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新規事業の成否を分ける「組織」のつくり方:設計パターンからフェーズ別運営、人材マネジメントまで

2026/3/6

新規事業開発において、戦略やアイデアの質だけでなく、「どのような組織で推進するか」が成果を大きく左右します。

PwC Japanグループが2025年に実施した実態調査では、新規事業の成功企業と挑戦企業の間で最も大きな差が見られたのは、案件の進め方ではなく「新規事業組織を強化する動き」であることが明らかになりました。一方で、パーソル総合研究所の調査によれば、既存事業部を主体とした開発組織は、新規事業開発専任の組織と比べて「意思決定の迅速さ」「既存事業の足かせのなさ」「プロセス構築」をはじめとする組織マネジメントが弱く、成功率が低い傾向にあります。

本記事では、新規事業開発における組織設計の考え方を体系的に整理し、フェーズ別の運営ポイント、人材マネジメント、「出島」戦略の実践、そして外部パートナーの選定観点まで、実務で活用できる知見をお届けします。

【本記事の要点】

  • 新規事業の組織設計は5つのパターンに類型化でき、自社の前提条件に応じて選択する必要がある
  • 0→1、1→10、10→100のフェーズごとに組織の役割と運営方法は変わる
  • イノベーター人材は企業の従業員の約3〜5%程度しか存在せず、発掘と関係構築の仕組みが不可欠
  • 「出島」戦略は大企業の制約を突破する有力な手段だが、本体との接続設計を怠ると孤立する
  • 外部パートナーの選定は「戦略立案力」「実行力」「当事者意識」「フェーズ対応力」の4軸で見極める

なぜ新規事業は「組織」で成否が分かれるのか

データで見る新規事業の成功率と組織課題の関係

新規事業の成功率に関するデータは、その難易度の高さを如実に示しています。

文科省が毎年実施する「全国イノベーション調査」によれば、新規事業開発等のイノベーション活動に従事する会社は2015年の38%から2022年の51%まで増加しています。しかし、取り組む企業が増えても成果に結びついているとは言い難い状況です。アビームコンサルティングの調査(2018年)によれば、大企業が立ち上げた新規事業のうち累積赤字を解消できたものはわずか7%にとどまりました。

PwCの2025年調査でも、投資回収まで至っている新規事業案件を持つ「成功企業」は全体の2割程度にとどまり、目標とする主力事業化にまで至っている企業は1割に満たないことが示されています。

では、成功企業とそうでない企業の違いはどこにあるのでしょうか。パーソル総合研究所の調査では、新規事業開発の成功に寄与する組織マネジメント要因として「意思決定の迅速さ」「プロセス構築」「スキル・ノウハウ獲得」「新規事業開発人材の確保」「適切な評価・マネジメント」が、実施率が低いが成功度との相関が高い注力すべきポイントとして特定されています。

つまり、新規事業の成否は「何をやるか」だけでなく、「どのような組織体制で推進するか」に大きく依存しているのです。

大企業が直面する3つの組織的壁

大企業の新規事業開発を阻む組織的な壁は、主に以下の3つに集約できます。

具体的な現象 根本原因
意思決定のスピード不足 複数の承認者・ステークホルダーによる社内調整に時間がかかる 既存事業に最適化された意思決定プロセス
実行人材の不在 戦略は描けても、事業を形にできる人材がいない イノベーター人材の発掘・育成の仕組みがない
リスク許容度の低さ 既存事業と同じ精度の計画・成果を求められる 既存事業基準の評価制度がそのまま適用される

関係者が多すぎることは大企業ほど顕著な課題であり、社内調整に時間がかかりスピード感を欠いてしまうパターンが多いとされます。

「ステージゲート法」などの管理手法も、運用を誤ると新規事業を阻害する要因になり得ます。大企業では「一度ゲートを通過した計画は変更不可」という硬直的な運用になりがちです。

