Relicの新規事業支援には様々な形がありますが、今回はもともと会社が保有していた技術を、どう事業化・収益化するかを共に検討し実現に繋げた事例として、大手通信事業社様のAIソリューション事例を紹介します。
もともとは、「人とAIが対話ができるプロダクト」として、社内のR&D(技術調査・技術開発開発)部門の研究の中で生まれた技術。
この会社には、本社とは切り離され独立したインキュベーション組織があり、このAIソリューションはインキュベーション組織内で技術の事業化可能性を模索している段階でした。アイデア自体が研究開発を専門とする部門の出自ということもあって、事業化の検証や収益化の部分はノウハウがなく組織内だけではスムーズに進めるのが難しそうということで、Relicが事業化検証の支援をしてほしいとお声がけ頂いたことから始まったプロジェクトです。
まずは「サービス名称決め」。兎にも角にも、販売するには名前がなくてはと、一緒に考えるところが初めの一歩となりました。担当者の方とディスカッションを繰り返し、覚えやすく、プロダクトのありようを表すワンフレーズを探すところから伴走が始まります。普通の仕事をしていたら新規事業や新商品の名前を考える経験など、1回2回あれば多い方かと思いますが、こういった誕生の瞬間を何度も味わえるのは新規事業に特化してサポートを行っているRelicの仕事の醍醐味といえるでしょう。
サービス名決定後は、このAIソリューションをどうやって事業化させ収益に繋げていくか、共に検討を行いました。ここからがRelicのノウハウが活きるポイントであり、まずはこの技術が使えそうなユースケースを洗い出し、そこから本プロダクトの導入可能性がある業界を網羅的に幅出ししていきます。
まさに新規事業の“あるある”ではあるのですが、長い間そのプロダクトのことを集中して考えているご担当者様は、網羅的に市場を検討している“つもり”、になってしまう場合があります。たまたま検討初期に着想した事業化アイデアに基づいて機能開発を進めた結果、気づいた時にはマーケットボリューム的に事業としての継続が困難になってしまって……という事例も、これまでいくつか見てきました。
本プロジェクトも、ともするとその落とし穴に嵌ってしまいそうになっていたので、我々は、あえて広く検討をはじめることに。少しでも可能性がありそうな業界については関係者にアポイントメントをとってヒアリング。AIソリューションを使った事業展開の方法や導入の可能性を丁寧に探っていく方法を提案・実行しました。
お客様からRelicの支援で最も評価いただく点のひとつが、そのアポイントメント打診からヒアリングなど、想定ターゲットである業種/業界に向けたテストセールスの活動も任せられることです。新規事業コンサルティングだけを行う会社の場合、「この業界にヒアリングをしたらよい」「●●業界に可能性がある」という【方針】だけを示すこともあると伺うのですが、特にこのAIソリューションプロジェクトはメイン担当が研究開発組織出身の方ということもあり、ご自身の経験少ないアポイントメント取りやヒアリングを取り仕切るモデレーター役などいわゆる営業や企画といった立場をRelicの事業プロデューサーが担うことで、かなり安心感や信頼感を持っていただけました。この、「提案するだけではなく、新規事業立ち上げの伴走をする」姿勢は当社が大事にしている「共創」の考え方に通じるものなので、この部分を評価いただけるのは大変嬉しく思っています。
最終的に、このAIソリューションは事業案のひとつとして、インキュベーション組織を卒業。事業化を目指して本社の事業部へと昇格しました。このインキュベーション組織では、卒業要件のひとつとして「ターゲットと市場感が明確になっていること」が求められているのですが、本プロジェクトはそれを見事クリアしたということです。
この結果には、前述した「幅出しのアプローチ」が大きく貢献しています。網羅的に、充分に市場感を検証したからこそ、事業化を審査する方にもAIソリューションの将来性に納得感を持っていただけたそうです。
はじめてお話を頂いた時は、Relicの担当者もその市場性を見出せずにいたところもありましたが、自分たちの無意識下にあるバイアスを取り除き、フラットな思考でファクトベースの検討をしていくRelicならではのノウハウ・アプローチが奏功した事例だと言えるでしょう。
本プロダクトについては、その後有名なアプリのキャンペーンに組み込まれたり、別のハードウェアに搭載されたりと、着実に実績を重ねています。Relicとは営業支援などの形で協力体制も続いており、このプロダクトのさらなる飛躍を楽しみにしています。