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オープンイノベーションの事例5選|座組の型と成功条件を解説

2026/7/13

オープンイノベーションの事例を調べる担当者が確認したいのは、抽象的な定義ではなく、どの企業が誰と組み、どんな座組で何を生んだのかという具体的な事実です。自社でも外部と組みたいが、何から手をつけるか、どの型が自社に合うのか迷っている方も多いでしょう。本記事では、JALやソニー、三井不動産など公開情報で確認できる実在の事例5件を、背景・座組・成果・学びの順に整理します。あわせて事例を座組の型で分け、成功に共通する条件と失敗の典型パターン、貴社で活かすための進め方まで解説します。先に結論を言えば、オープンイノベーションの成否はアイデアの目新しさではなく、誰と組み、どう実行まで運んだかという設計で決まります。

なお、オープンイノベーションの言葉の意味やクローズドイノベーションとの違いは、本記事では深入りしません。ここでは実在事例の中身と、そこから引き出せる実践のヒントに絞って解説します。

オープンイノベーションの事例から学ぶ共通点

オープンイノベーションの事例を並べてみると、業界も組む相手もばらばらでも、成果につながった取り組みには共通の構造が見えてきます。先に結論を示すと、自社にない資産を外部から取り込んだこと、組む目的を一つに絞ったこと、検証から事業化までやりきる人がいたことの3点です。

共通点何が起きていたか確認したい問い
自社にない資産を外部から取り込んだ技術・販路・顧客接点・場のうち、自前で持たないものをパートナーから補った何を外から得たいのかを言語化できているか
組む目的を一つに絞った「とりあえず連携」ではなく、解きたい課題と組む理由が明確だったこの連携で何を解決するのかが一文で言えるか
検証から事業化までを見据えた発表で終わらせず、検証を重ねて世に出す段階まで人と予算を付けた。商品化まで進んだ例もあれば、研究から事業化までつなぐ基盤を先に設計した例もある実行まで担う体制と意思決定の場があるか

この3点は、以降で紹介する事例のいずれにも形を変えて現れます。逆に言えば、この3つが欠けると、相手が大企業でも有名スタートアップでも、連携は記者発表だけで止まりがちです。各事例を読むときは、この共通点がどう現れているかに注目してください。

オープンイノベーションの事例を整理する5つの座組の型

事例は数が多く、ただ眺めるだけでは自社の参考になりません。読み解くには「誰と、どんな座組で組んだか」という型で整理すると、自社に近い事例を選びやすくなります。ここでは公開事例から見える代表的な5つの型を示します。網羅ではなく、自社の検討に使える主要な型に絞りました。

座組の型組む相手向いている狙い本記事の該当事例
大企業×スタートアップ機動力のある外部の起業家・新興企業自社にない着想や技術を、スピードを落とさずに取り込むJAL×みんなのごはん
産学官連携大学・研究機関・公的機関先端技術や基礎研究を事業の入り口にするソニー×東京大学×JAXA
異業種・既存技術の転用別分野で使われている技術の保有者外部の技術を自社の別用途に展開する千石(アラジン)
外部連携の制度化世界中の発明家・特許保有者連携を単発で終わらせず仕組みとして回すP&G(Connect + Develop)
まちづくり型・公民学連携行政・大学・企業・住民が集まる場一社では解けない地域や社会の課題に挑む三井不動産(柏の葉スマートシティ)

型に優劣はありません。自社が何を外から得たいのか(着想・技術・販路・場)によって、組むべき相手と座組が変わります。次章の各事例を、この型と照らしながら読むと、自社が取るべき型が絞り込めます。

オープンイノベーションの実在事例5選【公開情報・出典付き】

ここからは、座組の型ごとに代表的な事例を5件取り上げます。いずれも企業の公式発表・官公庁の資料・主催者の公式情報など、公開情報で確認できる範囲に絞って整理し、事例ごとに出典を添えました。社内資料へ引用する際は、利用時点で各社の一次情報を再確認してください。各事例は「背景→座組→成果→学び」の順で見ていきます。

JAL × みんなのごはん(大企業×スタートアップ)|ピッチの出会いを機内食に育てた例

背景として、大企業が自社にない着想を外部の起業家から取り込んだ事例です。日本航空(JAL)は、ベジタリアン向け食品を手がける起業家との出会いを、新しい機内食サービスにつなげました。きっかけは社外の商談の場でした。