これらの壁は、いずれも「既存事業に最適化された組織のしくみ」が新規事業に対して逆機能を起こしている状態です。この構造的な問題を解決するために、新規事業に適した組織設計が求められます。


新規事業組織の5つの設計パターンと選定基準

新規事業を推進する組織体制は、大きく5つのパターンに類型化できます。それぞれに利点と課題があり、自社の経営資源やインキュベーション戦略に合わせて選択することが重要です。

5つの組織パターン比較

パターン 概要 向いている場面 注意点
①経営直轄型 CEO/CDOの直下に新規事業専門組織を設置 トップダウン型の大型テーマ推進 トップ交代時に継続性が損なわれるリスク
②事業部内探索型 既存事業部の中に新規事業チームを配置 既存顧客・技術を活かす隣接領域 既存事業の論理に引きずられやすい
③独立部門型 新規事業開発専任の部署を新設 継続的に複数テーマを探索 本体との連携が希薄になるリスク
④出島型(子会社・JV等) 別法人として設立し、意思決定を分離 高い不確実性のある革新領域 本体への成果還元の設計が不可欠
⑤プログラム型 社内ビジネスコンテスト・公募制度 組織風土醸成とイノベーター人材の発掘 事業化への接続設計が弱いと尻すぼみに

パーソル総合研究所の分析では、既存事業部主体で新規事業開発を行う企業は組織マネジメントが弱い傾向があり、独立部門の設立が効果的であることが示唆されています。

「両利きの経営」の理論では、探索を担う組織と深化を担う組織をしっかり分けることが重要とされます。同じ管理基準や評価基準を新規事業に適用してしまうことが、新規事業が育たない理由の一つとして指摘されています。

自社に適したパターンを選ぶための判断軸

以下の5つの問いに答えることで、自社に適した組織パターンの方向性が見えてきます。

【【組織パターン選定チェックリスト】】

  1. 狙う領域の不確実性は高いか?
  2. 高い(革新領域・新市場創造)→ ④出島型 または ①経営直轄型
  3. 中程度(隣接・周辺領域)→ ②事業部内探索型 または ③独立部門型
  4. 経営トップの新規事業へのコミットメントはどの程度か?
  5. 高い → ①経営直轄型 が機能しやすい
  6. これから醸成 → ⑤プログラム型 で土壌をつくる
  7. 既存事業のアセット活用はどの程度重要か?
  8. 強く活用 → ②事業部内探索型(ただし独立性の確保が前提)
  9. アセット依存度が低い → ④出島型
  10. 意思決定のスピード要件は?
  11. 数日〜数週間単位で判断が必要 → ④出島型
  12. 四半期単位でも可 → ③独立部門型
  13. 目的は事業成果か、人材育成・風土醸成か?
  14. 事業成果重視 → ①②③④
  15. 風土醸成と人材発掘 → ⑤プログラム型

なお、書籍『イノベーションの再現性を高める 新規事業開発マネジメント』(北嶋貴朗著)では、新規事業開発のアプローチをクローズド/オープンイノベーション、顕在/潜在需要、事業成果/組織風土の軸で分類するフレームワークが提示されており、これらを組み合わせて自社に適したアプローチを選定することが推奨されています。


フェーズ別に見る新規事業組織の設計・運営の要点

新規事業開発は、0→1(事業構想)、1→10(事業創出・事業化)、10→100(成長・拡大)の各フェーズで求められる組織機能が大きく異なります。それぞれのフェーズで注力すべきポイントを整理します。

0→1(事業構想フェーズ)の組織運営

目的:質の高い課題仮説を発見し、提供価値と解決策の方向性を定める

【組織設計のポイント】

  • 少人数・高機動のチーム編成:2〜5名程度の小規模チームで、顧客への深いインサイト獲得に集中する
  • 既存事業の評価軸からの分離:売上・利益ではなく、「仮説検証の回数」「顧客インタビュー数」「学習量」をKPIに設定する
  • 経営層との直接のレポートライン:中間管理職を介さず、意思決定のスピードを確保する

