新規事業は不確実性が高く、決まった考え方が当てはまりにくいのが現実です。そのような中2019年に採択された国際規格ISO56002(詳細な記事はこちら)では、イノベーションがいかに発生するかというプロセスについての特徴をまとめています。
今回はその内容を参照しながら、イノベーションが起こるプロセスについて解説していきます。
イノベーションのプロセス
ISO56002ではイノベーションにはいくつか特徴があるとあります。
- 一部のプロセスの速度を上げる
- 非線形的な順序を取る
- 反復的である
- 組織内の他のプロセス内において、またはアホかのプロセスとは独立に実施される
- 組織内の他のプロセスと繋がっている
上記のような特徴があるため、組織が非常に柔軟で、変化しやすい組織であることが求められます。
社内の他の組織はもちろん、時には外部とも連携をスピーディーに行うなど、普通の組織以上に弾力性、柔軟性を必要とするとされています。
そして、具体的なプロセスを図解したものが下記になります。
- 機会の特定
- コンセプトの創造
- コンセプトの検証
- ソリューションの開発
- ソリューションの導入
という流れが存在し、下記で順に解説をしていきます。
機会の特定
イノベーションを生み出すためには、そのイノベーションの機会、つまりニーズを汲み取る必要があります。
課題として顕在化しているもの、つまりユーザー自身が困っていると自覚しているものはもちろんですが、それ以上に潜在的なニース、つまりユーザー自身も気付いていないニーズを捉えることが非常に重要です。
そのようなニーズを捉えるのは非常に難しいですが、組織としてそのようなニーズを把握する体制・姿勢を構築しておくべきだとISO56002では主張してあります。
コンセプトの創造
課題を特定できた後は、コンセプトの創造です。
ここでポイントになるのが、コンセプトを作る際に意識しておくべき観点を押さえることです。
押さえておくべきポイントとして、リーンキャンバスの項目を参考するのがおすすめです。
リーンキャンバスとは、下記のポイントを端的に一枚の図にまとめたものです。
詳細記事:成功したスタートアップから学ぶビジネスモデルの設計方法「リーン・キャンバス」とは
- 課題:ターゲットが感じている解決すべき上位3つの課題
- 顧客セグメント:どんな人がターゲットなのか
- 独自の価値提案(UVP):どうなれば独自の価値を感じてもらえるか
- ソリューション:どうやってその課題を解決するのか
- チャネル:どうやってターゲットにアプローチするのか
- 収益の流れ:どのように収益化されるのか
- コスト構造:コスト(顧客獲得コストや流通、ホスティングにかかるコスト、人件費など)はどれくらいかかるのか
- 主要指標:どの数値があがれば成功と言えるのか
- 圧倒的な優位性:他者に真似されない優位性とは何か
下記の観点を検討することで、その後の検証をもれなく行うことができます。
また、シンプルに作成することで、仮説を再度作り直す際にもスピーディーに作成し、検証にうつることができます。
コンセプトの検証
コンセプトを創造した後は、検証です。
ISO56002では検証においては下記のポイントが重要だと記載があります。
ソシューションの検証を早期に開始すること
検証のための単一または複数のアプローチを考慮すること
検証によって、下記のポイントのリスクを軽減すること
利用者や顧客、パートナー及びその他のステークホルダーとの相互作用で悪影響が発生しないか
経営資源をどれほど消耗するか
コンプライアンスについてのリスク
フィードバックに基づいてコンセプトを調整及び改善すること
必要に応じて、さらなる検証について考慮する
検証を行うことで思ってもいなかったニーズを発見できたり、想定外のフィードバックをもらえることも多いです。それこそが大きな示唆であり、大事にすべき物なので、積極的に受け入れましょう。
ソリューションの開発
コンセプトが課題を解決しているとわかった後は、実際にソリューションを開発します。
ここからは大きなコストがかかってくる可能性があるので、考慮すべき点が複数存在します。
開発を外部にアウトソースするのか、内製するのか
ユーザーの導入時にどのようなリスクがあるのか検討する
既存製品の知的財産権を侵害しないか
拡大のためにどのようなマーケティング戦略をとるか
など、検討するポイントは多岐に渡ります。
ソリューションの導入
ソリューションが完成した後は、実際にそれを普及させていく必要があります。
ここからは一般的な営業戦略やマーケティング戦略が妥当しますが、新規事業においてはプロダクトを顧客の声を反映させ改善をしながら販売をしていくのが近年の一般的な手法です。
ソフトウェアなどの場合、リーンスタートアップなどの手法が代表的なものです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
非常に不確実性が高いからこそ、柔軟かつスピード感のあるサイクルが必要です。
実際に新規事業に取り組まれる際は参考にしてみてください。