座組は、大企業とスタートアップが、第三者が用意したマッチングの場を入り口に組んだ形です。Innovation Leaders Summit(ILS)の公式事例によると、両者は2014年1月開催の第1回ILSでの商談を起点に連携が始まりました。試食を通じてJALの担当者が品質に手応えを感じ、機内食化の方向で進んだとされています。出会いの場と、その後の二者間の開発がつながった構図です。

成果として、約1年半をかけたレシピ開発を経て、ベジタリアン向けのスペシャルミールが2015年6月1日から国際線の機内食として提供され始めました。ソイミートやこんにゃくミンチなど独自の食材を使い、味わいと食感にこだわった特別食です(出典: Innovation Leaders Summit 公式事例、2026年6月確認)。

この事例から学べるのは、出会いの場は入り口にすぎず、勝負はその後の作り込みで決まるという点です。商談で双方の関心が一致しても、約1年半の地道な開発がなければ商品化には至りません。外部との接点を作ると同時に、選んだ相手と一緒にやりきる時間と体制を見込んでおくことが、連携を成果に変える条件です。

ソニー × 東京大学 × JAXA「STAR SPHERE」(産学官連携)|宇宙を事業の入り口にした例

背景にあるのは、一社では到達しにくい宇宙という領域に、企業・大学・公的機関が役割を持ち寄って挑んだ取り組みです。ソニーグループは、自社のイメージング技術を、宇宙という新しい舞台で事業に育てようとしました。プロジェクト名は「STAR SPHERE」です。

座組は、強みの異なる三者が役割を分担する産学官連携でした。JAXAの公式発表によると、ソニー・東京大学・JAXAは2020年8月5日に「宇宙感動体験事業」の創出に向けた共同開発・技術実証契約を締結しました。ソニーはカメラなどのミッション機器の開発と新規事業の探索を主導し、東京大学はPROCYONやCubeSatといった超小型衛星の知見をもとに衛星の基盤機能と推進系の開発を支援しました。JAXAは衛星開発やISS運用の経験から技術支援と計画のレビューを担いました。この取り組みはJAXAの「J-SPARC」を基盤としています。

成果として、三者は人工衛星にソニーのカメラを搭載し、地上からリアルタイムに操作して宇宙からの映像を届ける仕組みの開発に着手しました。企業の事業構想を、大学の技術と公的機関の運用知見が支える形が動き出した事例です(出典: JAXA プレスリリース、2020年8月5日、2026年6月確認)。

学べるのは、自社単独では難しい領域こそ、役割の異なる相手と組む価値が出るという点です。ソニーのイメージング技術だけでも、大学の衛星技術だけでも事業は立ち上がりません。何を自社が担い、何を相手に委ねるかという役割分担を最初に決めたことが、異なる組織が一つの事業に向かえた理由です。

千石「アラジン グラファイト グリル&トースター」(異業種・既存技術の転用)|外部の技術を別用途に展開した例

背景にあるのは、自社で熱源を一から開発するのではなく、外部から取り込んだ技術を別の用途に展開した事例です。調理家電を手がける千石は、暖房機で使っていた発熱技術を、トースターという別の製品分野に活かしました。アラジンブランドの高級トースターとして知られる製品です。

座組は、外部が持つ技術を取り込み、自社の別事業に転用した形です。複数の公開情報によると、千石は2012年に外部のOEM先から「遠赤グラファイト」を熱源として使う権利を取得し、まず暖房機に搭載しました。その後、季節商品である石油暖房器の売上が冬に偏る課題を補うため、通年で売れる商品として、この発熱技術を調理器へ転用する開発に進みました。自前主義にこだわらず、外部技術を入り口にした点が特徴です。

成果として、わずか0.2秒で発熱する特徴を生かしたトースターが2015年9月に発売され、ヒット商品となりました(出典: 日本エー・アイ・シー プレスリリース 2015年8月25日、特許庁 広報誌「とっきょ」掲載、2026年6月確認)。なお累計の販売台数は報道や時点によって数字に幅があるため、本記事では具体的な台数の断定を控えます。引用する際は各社の公式発表での確認をおすすめします。

