2019年7月にイノベーションマネジメントシステムが国際規格「ISO 56002」として標準化されて以来、国内においてもイノベーションマネジメントに取り組む企業が徐々に増えてきました。
ISO 56002ではイノベーション活動のために重要な多くの情報が記されています。その中にイノベーション活動のパフォーマンスを分析/評価することで、パフォーマンスを向上させることができると記載されています。
今回の記事では、組織がパフォーマンスを高めるために分析/評価を行う上で、準備すべきことや決めておくことについて、ISO 56002の内容と照らし合わせながらご紹介していきます。
組織のパフォーマンスを高めるためには
評価の方法
イノベーションマネジメントに取り組む組織がパフォーマンスを高めていくために、まずはパフォーマンスを評価するための準備から始めることが重要です。
ISO 56002では、組織が事前に決定すべき項目について、以下のように記載があります。
- 観察および測定が必要な対象
- 観察、測定、分析および評価のツール/方法
- 観察および測定の実施時期
- 分析および評価の時期
- 実施する上での責任者
第1ステップとして、まずはパフォーマンスを評価する方法を決定しましょう。
パフォーマンスの指標を決める
第2ステップとして、パフォーマンスの指標を決めましょう。
パフォーマンスの指標となるものは、大きく分けて3つに分類されます。
- インプット
- アウトプット
- 処理能力
更に上記3つの項目の詳細について、ISO 56002では下記のように記載があります。
- インプット
- アイデアの数、アイデアが価値を創出する可能性、新たな知識源など
- アウトプット
- 事業化したアイデアの数、収益/利益の成長、市場シェア、使いやすさなど
- 処理能力
- 開発速度、製品化までの時間、利益がでるまでの時間など
また、キーとなる指標は、各事業によって違いがあります。
例えば、新事業を既存事業に充てる場合は、他社と比較したときの市場シェアが重要な指標となります。また、新事業を新市場に充てる場合は、使いやすさが重要な指標となります。
まずは現在検討している事業において、組織のパフォーマンスを高める場合に、重要となる指標が何になるのかを策定してみましょう。
分析と評価
評価方法を決め、指標についても決定した後は、次は計画沿ってイノベーションのパフォーマンスの分析/評価を行います。
ISO 56002では次の2つの事項を考慮して分析する必要があると記載があります。
- イノベーションの戦略および目標やイノベーション活動により生み出される価値
- イノベーションマネジメント ・システムの要素
つまり、事業そのものと組織の二つの観点から分析する必要があります。
パフォーマンスの指標を分析する際には、上記二つの観点から分析しましょう。
また分析の頻度は、事業内容やパフォーマンスの指標によって異なるので、PDCAサイクルを最適なスピードで回せるような頻度で実施する必要があります。
また、分析結果は、以下の事項を評価するために活用されます。
- 現状の理解
- リーダーシップのコミットメント
- リスクマネジメント
- イノベーションの戦略
- アプローチの有効性および効率性
- 知識共有およびケーススタディ
- イノベーションマネジメント ・システムを改善する必要性
分析/評価については、実施で終わるのではなく、情報をしっかり残して保持することが望ましいでしょう。
まとめ
今回はイノベーションマネジメントに取り組む組織がパフォーマンスを高めるために分析/評価を行う上で、準備するべきことや決めるべきこと、分析/評価についてご紹介しました。
イノベーションを成功させるためには、PDCAサイクルを高速で回す必要があります。そのためには正しい分析と評価が重要になります。
組織のパフォーマンスを高めて行きたい場合は、是非実践してみてください。