イノベーションを加速させる組織とは

2020/3/12
イノベーションを加速する組織

組織内でイノベーションを起こすには、その目的に合わせて、イノベーションをマネジメントする仕組みが必要になります。さらに、この仕組みが確立・実施・維持・改善されることが求められます。

そこで本稿は、イノベーションマネジメントの国際規格であるISO56002を踏まえ、イノベーションをおこす組織にどのような職場環境が必要なのか、またその職場環境を踏まえた上で、イノベーションをおこす組織はどのような特徴を備えているのかをお伝えします。

イノベーション創出を組織的に実践したい方にぜひ参考にしてください。

組織文化醸成の必要性

組織内でイノベーションをおこすには、組織全体での活動が必須になります。自然発生的にイノベーションが起きることはありません。組織が主体的にイノベーションをおこす仕掛けを作ることが重要です。

イノベーションを起こすためには、下記の考え方と行動が重要です。

①組織内における創造的な考え方及び行動
②決まった活動を確実に行う考え方及び行動

つまりは、オープンに新しいアイデアや事業のことを考えて実践し、決議されたことは必ず成し遂げられる組織であることが重要です
しかし、そのような組織を実現するために、具体的にはどのようなアクションを組織内で実践すれば良いのでしょうか。以下では具体的な施策をお伝えします。

職場が提供すべき9つの職場環境

ISO56002では、組織による主体的なイノベーション創出のために、職場が提供すべき9つの特徴について述べています。

  • 開放性、好奇心があること、及び願客を重視していること
  • フィードバック及び提案が奨励されていること
  • 学習、実験、創造性、変化、及び現在の前提条件に疑義を呈することが奨励されていること
  • 人々の積極的な参加の継続を伴う、リスクテイク及び失敗からの学習が奨励されていること
  • 内部及び外部の人脈形成、協力及び参加がされていること
  • イノベーション活動に様々な人が関与しており、規律及び視点の多様性、尊重及び包括性があること
  • 共有された価値観、信念及び行動があること
  • 仮説に基づく分析及び意思決定と、 客観的事実に基づく分析及び意思決定の両立がされていること
  • 直線的及び非直線的な計画及びプロセスの両立がされていること

簡単にまとめると、オープンマインドで新規アイデアを創出することができ、外部や内部からのフィードバックがシステマティックに実行されている状態が望ましいということです。

イノベーションを支援する組織がもつ7つの特徴

「まだ何をやったらいいかわからない・・・」という方もいらっしゃると思います。そこで、イノベーション活動を支援する組織がどんな特性を持っているのかを、7つに分けてより具体的に紹介いたします。

  • 全ての階層のリーダーが、 イノベーション活動へのコミットメントを促進及び実証している
  • 組織内の価値観、信念及び行動の点から、様々なイノベーション活動の共存及び効果的な橋渡しが実行されている
  • イノベーター、イノベーティブな行動、イノベーションの取組み、及びイノベーションの物語化が支援され、評価されている
  • イノベーションを達成するインセンティブが存在し、外発的な動機付け(例えば、金銭的な報酬)のみではなく、内発的な動機付け(例えば、自主性の向上及び意欲を高める目的)が重視されている。
  • イノベーション活動を支援する力量が開発されている
  • 関連する指標を使用して、組織文化が査定されている
  • 多分野にわたる協力の構造が存在する

ここまでくると、かなり具体的になったのではないかと思います。
組織は、イノベーションをマネジメントするシステム(仕組み)を意図的・主体的に創出していかなければ、筋のいい新規事業を生み出すことができず、企業の成長が止まってしまい、最悪の場合倒産を迎える可能性もあります。

イノベーション創出に必要な協力

イノベーション創出のための組織づくりには、イノベーターを社内・社外の他者から支援することが非常に重要になります。イノベーターは全く新しいことに取り組む中で、前例がないことに不安を抱いていることはもちろんのこと、放っておくと独りよがりな事業計画を作ってしまいがちだからです。

成功する新規事業を作りあげるためには、イノベーター一人の力だけではなく、多くの関係者による協力が必要です。

協力者によって支援することのできる内容は、次の通りです。

  • 顕客のニーズ、期待及び課題の特定
  • アイデア、 知識、力量及びノウハウの共有
  • インフラストラクチャ、ポートフォリオ、市場及び利用者への導線設計アクセス
  • 新たな力量及び経営資源の獲得、並びにイノベーション活動の共同実施などの活動

イノベーションを支援する協力者としては、次のような関係者が候補に挙げられます。

  • 組織内の同一又は異なるチーム、 部門、 ユニット及び組織の人々
  • 組織外の利用者、顧客、パートナー、 提供者、研究機関、業界団体並びにその他の密接に関連する利害関係者及びネットワーク(組織の価値ネットワーク外の関係者を含む)

このような方々からの協力を得ることで、不確実性の高い新規事業の成功確度を一気にあげることにつながります。しかし、イノベーションへの協力のプロセスは関係者が多い故に複雑なので、組織は、内部・外部からいただける協力を管理するための手法が必要になってきます。

つまり、イノベーションマネジメントをシステム化するということは、これらの要素も入れ込まなければならないということなのです。

イノベーション創出のための組織開発を

これまで、イノベーションを組織的に創出するために必要なことをいくつか述べてきました。

効率的にイノベーションを創出するために、職場環境を整え、関係者からのレビューを取り入れられるようなシステム作りをしましょう。

どれも、言葉では理解できたとしても実践するのは容易なことではありません。他社の取り組み事例を調べたり自社内でトライアンドエラーを繰り返したりする中で、自社に適した方針を検討/策定していただければと思います。
また、当サイトでは、他にもイノベーションマネジメントに関する記事を発信しています。そちらもぜひご覧ください。

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