この事例が示すのは、オープンイノベーションは大がかりな共同研究だけを指すのではないという点です。外部の技術を取り込み、自社の強みである製品化のノウハウと掛け合わせて別の市場に出す。中堅・中小企業でも、外部の技術と自社の得意分野を組み合わせれば、新しい事業の柱を築けます。

P&G「Connect + Develop」(外部連携の制度化)|連携を仕組みとして回した例

背景にあるのは、外部との連携を一度きりの取り組みで終わらせず、会社の仕組みとして定着させた海外の代表例です。日用品大手のP&Gは、社外の発明家や特許保有者との連携を制度化し、新製品開発の入り口を社外にも広げました。取り組みの名称は「Connect + Develop」です。

座組は、世界中の外部イノベーターとつながる窓口を会社として用意した形です。P&Gの公式情報によると、同社のグローバルチームは社外でも先駆者を探し、発明家や特許権者などとパートナーシップを築くとしています。2001年頃に始まったこの取り組みは、自前主義の発想から、外部の知恵を積極的に取り込む姿勢への転換を象徴するものとして知られています。

成果として確認できるのは、社外の発明家や特許保有者から提案を受けて評価し、新製品開発の探索対象を社外まで広げる仕組みを継続して運用してきた点です(出典: P&G公式サイト、2026年6月確認)。掃除用品の「スウィッファー」などが、この取り組みを起点にした製品としてしばしば挙げられます。ただし個別の製品例や、外部由来のイノベーションが占める割合・売上への貢献額は、公式情報と報道で時点ごとに表現が分かれます。製品例を社内資料へ引用する際は、P&G公式サイトの最新情報で発行元と時点を確認してください。本記事では具体的な数値の断定は控えます。

学べるのは、連携を属人的な一発の出会いに頼らず、仕組みとして回す発想です。担当者の人脈に依存すると、その人が異動すれば連携は途絶えます。社外とつながる窓口と評価の流れを会社の制度に組み込んだことが、P&Gが外部連携を継続的な成果につなげられた理由といえます。

三井不動産「柏の葉スマートシティ」(まちづくり型・公民学連携)|場そのものを共創の基盤にする例

背景にあるのは、一社では解けない地域や社会の課題に、行政・大学・企業・住民が集まる「場」を起点に挑む取り組みです。三井不動産は、千葉県柏市の柏の葉スマートシティを舞台に、街全体を新規事業が生まれる共創の基盤にしようとしています。

座組は、行政・大学・民間企業・住民が一つの街で関わる公民学連携の形です。三井不動産の公開情報によると、柏の葉スマートシティは公民学連携で進められてきた実証都市で、一社では解けない課題に複数のプレイヤーが集まって取り組む場として運営されてきました。街という物理的な環境そのものを、外部のプレイヤーが出会い、試す共創の土台にしている点が特徴です。

成果として、柏の葉では街単位の共創環境を生かした新たな取り組みが続いています。2026年4月には、街の共創環境と新規事業開発の機能を統合し、研究から実証、事業化までをつなぐ新しい枠組みの設立も発表されました(出典: 三井不動産 ニュースリリース、2026年4月23日、2026年6月確認)。新しい枠組みは発表されたばかりのため、本記事では成果の実績ではなく、場を起点に外部を呼び込む座組の例として扱います。

この事例が示すのは、オープンイノベーションの起点は技術や製品だけではなく、人や企業が集まる「場」にもなり得るという点です。実証の環境と、事業を育てる機能がそろっていれば、街そのものが新しい事業の生まれる土壌になります。場を持つ企業にとって、外部のプレイヤーを呼び込む設計は有力な選択肢です。

オープンイノベーションの成功事例に共通する条件

ここまでの5つの事例は、業界も座組もばらばらでした。それでも成果につながった取り組みには、共通する条件があります。事例から逆算した、成功に効いた要因を整理します。

