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新規事業×社内起業 — 大企業が「事業を形にする」ための制度設計・プロセス・外部活用の実践ガイド

2026/3/6

大企業における新規事業開発の重要性はかつてないほど高まっています。文科省が実施する「全国イノベーション調査」によれば、イノベーション活動に従事する企業は2015年の38%から2022年の51%まで増加しています。一方で、PwCコンサルティングの「新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025」では、8割の企業が新規事業の「成功」に至っていないことが明らかになりました。

こうした現実を前に、多くの企業が注目するアプローチの一つが「社内起業(イントレプレナーシップ)」です。社内起業とは、企業に在籍したまま新規事業を立ち上げる仕組みであり、社内ベンチャー制度、新規事業提案制度、カーブアウト、出向起業など、さまざまな形態があります。

本記事では、大企業の新規事業開発責任者が明日から実務に活かせるよう、社内起業の制度設計から運用のポイント、フェーズ別のプロセス、よくある失敗パターンと回避策、そして外部パートナーの選定観点までを体系的に解説します。

【本記事の要点:】

  • 社内起業は、大企業の経営資源を活かしつつスピーディな事業開発を実現する有力な選択肢である
  • 成功には「制度設計」「評価・撤退基準」「経営トップのコミットメント」の3要素が不可欠
  • 「0→1」「1→10」「10→100」のフェーズごとに異なるマネジメントが求められる
  • 新規事業経験者の不足は構造的課題であり、外部パートナーの活用が現実解となるケースが多い
  • 外部パートナー選定は「戦略助言型」と「実行伴走型」の違いを理解した上で判断する

社内起業とは — 定義・類型・独立起業との違い

社内起業の定義と主な形態

社内起業とは、企業の従業員が自社に在籍したまま新規事業の立ち上げに挑む仕組みの総称です。既存の資金やノウハウ、リソースを活用できるため、独立起業よりも低リスクで挑戦できるのが特徴です。

社内起業の主な類型は以下のとおりです。

類型 概要 特徴
社内ベンチャー制度 社員からアイデアを公募し、審査を経て事業化を推進 ボトムアップ型。社員の当事者意識を醸成しやすい
新規事業提案制度(ビジネスコンテスト型) 定期的にアイデアコンテストを開催し、優秀案を事業化検討に移行 全社的な風土醸成と人材発掘に有効
トップダウン型プロジェクト 経営層が戦略的に領域を定め、専門チームを組成 事業規模やスピード感を確保しやすい
カーブアウト 社内で立ち上げた事業を子会社化・独立させる 意思決定の独立性と既存事業との棲み分けに有効
出向起業 社員が退職せず外部資金で起業し、出向先として経営に携わる 身分保障とスタートアップの機動性を両立

独立起業(アントレプレナーシップ)との違い

イントレプレナー(社内起業家)は自社に属したまま起業するため、自社のバックアップを受けながら事業を展開できます。一方、アントレプレナー(独立起業家)はすべての責任を負い、ゼロからスタートすることになります。

書籍『イノベーションの再現性を高める 新規事業開発マネジメント』(北嶋貴朗著)では、企業内新規事業とスタートアップの構造的な違いを以下のように整理しています。

比較項目 企業内新規事業 スタートアップ
資本力 中~大 小~中
意思決定の速さ 遅い傾向 速い
方向転換(ピボット) 困難 容易
既存事業の有無 あり(比較圧力が発生) なし
狙う市場規模 中~大が求められる 小~大まで多岐
経営資源の活用 既存アセットを活かせる ゼロから構築

この違いを正しく認識しないまま「スタートアップの真似事」をしてしまうことが、大企業の新規事業がうまくいかない要因の一つであると同書は指摘しています。


なぜ今、大企業に社内起業が求められるのか — 3つの構造的背景

背景①:既存事業の成長限界とVUCA時代の到来

日本では多くの産業で市場構造が成熟化しており、人口減少や可処分所得の伸び悩みが見られる中、既存事業の成長に停滞感を抱く企業が、新たな柱となる事業の姿を模索しています。

マッキンゼーのグローバル調査によれば、世界のCEOの62%が新規事業の構築を自社の3大優先課題の一つに位置付けています。プロダクト・ライフサイクルの短命化が進む中、企業は新たな収益の柱を継続的に生み出すことが求められています。

背景②:国の制度整備と社内起業の後押し

国もスタートアップ支援を重要施策に位置づけ、大企業の新規事業創出を後押ししています。オープンイノベーション促進税制やスピンオフ税制の拡充により、大企業がスタートアップ企業へ投資したり、自社から新事業子会社を分離・創出したりする動きを促進しています。

