イノベーション・マネジメントシステムの確立には適切なタイミングで、適切な判断をもとに経営資源を提供することにより、イノベーションの速度は加速してきます。
そこで今回、イノベーション・マネジメントシステム確立のための経営資源について、ISO国際規格に基づいて、その種類と必要な理由、また活用方法まで解説していきます。
イノベーション・マネジメントシステム確立のために必要な経営資源とは
結論から申し上げますと、「人」「時間」「知識」「財務」「インフラストラクチャ」の5つです。
組織は、イノベーション・マネジメントシステムの確立のために、これらの経営資源の投資を的確なタイミングで決定し、提供することが望ましいです。
また、経営資源を揃える前にやっておくこととしては、既存事業の状況を加味した内部支援体勢・内部資源状況の把握があります。自社がどれだけの資源をイノベーション・マネジメントシステムの確立に当てられるかを把握することで、その限界とどのくらいの規模で外部からの支援を受けるべきなのかを掴むことができるからです。
では、ここからイノベーション・マネジメントシステム確立のために必要な経営資源について、それぞれ解説していきます。
人材
いうまでもなく、イノベーション・マネジメントシステムの実施に携わるのは人間であり、組織は、どういった人材がイノベーション・マネジメントシステムの効果的な実施に必要かを定義し、供給し、マネジメントすることが大切です。
最適な人材の定義は、組織の状況によって変わりますが、以下のことを考慮して活用していくのが望ましいです。
- さまざまな分野・個人的性質および経歴を含む多様な人々の集団からなるチームを形成
- 金銭または金銭以外のインセンティブ(高い評価など)を適切に確立
- リスクを有するイノベーション活動を行うイノベーターの保護
- アイデアの所有権や特許の取扱い・イノベーション利用のための条件を確立し、伝達
これらの注意点を守ることによって、人材を最大限に活用することができます。
時間
イノベーション・マネジメントシステムの効果的な実施のためには、人材の一定の工数(時間)をかける必要があります。
組織は、その工数を管理するアプローチを確立する必要があります。
人材の時間を配分するにあたっては、以下の事項を考慮すると、効果的な時間配分を実現できます。
- イノベーション活動にバランスの良い方法で時間を配分
- イノベーションの取組み・イノベーションのプロセスに時間を配分
- 必要に応じて手当てを使用し、組織の専門的な役割に時間を配分
知識
知識を適切に管理することは、イノベーション・マネジメントシステムを効率的に実施の上で非常に重要なことです。なぜなら、知識の有無は成功確度や再現性を高めることにつなげられるからです。なお、無形であることからも、適切に管理しないとなりません。
イノベーション・マネジメントシステム実施のための知識をマネジメントし、活用するためには以下のことを行うことが望ましいです。
- 内部及び外部からの、明示的または黙示的知識を獲得すること
- 蓄積された知識へのアクセス・再利用を容易にすること
- 情報の分析及び知識のマネジメントのための適切な仕組みを維持すること
財務
イノベーション・マネジメントシステムの効果的な実施には、財務資源を適切に配分することが重要です。イノベーションには常に金銭的リスクが伴います。そこで、組織として適切に財務資源を把握することで、組織を倒産させるような事態を未然に防ぐ効果があります。
組織は、大きく3つの金の流れについて考慮する必要があります。
- どのようにして資金調達をするか
- イノベーション活動実行における金銭的リスク・またイノベーションを行わない場合の金銭的リスク
- どのようにして投資を実行するか
これらを考慮することによって、組織の健康状態を常に健全にしておくことにつながります。
インフラストラクチャ
イノベーション・マネジメントシステムを有効に実施するために、オフラインまたはオンライン上のインフラストラクチャストラクチャを明確にして提供することが望ましいです。
オフライン上のインフラストラクチャとは、外部からの支援者などによって獲得される人材だったり、新たな技術やツールなどであったりします。
オンライン上のインフラストラクチャとは、イノベーション・マネジメントシステムのプロセスを支援し、容易にするようなインフラストラクチャのことです。
特にオンライン上のインフラストラクチャについては、日本ではあまり事例がなく、経営層の方々にとっても頭を悩ませることかもしれません。
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まとめ
これまで、イノベーション・マネジメントシステムの確立に必要な経営資源について述べてきました。
イノベーション・新規事業は不確実性が高く、成功させるのは至難の技です。しかし、今回のべたように経営資源をうまく活用することによって、その成功確度を少しでも高めることができます。
ここに述べられていることとプラスして、自社に合わせた取組みも行ってみてください。