イノベーションマネジメントにおける内部監査の重要性

2020/5/13

この記事ではイノベーション組織における内部監査の重要性について説明していきます。
イノベーションを興すことを目的としたイノベーション組織にとって、内部監査が適切に行われることは非常に重要であると言えます。
以下の内容ではその重要性について説明いたしますので、実際に見ていきましょう。

内部監査とは?内部監査に必要な要素と効用

まず、前提として内部監査とはどのようなものでしょうか?
一般社団法人日本監査協会が定義している内容がありますので、どのようなものか見ていきましょう。

“内部監査とは、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、経営諸活動の遂行状況を検討・評価し、これに基づいて意見を述べ、助言・勧告を行う監査業務、および特定の経営諸活動の支援を行う診断業務である。
これらの業務では、リスク・マネジメント、コントロールおよび組織体のガバナンス・プロセスの有効性について検討・評価し、この結果としての意見を述べ、その改善のための助言・勧告を行い、または支援を行うことが重視される。”
※出典「一般社団法人 日本監査協会 – 内部監査基準」より
(http://www.iiajapan.com/guide/kijyun/)

内部監査を実施することで、組織として発生しうるリスクや不祥事を防止し、業務の有効性や効率性を管理することが出来ます。

特にイノベーション組織では、イノベーションマネジメントシステムが以下のような状況にあるか否かに関する情報を提供するため、予め定めた間隔で内部監査を実施することが望ましいです。
イノベーションマネジメントシステムに関して組織自体が規定した要求事項
その他の適用される要求事項

内部監査実施時に持つべき7つの観点

この項目では、イノベーション組織で内部監査を実際に実行する場合にもつべき7つの観点について説明します。

1.監査プログラムの設定

内部監査を実施する組織は、監査プログラムについて適切に設定する必要があります。設計する際の観点としては以下のような観点が挙げられます。
頻度
方法
責任
計画要求事項
報告

また、監査プログラムの計画、確立、実施および維持を行なう際は、内部監査に関連し、重要度の高い他プロセスや前回までの監査結果を考慮に入れることが望ましいです。他社事例や過去の実施状況を参考にした同じプログラムを単純に繰り返すのではなく、周辺情報や監査結果を参考にしながら都度適切に更新していく必要があります。

2.監査目標/基準/範囲の明確化

各監査について有効な効力を保持するためには、「何を、どこまで、どのように監査することで、どのような目標を達成するのか」といった観点から、監査の目標や監査基準、監査範囲を明確にする必要があります。

3.プロセスの客観性/公平性確保

監査プロセスを適切に進めるためには客観性及び公平性を確保する必要があり、これらを担保する上では監査員を選定した上で監査を実施することが効果的です。

監査員を準備することで外部からの視点が入り、監査結果への信頼性を高めることが出来ます。

4.監査結果の報告

監査結果は、結果に関連する経営層へ確実に報告する必要があります。
結果をもとに改善を図り、リスクや不祥事の防止、業務有効性や効率性を高めるためには、まず経営層のコミットが必要です。

監査に基づく改善活動はボトムアップ型ではなく、トップダウン型で実施することが適切であると考えられます。

5.素早い修正/処置

内部監査実施後は、遅滞なく適切な修正を行い、是正処置をとる必要があります。修正/是正の対象は適切に管理され、その後の活動に活かすことが重要です。

6.取り組みの結果報告/フォローアップ

内部監査への取組みの検証及び検証結果の報告を含め、活動をフォローアップする必要があります。

内部監査を行うこと自体にも大きな意義がありますが、リスクや不祥事の防止、業務有効性や効率性を高めるといった観点からも継続的なフォローアップが必要であると考えられます。

7.監査プログラムのフォローアップ/文書化

前述の通り、監査プログラムは他社事例や過去の実施状況を参考にした同じプログラムを単純に繰り返すのではなく、周辺情報や監査結果から都度適切に更新していく必要があります。

監査プログラムの実施状況/結果やそれに紐づく証拠、並びにフォローアップ活動については文書化した情報を保持することが必要です。

これらの文書は翌年以降のプログラム改善や、緊急時の証拠として活用することが出来ます。

まとめ

イノベーション組織が内部監査を実施することの重要性を説明してきました。
以下の内容に着目しながら、組織内での内部監査を推進してみてはいかがでしょうか?

1.イノベーション組織での内部監査の効用
内部監査を実施することで、組織として発生しうるリスクや不祥事を防止し、業務
の有効性や効率性を高めることを管理することが出来る

2.内部監査実施時に持つべき7つの観点
a.監査プログラムの設定
b.監査目標/基準/範囲の明確化
c.プロセスの客観性/公平性確保
d.監査結果の報告
e.素早い修正/処置
f.取り組みの結果報告/フォローアップ
g.監査プログラムのフォローアップ/文書化

見ていただくと分かる通り、内部監査を実施することで、イノベーションを推進していく上で障害となる要因を排除することができます。
新規事業へ挑戦し、新しい可能性を切り拓いていくためには非常に多くの労力と思考を伴います。
内部監査や情報の取りまとめといった業務を通して足元を固め、万難を排し、前だけを向くことができる体制を作りましょう。

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