加えて、経済産業省では「大企業等人材による新規事業創造促進事業」により、大企業等の人材が所属企業を辞職せずに起業し、出向等を通じて新規事業を開発する「出向起業」を支援してきました。採択案件の累計は64件に達し、1度の公募で24件の採択は過去最多であり、出向起業スキームの普及が進んでいます。

背景③:「事業を創る人」の圧倒的な不足

書籍によれば、「多くの企業では新規事業開発の経験者が圧倒的に不足している。企業で働く大半の従業員が既存事業の中で分業された業務やオペレーションの改善を担い、プロダクト・ライフサイクルでいうところの成長期や成熟期に属する事業運営の経験しかない」と述べられています。

さらに「経営トップやマネジメント層ですら、新規事業開発や導入期の事業経験を持っていないケースもある」として、新規事業開発の経験を持たない経営陣の下で、同じく経験を持たないメンバーが既存事業の論理で新規事業に取り組む「構造的な歪み」が多くの企業に存在すると警鐘を鳴らしています。

社内起業制度の導入は、企業文化の活性化や起業家マインドの育成にも貢献します。挑戦を通じて従業員は経営視点を養い、実行力や判断力を高めていきます。これは経営人材の育成という観点からも大きな意義があります。


大企業の社内起業を阻む5つの壁 — 現場で頻出する課題

壁①:既存事業との比較圧力

書籍では「企業内新規事業の場合、赤字に厳しく、求められる売上高や利益の規模も既存事業と同等以上となるケースも少なくない。特に大企業では100億円以上の事業規模のみを成功として捉えることもある」と指摘されています。

既存事業が年間数百億円の売上を生んでいる環境では、年商1億円の新規事業は「誤差」として扱われがちです。しかし、0→1の段階では小さな兆しの中に事業の核があることが多く、既存事業と同じ物差しで評価すると芽を摘んでしまうリスクがあります。

壁②:意思決定の遅さと社内調整コスト

新規事業推進部署のミッション達成に向けた壁として、「ノウハウの不足」(28件)、「既存事業の非協力・部署間の壁」(26件)が上位に挙がっています。

大企業ほど新規事業に関わる承認者・ステークホルダーが多く、社内調整に時間がかかるため、スピード感を欠いてしまうパターンは、多くの現場で実感されているのではないでしょうか。

壁③:「失敗しないことが出世の近道」という評価制度

書籍では「既存事業においては『失敗しないことが出世の近道』となりがちだが、不確実で失敗に終わる可能性が高い新規事業に、そのような減点方式は適していない」と指摘しています。

さらに「リスクを取って挑戦する人材が報われないなら、そもそも新規事業に挑戦しようという意志や気概を持った人材が出てきません」とも述べられており、評価制度の見直しは社内起業の成否を左右する重要な論点です。

壁④:短期業績へのプレッシャー

書籍によれば「特に上場企業においては、株主や投資家に対して合理的・論理的な説明責任を問われ続け、短期的な業績や成果も出しつつ株価や時価総額を気にしながら経営せざるを得ない」とされています。実際に多くの企業が3年で新規事業の成否を判断している傾向が調査で明らかになっています。

壁⑤:経営トップのコミットメント不足

書籍では「雇われている立場の経営者は、任期も短期政権で終わってしまうこともある。このような企業では、経営トップになっても『大きな問題を起こすことなく任期を終えよう』とするインセンティブが働いてしまう」と指摘されています。

【【セルフチェック】あなたの組織に当てはまる壁はいくつありますか?】

  • ■ 新規事業の評価基準が既存事業と同じKPIで運用されている
  • ■ 事業案の承認に3つ以上の会議体を経由する必要がある
  • ■ 新規事業の責任者が兼務で、既存業務が優先されている
  • ■ 新規事業の失敗がキャリアに不利に働く(または、そう認識されている)
  • ■ 経営トップが新規事業の進捗を月次で確認する場がない

3つ以上当てはまる場合、制度設計を見直すタイミングかもしれません。


社内起業を成功に導く制度設計 — 7つの実務ポイント

ポイント①:目的の明確化 — 「事業成果」と「人材育成」の比重を決める

社内起業制度には、大きく分けて2つの目的があります。

  1. 事業成果の追求:実際に収益を生む新規事業を創出する
  2. 人材育成・風土醸成:イントレプレナーの育成や挑戦文化を根付かせる

どちらを主目的とするかによって、制度の評価基準や運用方法は大きく異なります。書籍でも、Relicが「事業を創る事業」と「事業を創る人を創る事業」の二軸で活動していることが紹介されており、この2つを分けて設計することの重要性が示唆されています。