  1. 何を外から得たいのかが明確だった: 着想(JAL)、先端技術(ソニー)、別用途の技術(千石)、外部の発明(P&G)、場と機能(三井不動産)と、得たいものが具体的でした。「とりあえず外部と」では成果につながりにくく、まず自社に足りない資産を言語化することが出発点になります。
  2. 組む相手と座組が狙いに合っていた: スピードが欲しいならスタートアップ、基礎研究が要るなら大学、というように、狙いと相手が対応していました。型を意識して相手を選ぶと、連携の精度は上がるでしょう。
  3. 役割分担を先に決めていた: 特にソニーの事例のように、誰が何を担うかを契約や合意で明確にしていました。役割が曖昧なまま走ると、相手に期待がすれ違い、連携は止まりやすくなります。
  4. 検証から事業化までやりきる体制があった: JALの約1年半の開発のように、発表の先に地道な作り込みがありました。実行を担う人と予算、続けるか止めるかを判断する場を用意できているかが成否を分けます。
  5. 連携を続ける仕組みを持っていた: P&Gや三井不動産のように、一度きりではなく繰り返し回す制度や基盤を整えた取り組みは、成果を積み上げています。鍵になるのは、属人的な出会いに頼り切らない設計でしょう。

これらは一度確認して終わりではなく、連携のフェーズが進むごとに見直すと精度が上がります。特に役割分担と実行体制は、立ち上げ初期に後回しにされやすいため、組む前の段階で言語化しておくことをおすすめします。

成功事例の裏で起きる、失敗・頓挫の典型パターン

華やかな成功事例の裏では、成果に届かず止まる連携もあります。先回りして手を打つために、オープンイノベーションでつまずきやすい主なパターンと、起きる問題、回避の方向性を見ておきましょう。

  • 目的が曖昧なまま連携を始める: 「他社もやっているから」と手段が目的化すると、何を解決したいのかが共有されず、議論が発散します。組む前に、この連携で解く課題を一文で言えるまで具体化しておきましょう。
  • 記者発表がゴールになる: 提携の発表で満足し、その後の検証や事業化に人と予算を付けないと、連携は形だけで終わります。発表は出発点と位置づけ、実行フェーズの体制を発表前に決めておくことが回避策です。
  • 大企業とスタートアップの時間軸が合わない: 意思決定の速さや必要な資金の感覚が両者で異なり、すれ違うことがあります。決裁の窓口を一本化し、判断のスピード感を最初にすり合わせておくと、摩擦を減らせます。
  • 知財や契約の取り決めを後回しにする: 成果が出てから権利の分け方でもめると、連携そのものが壊れかねません。誰が何を持ち寄り、生まれた成果をどう扱うかを、検証に入る前に合意しておく必要があります。
  • 既存事業の評価軸で測る: 不確実な共創を本業と同じ短期の収益で評価すると、芽が出る前に打ち切られがちです。新規の取り組みには別の評価軸と時間を用意することが前提になります。

これらは新規事業全般に共通する失敗の構造とも重なります。撤退の判断や失敗の典型パターンは、別記事『新規事業の失敗原因7パターン』で詳しく扱っています。成功事例から学ぶと同時に、つまずきの構造を知っておくことが、避けられる失敗を減らすうえで有効です。

自社のオープンイノベーションに事例を活かすチェックポイント

事例を自社に活かすには、成果という結果ではなく、その手前の設計を自社に当てはめて確認するのが有効です。事例から逆算した、連携を始める前に押さえておきたい論点を順に挙げます。

  1. 自社に足りない資産を言語化したか: 着想・技術・販路・顧客接点・場のうち、何を外から得たいのかを書き出したか。事例はいずれも得たいものが明確でした。
  2. 狙いに合う座組の型を選んだか: スピードが欲しいのか、基礎技術が要るのか、場を活かしたいのかによって、組む相手は変わります。本記事の5つの型のどれが自社に近いかを検討したか。
  3. 組む目的を一文で言えるか: この連携で何を解決するのかを、相手にも自社の経営層にも同じ言葉で説明できるか。目的が曖昧なまま走らないための歯止めになります。
  4. 役割分担と知財の扱いを先に決めたか: 誰が何を持ち寄り、生まれた成果をどう分けるかを、検証に入る前に合意したか。後回しにすると連携の障害になりやすい論点です。
  5. 検証から事業化まで担う体制を用意したか: 発表の先に、実行する人・予算・続けるか止めるかを判断する場があるか。ここが弱いと、連携は発表で止まります。