【よくある詰まりと回避策】

詰まり 原因 回避策
アイデアは出るが前に進まない 評価基準が既存事業と同じ 事業構想フェーズ専用の評価観点を設計する
顧客接点が確保できない 既存チャネルに依存 外部ネットワークやプロトタイプを活用した直接アプローチ
「やらない理由」が社内で量産される リスク回避文化 心理的安全性の確保と経営層のスポンサーシップ

クニエの実態調査では、企画フェーズと立ち上げフェーズでリーダーが専任のケースでは、最重要KPI達成度100%以上の割合が兼務のケースの約2倍になることが示されています。

1→10(事業創出・事業化フェーズ)の組織運営

目的:プロダクトを開発し、初期顧客を獲得して事業性を検証する

【組織設計のポイント】

  • ビジネス×テクノロジー×クリエイティブの統合チーム:事業企画、エンジニアリング、デザインの各機能が一体となったチーム構成が有効
  • 外部リソースの戦略的活用:プロダクト開発やテストマーケティングにおいて、社内に不足する専門機能を外部パートナーで補完する
  • スプリント型の意思決定サイクル:1〜2週間単位で仮説検証→判断→方向修正のサイクルを回せる権限移譲

【すぐやる一歩】

  • 現在のチーム構成を「ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ」の3軸でマッピングし、空白領域を特定する
  • 空白領域について、社内異動・外部パートナー・業務委託のいずれで充足するかを判断する

10→100(成長・拡大フェーズ)の組織運営

目的:事業を自律的に成長させ、全社戦略との親和性を高める

【組織設計のポイント】

  • 専門機能の分化と強化:マーケティング、営業、カスタマーサクセス、オペレーションなど、事業の拡大に必要な機能ごとに体制を整備する
  • 既存事業との接続:既存事業の顧客基盤やブランドなど、全社のアセットを活用するための連携スキームを構築する
  • 収益性の自律化:事業のP/Lから生み出された利益で成長に必要な投資を賄える構造をつくる

書籍『新規事業開発マネジメント』では、持続的な成長を実現するためのアプローチとして「顧客セグメントの拡大」「LTVの最大化」「スイッチングコスト向上による顧客基盤の自然維持・拡大」の3つが提示されています。

PwCの調査では、多くの企業が3年で新規事業の成否を判断し、組織変更頻度も3年単位が最多となっています。この時間軸を前提に、フェーズに応じた組織設計と移行計画をあらかじめ描いておくことが重要です。


新規事業組織を支える人材マネジメント:イノベーター人材の発掘と育成

新規事業組織の成否を決める最大の変数は「人」です。どれほど優れた組織設計をしても、それを動かす人材がいなければ事業は前に進みません。

イノベーター人材の要件と希少性

書籍『新規事業開発マネジメント』では、イノベーター人材の要件を6つの要素で定義しています。

  1. 志向性:新規事業に取り組みたいという意志と熱量
  2. 資質:3つの「シコウ力」(志向力・思考力・試行力)
  3. 新規事業開発の経験
  4. 新規事業における共通スキル・知識
  5. 新規事業における専門スキル・知識
  6. 成果創出とそこから得られる示唆や自信

同書によれば、すぐに事業開発のリーダーを任せられるイノベーター人材は企業の従業員の約3〜5%程度しか存在しないとされています。イノベーター候補人材を含めても約10%前後にとどまるため、その発掘と育成は組織的な取り組みとして設計する必要があります。

発掘のポイントは「志向性」で候補人材の母集団を把握し、「資質」で見極めることです。

  • 志向性の把握方法:新規事業プログラムへの応募履歴、業務外での自発的な調査・研究活動、社外イベントへの参加状況など
  • 資質の見極め方法:実践形式の研修やパイロットプロジェクトでの行動観察、対話による定性的評価

