゲーム対戦ができる「IUG-Resort」、ユーザー専用空間「Home」など、多様な空間でのコミュニケーションを通じて、ユーザーが“私らしさ”を育むことを目指しています。


本サービスではドコモで開発するWeb3やAI領域の先進技術も活用しながら、中長期的な視点でどのような新しいコミュニケーションが可能になるかを模索しています。

Q.どのような背景からデザイン開発パートナーを求めることになったのでしょうか?
竹花:
サービス提供を開始してから1年8ヶ月(インタビュー日:2024/10/30)ほど経つのですが、事業検証を優先し技術主導で世に出していたこともあり、ユーザー体験としてはまだまだ発展途上の状態でした。
その状態を打破すべく、ユーザーストーリーから抜本的にUIUXを改善する動きを行っていこうとしました。
しかし、サービスを取り巻くステークホルダーが多く、調整やコミュニケーションの複雑さもあり、私たちだけでの実行はほぼほぼ不可能だったんです。
さらに、MetaMeは様々な技術が絡んでいたり、各パートナーの文化や慣習もあります。これらをなかなかまとめきれていなかったところを、うまくスピード感を持って進めて行くことができるようなパートナーが必要でした。
Q.なぜRelicをパートナーに選んだのでしょうか?
竹花:
MetaMeは元々、Relicの共同事業開発モデル「DUALii」を活用して運営されており、Relicからビジネス側を伴走支援いただいてます。加えて、HPやバナーなどのクリエイティブのデザインもRelicのサービスデザイン部デザイナーに担当してもらっています。
すでに伴走支援してもらっているので、弊社の文化やパートナー企業との関係性なども十分にわかっている、この点がとても大きかったです。UIUXデザインもお願いすることで、コミュニケーションコストを大幅に抑えつつスムーズにプロジェクトを進められると判断しました。
Q.Relicがデザイン支援もするようになり、どのような変化が生まれましたか?

竹花:
最初はサービスデザイン部のデザイナー1名に入っていただきスモールスタートさせました。スムーズに参画していただけたので、デザインのスピード感が上がり、検証サイクルをより速く回せるようになりました。
そこから徐々に人数も増やしてもらい、想定していた以上にスピード感とクオリティが上がっていった印象です。
元々はUIデザインをメインにお願いしてましたが、サービス企画に近いコアの部分も担当していただけるようになって、デザインチームでカバーできる範囲が広がったり。
デザインチームにアジャイルを導入している会社はあまり聞いたことがない中で、難易度の高いデザインチームのアジャイル化も小野さんと一緒に進め、開発側と足並みを揃えてデザインできるようになりました。
2週間のスプリント(短期間の集中的な開発サイクル)で、スプリントレビューやレトロスペクティブなどのスクラムイベントもしっかり回せるようになり、漸進的な改善を実現しました。当初は要望を受けてデザインを作ることがメインでしたが、デザインチーム起点でプロダクト課題を改善する動きもできていて、自己組織化できているなと感じています。
弊社とRelicといった会社の枠組みは関係なく、デザインチームが一体となって心理的安全性も担保されていて、チームとして良い状態になっているなと感じています。
何より、デザインもビジネスも BizDev一体で支援していただいているので、ワンチームでできるのがすごく良いですよね。デザイン支援により、サービス企画側にも良い影響がでています。これまでは、「どういう相談ができるか分からない」となかなか連携できていなかったところの相談に乗れるようになってきています。
今までリソース的にやり切れていない部分もありましたが、今は各方面からのデザインオーダーに100%応えられていると思っています。
こうした変化により、MetaMeは機能や体験設計の整理と改善が進み、より多くのユーザーに訴求できるサービスへと進化しています。
Q.サービスとしての変化はどうでしょうか?
竹花:
プロダクト企画がデザインも含めて一気通貫で進められるようになり、サービス内で実現できることの幅が増えました。
具体的な話でいくと、MetaMeはWebクライアントでUI要素を表示し、3D部分はUnreal Engine(UE)を使っているんですけど、UIUXデザインチームが3D部分も含めた体験設計を行って、UEの3Dデザインチームと相互に提案や議論を行える体制が整いつつあります。これにより、2Dと3Dの要素がスムーズに統合され、より優れたユーザ体験の実現につながっています。

Q.今後やっていきたいことはありますか?
竹花:
引き続きデザイン改善を進めていきたいですし、お客様が、そしてわたしたちもワクワクするサービスにしていきます。
今は機能もまとまってすごく整理されてきて、いい方向に向かっているのですが、ここからもっとカオスに、もっと面白く楽しんでもらえるサービスにしていきたいなと思っています。
カオスというと、例えばAIに力を入れていきたい。
例えば、現在は占い師のNPCが当然占いだけを行っていますが、占いは定時までしかせずに、定時を過ぎたらおしゃれをしてライブ空間に出かけたり、レース会場で派手に車を飛ばしてたり。もっと自由で、もっと奥行きがあり、もっと個性あるNPCと暮らす世界を実現したい。
メタコミュニケーションという枠組みの中で、もっと幅の広いコミュニケーションがあってもいいかなと思っています。
今はデザインもスピード感を持ってやれるようになってきたからこそ、自由な提案も含めて、それを実装するための仕組みも作っていきたいと考えています。
インタビューにご協力いただいた企業

株式会社NTTドコモ
サイト:https://www.docomo.ne.jp/
MetaMe
サイト:https://official.metame.ne.jp/
X:https://x.com/MetaMe_Official