ポイント②:新規事業専用の評価制度を設ける

既存事業に最適化された人事・評価の仕組みのまま新規事業に取り組むことは、書籍が指摘する「構造的な歪み」を生みます。

評価の観点 既存事業向け 新規事業向け
KPI 売上・利益・シェア 仮説検証の回数・顧客インサイトの獲得数
評価サイクル 四半期・年次 フェーズ(ステージゲート)ごと
失敗の扱い 減点対象 学習資産として蓄積
報酬設計 固定給中心 株式報酬やインセンティブも検討

書籍では、先進企業の事例として「カーブアウトして子会社化し、新規事業を起案した社員にも株式を取得させ、EXITしたらスタートアップ起業家と同様に多額の報酬を得ることが可能な制度を設定した」「新規事業に失敗しても、元の職場で以前の処遇に戻れることも確約した」というケースが紹介されています。

ポイント③:ステージゲート方式で段階的に投資判断する

最初から大きな予算を組むのではなく、事業のフェーズごとに予算を区切る「ステージゲート方式」を導入することが有効です。「アイデア検証フェーズ」「プロトタイプ開発フェーズ」「初期顧客獲得フェーズ」のように段階を分け、それぞれのクリア条件と予算を定めます。

書籍でも、新規事業開発のプロセスを「3つのフェーズ・7つの検証項目・10のプロセス」に体系化しています。

  • Concept(事業構想フェーズ:0→1):顧客と課題の検証、アイデアの試作・検証
  • Creation(事業創出フェーズ:1→10):プロダクト開発、初期顧客獲得、収益化
  • Complete(成長・拡大フェーズ:10→100):スケール、持続的成長、全社貢献

ポイント④:撤退基準を事前に定める

新規事業の失敗は避けられませんが、書籍では「しなくてもよい失敗は事前に予防して回避すること、そして避けられない必要な失敗はなるべく早く、致命傷にならないようにして、そこから得た学びを活かすことが重要」と述べられています。

撤退基準の設定例:

判断軸 具体例
顧客検証の結果 N件のインタビューで一定割合以上の「お金を払う意思」が確認できない
ユニットエコノミクス LTV ≧ CAC × 3 が一定期間内に見通せない
市場規模 TAMが自社の投資基準に見合わない
時間軸 各ステージゲートで定めた期限を超過した場合

ポイント⑤:「出島」を設計する — 既存組織からの独立性確保

書籍では「将来、既存事業を脅かすような事業をテーマとする」先進企業の事例が紹介されています。「それを競合他社やスタートアップにやられてもいいのですか? どうせやられて困る事業なら自社でやるべきではないでしょうか」と切り返す姿勢が重要です。

社内起業を「既存事業の論理」から物理的・制度的に切り離す「出島」の設計は、スピーディな仮説検証を実現する上で有効な選択肢です。

ポイント⑥:ナレッジの蓄積と形式知化

アビームコンサルティングの調査からは、成功した新規事業の特徴として「ナレッジマネジメント」と「社内の協力を促進する仕組み」の2つの視点が重要であることが示されています。

成功・失敗を問わず得られた知見を組織に還元する仕組みがなければ、個人の経験に依存した属人的な取り組みに終始します。プログラムを通じて得られたデータやナレッジを蓄積・解析・形式知化するプラットフォームの導入は、再現性の高い新規事業開発を目指す上で検討に値します。

ポイント⑦:経営トップの「本気度」を制度に組み込む

アビームコンサルティングの調査からは、役員クラスの関与が新規事業の成功確率を高めていることが確認されています。

書籍でも「経営トップの強いコミットメントによる中長期な投資を通じて、企業内新規事業がぶち当たる特有の課題や壁を乗り越えていくことに尽力する必要がある」と述べられています。経営トップが新規事業を「本気の経営課題」として位置づけ、自ら進捗確認や意思決定に関与する仕組みを制度に織り込むことが重要です。


フェーズ別マネジメントの要諦 — 0→1、1→10、10→100

0→1(事業構想フェーズ):「質の高い課題」を発見する

0→1で最も重要なのは、「誰の、どんな課題を解決するのか」を高い解像度で定義することです。

書籍では、自社が取り組む意義を判断する基準として以下の2点を挙げています。

  1. 全社ビジョンやインキュベーション戦略との整合性があるか
  2. 自社が独自性や優位性を発揮して、継続的に利益が上げられる事業を実現できる可能性があるか

また「企業内の新規事業開発では、自社で取り組む意義や独自性・優位性がない事業、自社のアセットが活かされていない事業には取り組むべきではない」と明言しています。

0→1フェーズのチェックリスト:

  • ■ 顧客インタビューを最低20件以上実施したか
  • ■ 課題の蓋然性を定性・定量の両面で検証したか
  • ■ 自社アセット(技術・顧客基盤・ブランド等)の活用可能性を確認したか
  • ■ 競合がいない理由が「市場がない」ではないことを確認したか