注意すべきは、既存事業で高い評価を得ているエース人材が必ずしもイノベーター人材とは限らないという点です。既存事業と新規事業では求められるスキルセットが大きく異なるため、過去の評価だけで判断すると適性の低い人材をアサインしてしまうリスクがあります。

心理的安全性と評価制度の再設計

新規事業組織が機能するためには、メンバーが安心して仮説検証に取り組める環境づくりが不可欠です。

心理的安全性の研究で知られるハーバード・ビジネス・スクールのエドモンドソン教授によれば、心理的安全性によって「チームメンバーは自分の貢献が重要であると感じ、報復を恐れることなく発言できるため、エンゲージメントとやる気が向上する」とされています。

心理的安全性が保たれている環境では、多様な視点が尊重されることで組織全体の創造性が向上し、イノベーションを促進する上で非常に重要な要素とされています。

【新規事業組織の評価制度で考慮すべき3つの原則】

  1. プロセスKPIの重視:売上・利益ではなく、仮説検証の速度・学習量・顧客接触頻度などを評価する
  2. 失敗の再定義:撤退や方向転換を「失敗」ではなく「投資に対する学びの回収」と位置づける
  3. 報酬・キャリアの保障:新規事業への挑戦が既存事業のキャリアパスにおいて不利にならない仕組みを設ける

パーソル総合研究所の調査では、新規事業開発担当者が成功のために強化すべきと考える人事施策として「上長の理解やサポートの促進」(47.0%)、「挑戦的な取組みを推奨・評価する人事評価制度」(38.8%)が上位に挙がっています。

書籍『新規事業開発マネジメント』では、こうした人材マネジメントの考え方を「IRM(Innovator Relationship Management=イノベーター・リレーションシップ・マネジメント)」という概念で体系化しています。これは、CRMの手法をイノベーター人材に応用し、希少なイノベーター人材の体験(IX=Innovator Experience)を向上させることで良好な関係性を築き、能力や成果の最大化を目指すアプローチです。

【IRM実践の4ステップ】

ステップ 内容 主な施策例
①考え方の醸成 IRMの思想を組織に浸透させる 経営層への理解促進、新規事業の意義の共有
②人材の発掘・配置 イノベーター人材を見つけ、適切に配置する 志向性×資質の見極め、新規事業プログラムの活用
③育成・伴走 能力と成果を最大化する仕組みを構築する IRM実践主体の設置、イノベーター・ジャーニー・マップの活用
④エコシステムの構築 継続的にイノベーター人材が育つ循環をつくる 事業開発経験者のマネジメント登用、ナレッジの形式知化

特に重要なのは③のステップにおいて、新規事業開発チームとは別に「IRMを実践・運用する主体」を設けることです。新規事業に没頭するイノベーター人材やチーム自身は、進捗や状況を客観視することが難しくなります。一歩引いた立場から冷静にフォローアップできる担当者や部署の存在が、再現性のある新規事業開発を実現するための鍵となります。


「出島」戦略:既存組織の制約を突破する組織設計

出島組織の3つの設計原則

経団連が2018年に出した提言では、イノベーティブな新規事業創出に向けて、会社本体と意思決定や評価制度を切り離した異質の組織を「出島」のように立ち上げる方策が有効と言及されています。

出島組織を設計する際に押さえるべき原則は以下の3つです。

原則1:意思決定の独立性を確保する

親会社の意思決定プロセスや文化の影響を受けず、独立した形で事業開発を推進できるよう、投資・事業実行の意思決定プロセスを親会社から切り離し、スピーディーに承認できる体制を整備することが重要です。

