組織として「イノベーションを興そう!」と思っても、何からどう手を付ければ良いのか、分からない人も多いかと思います。
単にアイデアを思い付いたからやってみるでも良いのですが、それでは組織としてイノベーションが興ったとは言えません。
大切なのはメンバーが自走して、イノベーションを永続的に興せるせる仕組みを作ることです。
この記事では ISO 56002 で標準化された『イノベーションマネジメント・システム』の内容を基に、組織でイノベーションを興すために知っておきたい、大切な3つの要素について説明していきます。
トップマネジメントによるコミットメントができるか
一つ目の大切な要素は、トップマネジメントによるコミットメントです。
組織である以上、旗振りをするリーダーが必要という点においては、イノベーションというシーンにおいても何ら変わりません。
イノベーションというと「研究開発において革新的な素材が発見された!」というような、ボトムアップ的なものを連想する人も多いですが、それは違います。
ボトムアップでアイデアや方法を吸い上げることは手段となり得ますが、イノベーションという目的を達成するためには、トップマネジメントが必要不可欠です。
例えばある工場で、工場長が「不良率を半減させる」という目標を立てたとしましょう。
そもそもなぜ「不良品が多いのか」を考えた場合、いろいろな課題が見えてくるはずです。
- 原料の質が悪い
- 就労環境が悪い
- 機械が老朽化し精度が出にくい
- 作業導線に問題がある
- 作業手順がミスが起きやすいものになっている
- 工員の習熟度が低い
- 工程の上流で確認防げる体制になっていない
このように課題を認識できれば、新しい切り口やアイデアによる解決策が考えられるはずです。
それら方法を試行錯誤を繰り返しながら実現できた時、組織にイノベーションが起こったと言えます。
では従業員はこれらの実現に向けて、能動的に動くでしょうか?
答えはノーです。
人は本質的に変化を恐れる性質があるので、新しい取り組みに対し能動的になることは考えにくいと言われています。
となると多くの組織では、トップがそのイノベーションの実現に向け、マネジメントをしなくてはなりません。
イノベーションは新しい取り組みなので、通常のプロジェクトよりも多くの困難が待っているはずです。
トップが組織をしっかりとマネジメントし、組織としてイノベーション実現に向けてコミットするという、共通意識を持たせることが大切になります。
リーダーにイノベーションを興す能力があるか
二つ目は、リーダーにイノベーションを興す能力があるかどうかです。
これは何も自身でアイデアを生み出す力が無いとダメだというわけでは無く、マネジメントをするリーダーに、組織を率いてイノベーションを実現させるための力量があるかどうかということを指しています。
先ほど挙げた例でいけば、工場長にその力量があるかです。
工場長がイノベーションについて正しく理解していない上に、マネジメントもできなければ、何も生まれないのは目に見えていますよね。
リーダーはイノベーションが興る仕組みや環境を正しく理解した上で、体系化していくのが仕事です。
イノベーションを興すリーダーは、これらの能力を高いレベルで備える必要があります。
組織としてイノベーション活動を支援する文化を作れるか
最後の三つ目は、組織全体としてイノベーション活動を支援する文化を作れるかどうかです。
「新しい取り組み」というのは、得てして既存のやり方を大切にしている人たちから敬遠されます。
政治の世界でもリベラルと保守というのは、良く聞く対立軸です。
組織としてイノベーションを成功させるには、組織内でこの対立を起こしてはいけません。
新規事業などの多くは不確実性が高く、リスクを伴うものです。
困難な壁に当たることも多々あります。
そんな中で奮闘しているメンバーを、更に組織内で孤立させるような体制になっていては、成功はありません。
組織内におけるメンバーの心理的安全は、絶対に確保すべき事項と言えます。
我々Relicが支援に入らせていただく場合も、この組織風土を作るという部分はとても大切にしています。
組織としてイノベーションを歓迎し、積極的に支援できる体制を整えることも、成功への重要な要素です。
まとめ
この記事では、『組織でイノベーションを興すために必要な3つの要素』として、ISOの『イノベーションマネジメント・システム』を参考にしながら、詳しく説明していきました。
- トップマネジメントによるコミットメントができるか
- リーダーにイノベーションを興す能力があるか
- 組織としてイノベーション活動を支援する文化を作れるか
これら3つは、いずれも欠けてはならない大切な要素です。
組織としてイノベーションを興すにあたっては、まずこの3つを意識し確認しながら進めていくと良いでしょう。