イノベーションが起こる組織の共通認識とは?

2020/5/12

イノベーションを起こす上で組織全体の共通認識が不可欠となります。
その重要性については2019年に採択されたイノベーションマネジメントの国際規格であるISO56002にも記載があり、ますます重要性は高まるばかりです。
では組織として持っておかねばならない共通認識とは何か?
具体的な事例を踏まえて紹介します。

共通認識の重要性

成長していく組織としてどのような企業を思い浮かべますか?
この絶対的条件として社員が会社を理解し同じ方向を向いて仕事をしていることがあります。
組織を飛躍的に成長させるためには、社内で共通認識を持つことが不可欠です。

運送業のヤマトグループでは、事業を方向転換するも、なかなか軌道に乗らず伸び悩んでいたそうです。
原因を調査したところ、トップが決めた方針をその下にいる経営幹部達がそれぞれ異なった解釈をし、社員に自分の解釈を伝えていたがために社員同士で認識のズレが生じていたそうです。
その後全員が納得できる共通認識ができるまで、徹底的に議論されました。
すると嘘のようにまとまりが生まれ一体感を持った会社になっていったそうです。

このように会社の方針や事業戦略に対する共感を高めるには、共通認識を形成する必要があります。

ISO56002における『認識』のマネジメントについて

では具体的に重視する上で、重要な観点について解説します。
ISO56002の13-14pでは下記のように記載があります。

組織は、組織の管理下で働く全ての関連する人々が、次の事項に関して認識をもつことを確実にすることが望ましい。

  1. イノベーションのビジョン、方針、戦略及び目標
  2. 組織にとってのイノベーションの意味及び重要性
  3. イノベーションのパフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、イノベーション・ マネジメントシステムの有効性及び効率性に対する自らの貢献
  4. ノベーション・マネジメントシステムの手引を満たさないことの意味
  5. イノベーション活動のための支援の利用可能性

要約すると、3つの観点から検討する必要があります。

  1. 組織に対しての共通認識
  2. 組織の中での共通認識
  3. 仕事に対しての共通認識

それぞれについて解説します。

1.組織に対しての共通認識

これは会社の経営理念やビジョンをしっかりと理解し自分の役割や社会的使命の理解と同時に目的をはっきりさせることです。
これを明確化させることによって経営層と従業員の考え方が共有されやすくなり働きやすい環境になります。
なので目的をどのように掲げるかはその後の組織の明暗を左右すると言っても過言ではありません。
目的が明確になることで意識が向上し、自らの意見を持って積極的な行動を取れるようになります。

2.組織の中での共通認識

これは経営陣の思いをしっかりと理解し組織の上と下で認識を合わせることです。
組織の方針が自分ごととなり、腹落ちしやすくなるので働く意義が強く持てるようになります。
組織の中で社会的使命感を持つことで、自分が何をするべきかを認識し、実行しやすくなります。
解釈のギャップを埋めるには、それぞれの考えを話し合うのが一番です。
議論を重ねることで解釈のずれが解消され、全員がより納得できる共通認識を持つことができます。

 3.仕事に対しての共通認識

1や2の共通認識をクリアしたとしても実際目の前の仕事を目にしていると何のために働いているか分からなくなることがあると思います。
そのような場合、同僚や上司と目的を再確認するための話し合いを設けることでその悩みは解消されることが多いです。
仕事上の悩みや不安を上司に伝えられれば気持ちは軽くなり、聞いてもらえることで安心感も生まれ共通認識も生まれます。
このような環境をつくるためにも普段から気軽に話せる雰囲気の構築が重要となります。

創るのも社員、売るのも社員、守るのも社員という言葉があるように社員が働きがいを持ち、社員が「良い会社だ」「価値のあるサービスだ」と心底思っていなければ、取り掛かっている事業がうまくいくはずがありません。

組織で共通認識を持つことの重要さ

以上のように組織でコミュニケーションが活発化し、社員全体が共通認識を持つことは会社にとっても、社員にとってもいいことしかありません。

もし担当者や責任者が一人だったり限定されていたりすると、その人が不在のときの判断を誰に委ねればよいのかという属人的な状態に陥ったり、このままではまずいと、経営の方向性すら定まらないままに無計画に進んでしまったりします。

一方で社員全体が共通認識を持てば、前向きに働くことができるので新しい発想が生まれやすく、共通認識を持った社員が社内に大勢いるので居心地が良くモチベーション高く社員が働いてくれる環境ができ、イノベーター人材が育ちやすい土壌にもなります。
このような組織を作ることはイノベーションを起こす上で最も大事なファクターになってくるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
会社での組織全体での共通認識作りは日々意識し続けるには難しいですが、とても重要なことです。
イノベーションを起こし続ける組織を作るために是非参考にしてください。

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