原則2:評価基準を出島専用に設計する

出島では、評価軸を「売上」ではなく「学習量」や「行動数」に置いたり、意思決定の権限を現場リーダーに大幅に委譲したりといった特別ルールを適用することが有効です。

原則3:本体との接続点を設計する

出島は独立性の確保が重要である一方、既存事業のアセットを活用できなければ大企業である意味が薄れます。ニッセイ基礎研究所のレポートでも、出島が孤立し担当者が本体と外部の板ばさみで苦しむ構造にならないよう、本体側の体制整備や機運醸成も必要であると指摘されています。

出島組織の5つの成功条件チェックリスト

出島戦略を検討する際は、以下の5項目を確認してください。

  • 経営層のスポンサーシップ:出島の設立意義を理解し、必要な権限と予算を付与する経営層がいるか
  • 出島リーダーの適性:新規事業開発の経験があり、既存組織と出島の両方の論理を理解できる人材か
  • 成果の時間軸の合意:出島戦略による成果が出るまでには数年はかかることを覚悟し、2〜3年で効果が出ないからと中止を検討しない方針が共有されているか
  • 本体との連携チャネル:既存組織側との接点(人材の交流や実務レベルでの連携の推進など)を意図的に作り出す仕組みがあるか
  • 出口戦略の設計:出島で生まれた事業を本体に統合するのか、子会社として独立させるのか、カーブアウトするのか、あらかじめ複数のシナリオが描かれているか

オライリー教授も、大企業が新規事業のための小規模な組織を作り、既存事業の行動様式に邪魔されずに成長する仕組みを作るには、トップによる戦略立案と全社への情報共有が欠かせないと述べています。


新規事業組織の設計・運営 総合チェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、新規事業組織の設計・運営に関する総合チェックリストを整理します。組織の現状診断や新設時の設計指針としてご活用ください。

# 確認項目 チェック観点
1 インキュベーション戦略との整合 全社の経営戦略における新規事業の位置づけは明確か
2 組織パターンの選定根拠 不確実性の高さ、アセット活用度、意思決定スピード等に基づいて選定しているか
3 フェーズに応じた組織設計 0→1、1→10、10→100でチーム構成・権限・KPIを変えているか
4 意思決定の独立性 既存事業の承認プロセスとは分離された意思決定フローがあるか
5 評価制度の分離 新規事業専用の評価基準(仮説検証速度・学習量等)が設定されているか
6 イノベーター人材の発掘・配置 志向性と資質に基づく人材発掘の仕組みがあるか
7 IRM実践主体の設置 新規事業チームとは別に、客観的にフォローアップする担当・部署があるか
8 心理的安全性の担保 失敗を許容し、率直な議論ができるチーム文化が醸成されているか
9 本体との接続設計 既存事業のアセット活用と成果還元のチャネルが設計されているか
10 外部パートナーの活用方針 不足する機能を外部で補完する方針と選定基準が定められているか

外部パートナーの活用と選定の4つの観点

新規事業開発において、すべての機能を自社内で賄うことは現実的ではない場合があります。特に、新規事業の専任人材が限られる大企業では、外部パートナーの戦略的な活用が事業スピードを左右します。

パートナー選定で見るべき4つの観点

外部パートナーを選定する際は、以下の4つの観点で評価することを推奨します。

観点 確認ポイント
①戦略立案力 自社の経営戦略やインキュベーション戦略を理解した上で、新規事業の方向性を共に描けるか
②実行力 戦略を「絵に描いた餅」で終わらせず、プロダクト開発・テストマーケティング・営業まで泥臭く実行できるか
③当事者意識 外注先としてではなく、事業の成功にコミットする姿勢があるか。自らリスクを取る仕組みがあるか
④フェーズ対応力 0→1から10→100まで、事業の成長に合わせて柔軟に対応できる機能と体制を持っているか

特に②の実行力と③の当事者意識は、パートナー選定において見落とされがちなポイントです。戦略コンサルティングに強みを持つパートナーと、実行・具現化に強みを持つパートナーでは提供価値が異なるため、自社の課題がどのフェーズにあるかに応じて適切なパートナーを見極めることが大切です。

