イノベーションの目的・計画を設定する際に注意するべきこと

2020/4/20
イノベーションの目的・計画

イノベーションを推進していくためには、それを実施するための目的の設定、実現するための計画立てることにより成功確立を飛躍的に向上させることができます。なぜならば、目的や計画が明確にされることにより、組織として進むべき方向性や関係者との合意を取ることが容易になります。

そこで本稿では、イノベーションの目的を設定する際の注意点と、その目的を達成するための計画をどのように定めれば良いのかについてご説明していきます。こちらは、イノベーションマネジメントシステムの国際規格であるISO56002に基づいています。

企業でイノベーション開発に携わっている方々や、経営者の方々にとってとても参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

イノベーションの目的設定の際に注意すべき7のこと

ではまず、イノベーションの目的を設定する際に、具体的にどのようなことに注意しなければならないのかについてご説明します。ISOでは、以下の7つを挙げています。

  1. イノベーションの方針と整合しており、イノベーションのビジョンを目指している
  2. 組織の複数の機能及び階層にわたって一貫している
  3. (実行可能な場合)測定可能である又は検証可能である
  4. 適用される要求事項を考慮に入れる
  5. 監視する
  6. 伝達及び理解される
  7. 必要に応じて、更新する

1つ目の「イノベーションの方針の確立法」についてはこちらの記事もご覧ください。
https://relic.co.jp/throttle/21368/

上記を簡単にまとめると、組織として一貫したイノベーションの目的をもち、それを全体で共有しながらイノベーションを推し進めていくということです。

不確実性が高く、失敗する確率も高い新規事業・イノベーションに関する取り組みは、周囲から理解を得られないこともありうるでしょう。そうならないためにも、イノベーションの取り組みを全体で共有して、どのような目的に向かって進んでいるのかをしっかりと共有しておくことが重要になります。

目的達成のための計画にて定める10のこと

イノベーションの目的設定が、イノベーションの成功確度をあげるために非常に大事であることがわかりました。しかし、目的は設定しただけでは達成されません。目的達成のためには、具体的な計画が必要となります。では、その計画にてどのようなことを定めればいいのでしょうか。ISOでは、以下の10のことを提示しています。

  1. 実施事項(特定した機会が存在する分野、及び重視するイノベーションの種類を考慮の上)
  2. 内部及び外部の利害関係者の巻き込む人々
  3. 必要とされるもの(例えば、組織構造、経営資源やプロセスを含めた支援体制)
  4. 責任者
  5. (計画期間及び関連するマイルストーンの点からみた)実施事項の達成時期
  6. イノベーションの取組みを評価するために使用される戦略的な基準及びポートフォリオの基準
  7. 結果の評価方法(イノベーションのパフォーマンス指標の使用を含む)
  8. 結果の保護方法(該当する場合は、必ず)及び活用方法
  9. 実施事項の伝達方法
  10. 文書化した情報のうち保持又は維持するもの

全ての項目に設定する意味があるのは言うまでもありませんが、特に「評価方法」が重要であると言えるでしょう。

その理由としては2つあります。

1つ目は、「従業員に安心して新規事業に取り組んでもらう」ためです。新規事業開発の担当者は、前例がないことに取り組むことに少なからず不安を抱いています。そこで、そのイノベーションが成功した場合にどのようなインセンティブがあるのか、失敗してもクビをきられたりすることなく会社の保障してくれるのか、を明確に開示しておくことが必要となります。

2つ目は、「公平性を担保し、再度のチャレンジを促す」ためです。審査を通して新規事業開発を行っていく場合、評価基準が曖昧ですと「なぜ通過したのか」「なぜ落ちたのか」が不透明になり、特に不通過になった事業案は再度チャレンジすることもなくなりますし、個人としては納得いかないまま落とされ、せっかくのチャレンジに対して、モチベーションを低下させてしまいかねません。

イノベーションの目的・計画を設定せよ

イノベーションの成功のために、目的や計画を設定することが重要であることがおわかりいただけたかと思います。

組織として一貫したイノベーションの目的をもち、それを全体に告知して広く知らせることで合意形成し、さらに具体的な計画において目的達成を現実のものにしていく必要があります。

上記を意識してイノベーション開発に取り組んでみてください。

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