これらは一度きりの確認で終わらせず、フェーズが進むごとに見直すと精度が上がります。特に役割分担と実行体制は最初に言語化しておくと、相手とのすれ違いを防げます。なお、外部と組む前に自社内で仮説を検証したい場合は、新規事業のPoC(概念実証)の進め方もあわせて参考にしてください。

事例から見える、実行をやりきる体制の重要性

事例を並べて見えてくるのは、誰と組むかという入り口の選択以上に、組んだ後に検証と事業化を最後までやりきれたかどうかが結果を分けているという事実です。座組が整っても、実行を担う体制が弱ければ、連携は記者発表の段階で止まります。

実行段階でつまずく典型は、企画と実行が分断されることです。連携の構想を描く力はあっても、いざ事業を立ち上げる局面で人手や経験が足りず、検証が前に進まない。成功事例に共通する「やりきる体制」は、ここを乗り越えた結果でもあります。

私たちRelicは、大企業からスタートアップまで5,000社以上の新規事業を支援・共創してきた事業共創カンパニーです。新規事業の支援には、助言やメンタリングを中心にする支援形態もあります。一方でRelicは、常駐・ワンチームで貴社の事業を一緒に推進し、企画と実行を分断しません。外部と組んで事業を生み育てる構想づくりから、生まれた事業の検証・立ち上げまで関わることもできます。連携の構想はあるが実行段階の壁に悩む場合は、事業プロデュース(戦略から実行までの常駐型支援)も判断材料の一つになります。

よくある質問

中小企業でもオープンイノベーションの事例はありますか

あります。本記事の千石のように、外部の技術を取り込んで自社の得意分野と掛け合わせれば、規模に関わらず新しい事業を生み出せる可能性があります。大企業のような大規模な共同研究だけがオープンイノベーションではありません。自社にない技術や販路を外部から補うという発想は、中堅・中小企業ほど有効に働く場面があります。引用できる事例を探す場合は、各社の公式発表や、自治体・公的機関が公表する支援事例など、出典を確認できるものに絞ると安全です。

オープンイノベーションの成功率は高いのですか

成功率を一律に示す公開データは限られ、高い前提で設計する取り組みではありません。新規事業はもともと不確実性が高く、外部との連携も一度で成果が出る前提は置きにくいためです。本記事の事例も、検証と作り込みを重ねた結果です。一件の成功を狙うより、目的を絞った連携を複数試し、知財や撤退の基準を先に決めて学びを残す運用が向いています。

スタートアップと大企業の連携でよくある失敗は何ですか

意思決定の速さや資金感覚の違いから時間軸がすれ違うこと、そして提携の発表で満足して実行が止まることがよくある失敗です。回避するには、決裁の窓口を一本化して判断のスピード感を最初にすり合わせ、発表の先にある検証と事業化の体制を組む前に決めておくことが有効です。知財の取り決めを後回しにしないことも重要です。

事例を社内の説得材料に使うときの注意点は

出典と時点を必ず添えることです。事例の経緯や数値は、報道や時期によって表現が分かれることがあります。社内向けの資料に引用する際は、各社の公式発表・プレスリリース・官公庁の資料など一次情報で裏取りし、いつの情報かを明記しましょう。成果の華やかさだけでなく、その企業が誰と、どんな座組で組み、どう実行したかという設計の部分を伝えると、自社への示唆につながります。

まとめ

オープンイノベーションの事例から見えてくる要点は、次のとおりです。

  • JAL×みんなのごはん、ソニー×東京大学×JAXA、千石、P&Gの4例は、組む相手も座組もばらばらでも、外部の資産を取り込んで商品化や制度化につなげました。三井不動産の柏の葉は、場を起点に外部を呼び込む座組の例として取り上げました。
  • 事例は「大企業×スタートアップ」「産学官連携」「異業種・技術転用」「外部連携の制度化」「まちづくり型」の5つの型で整理でき、自社が何を得たいかで選ぶ型が変わります。
  • 成功には共通点があります。得たい資産が明確で、狙いに合う相手と組み、役割分担を先に決め、実行までやりきる体制を持ったことです。
  • 一方で、目的が曖昧・発表がゴール・時間軸のすれ違い・知財の後回しといったつまずきも共通します。

まず取り組むべきは、自社に足りない資産が何かを言語化することです。得たいものが定まれば、どの型で誰と組むか、誰が実行まで担うかも、後から一貫して設計できます。