「共創パートナー」という選択肢

外部パートナーの中には、単なるアドバイザリーや受託開発ではなく、自ら当事者意識を持って事業を共に創る「共創パートナー」として活動する企業もあります。

例えば、事業共創カンパニーRelicは、新規事業開発に特化したSaaS型プラットフォーム「インキュベーションテック」、事業の課題に一気通貫で伴走する「事業プロデュース」、投資や協業を通じて事業を共創する「オープンイノベーション」の三位一体で、大企業からスタートアップまで5,000社以上の新規事業開発に伴走してきた実績を持ちます。

Relicの特徴の一つに、「出島共創スキーム『DUALii(デュアリー)』」があります。これはRelicが事業の運営主体となることで、クライアント企業のレピュテーションリスクを回避しながら、スピード感のある仮説検証を可能にする独自のスキームです。ビジネス(B)×テクノロジー(T)×クリエイティブ(C)が一体となった「BTC組織」によって、事業構想から開発・マーケティング・営業まで、新規事業に必要な機能をワンストップで提供できる点も、大企業の新規事業開発における組織的な課題を補完する選択肢の一つとなり得ます。

もちろん、外部パートナーの活用は手段であり、最終的には自社内で新規事業を推進できる組織と人材を育てていくことが目標です。パートナー選定の際は、「一緒に事業を形にした後、自社にどのような組織能力と人材が残るか」という視点も持つことが重要です。


まとめ:新規事業の組織設計は「仕組み」と「思想」の両輪で

新規事業開発における組織設計は、制度やプロセスといった「ハード」の仕組みだけでは十分に機能しません。IRMの思想に基づく人材との関係構築、心理的安全性を確保するチーム文化、そして失敗から学ぶ組織風土という「ソフト」の両面が揃って初めて、再現性のある新規事業開発が実現します。

本記事でご紹介した内容が、読者の皆さまが自社の新規事業組織を設計・改善する際の一助となれば幸いです。新規事業開発の成功確率を高めるためには、組織の現状を客観的に診断し、フェーズに応じた柔軟な設計と運営を続けていくことが何よりも大切です。

書籍『新規事業開発マネジメント』の著者であり、Relic代表の北嶋貴朗は「大企業からイノベーションが生まれないと日本は変わらない」という信念のもと、先進的企業の「新規事業開発のエコシステム」を数多くの日本企業に実装することを目指しています。新規事業に挑む一人ひとりの挑戦が正しく評価され報われる社会の実現に向けて、組織という土台から変革を起こしていくこと。それが、これからの日本企業に求められる姿なのではないでしょうか。

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この資料で分かること

  • Relicが提唱する新規事業開発プロセス「3つのフェーズ・7つの検証項目・10のプロセス」の全体像
  • インキュベーションテック、事業プロデュース、オープンイノベーションの三位一体による共創モデル
  • 出島共創スキーム「DUALii」をはじめとする大企業向け組織課題の解決アプローチ

こんな方におすすめ

  • 新規事業の推進組織を新設または再編する検討をされている方
  • 現在の新規事業組織の体制・プロセスに課題を感じている方
  • 外部の共創パートナーの選定にあたり、比較検討の情報を集めている方

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参考文献

Web:PwC Japanグループ『新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025年』、2025年

Web:パーソル総合研究所『企業の新規事業開発における組織・人材要因に関する調査』、2022年

Web:アビームコンサルティング『「新規事業取り組み実態調査」から見えた新規事業の成功と失敗を分けるもの』

Web:文部科学省 科学技術・学術政策研究所『全国イノベーション調査』各年版

Web:ニッセイ基礎研究所『大企業の「出島」戦略』、2019年

Web:野村総合研究所『企業のオープンイノベーションを促進する「出島」戦略』、2020年

Web:クニエ『新規事業の実態調査レポート』、2020年

書籍:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン『両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』東洋経済新報社、2019年

書籍:エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織 「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版、2021年