1→10(事業創出フェーズ):「形にして売る」を高速で回す

アビームコンサルティングの調査では、注目すべきはさまざまな苦労を乗り越えてローンチした案件においても半数以上は黒字化を達成できていないという結果が出ています。ローンチしたからといって安心はできません。

このフェーズでは、プロダクトを実際の顧客に届け、反応を見ながら改善を繰り返す「泥臭い実行力」が問われます。書籍では「収益性をなるべく担保しながら顧客数の拡大スピードを最大限に高める」ことを基本方針としており、ユニットエコノミクス(LTV > CAC)の成立を継続的に検証することの重要性を強調しています。

10→100(成長・拡大フェーズ):自立的な成長構造を築く

書籍では、10→100フェーズにおいて「成長のために必要な原資を会社や他の事業部に依存せず、自立した投資による成長を実現する必要がある」と述べ、以下の3つのアプローチを提唱しています。

  1. 顧客セグメントの拡大:ターゲットを広げ、より多くの顧客にプロダクトを届ける
  2. LTVの最大化:アップセル・クロスセルを通じて顧客あたりの価値を高める
  3. スイッチングコストの向上:ネットワーク効果やデータ蓄積で顧客基盤を自然に維持・拡大する

社内起業でよくある失敗パターンと回避策

失敗パターン①:制度はあるが「形骸化」している

社内ベンチャー制度自体が起業家人材を育成するという目的を常に内包しているため、新規事業が小粒のものばかりになり、制度そのものの存続が目的化している企業も散見されます。

【回避策】 制度の目的と期待成果を年次で再定義し、形骸化を防ぐ仕組みを設けましょう。応募数・通過率・事業化率などのファネル指標を可視化し、ボトルネックを特定して改善を繰り返すことが重要です。

失敗パターン②:社内の無関心・管理職の抵抗

新規事業の立ち上げに関して、社内の反応は「無関心」が多く、特にネガティブな反応を示した層は「管理職」であることが分かっています。

【回避策】 書籍が述べるように「良質な多産多死を実現するためには、失敗に対して寛容で、挑戦が歓迎される組織文化や風土の醸成が欠かせない」のです。社内広報の強化、経営トップによるメッセージ発信、成功事例の可視化などを通じて「挑戦が評価される空気」を醸成しましょう。

失敗パターン③:戦略は完璧だが「実行」が追いつかない

新規事業が「成功に至っていない」理由として、「社内調整がうまくいかなかった」(約20%)が上位に挙げられています。

戦略やアイデアの質が高くても、それを形にできる実行力(開発・デザイン・マーケティング・営業)がなければ事業は前に進みません。社内にリソースが不足している場合は、外部パートナーとの協業を早期に検討することが実務的な解決策です。

失敗パターン④:「サンクコスト」に囚われた撤退判断の遅延

書籍では「仮に新規事業に失敗しても、そこで得た知見や経験を元にチームやイノベーター人材は成長し、さらに質を高めた再挑戦を繰り返すことができる」と述べています。撤退は「終わり」ではなく、次の挑戦への学習投資であるという認識を組織全体で共有することが大切です。


外部パートナーの活用 — 選定の観点と比較軸

なぜ外部パートナーが必要なのか

アビームコンサルティングの調査では、コーポレート部門が新規事業開発を担う場合、多くのナレッジを外部から調達して成功に導いている傾向が確認されています。これは、社内に新規事業開発のケイパビリティが十分に揃っていないことが主な要因と考えられます。

外部パートナーを選ぶ3つの判断軸

外部パートナーを選定する際は、以下の3つの観点で自社の課題との適合性を確認することをお勧めします。

判断軸 確認すべきポイント
①どのフェーズに強いか 戦略立案(0→1の上流)に強いのか、プロダクト開発や事業検証(1→10の実行)に強いのか
②実行力があるか アドバイスだけでなく、開発・デザイン・マーケティングなど「手を動かす」機能を持っているか
③当事者意識があるか 「外注先」としての関わり方か、「共同創業者」として当事者意識を持って伴走するか

選定にあたっては、パートナー候補が「戦略助言型」なのか「実行伴走型」なのかを見極めることが重要です。上流の構想策定だけでなく、プロトタイピング、MVP開発、テストマーケティング、初期顧客獲得までを一気通貫でカバーできるパートナーが求められるケースは多いです。

Relicの事業共創アプローチ — 一つの選択肢として

新規事業開発に特化したパートナーの一つとして、事業共創カンパニーRelicがあります。Relicは2015年の設立以来、大企業からスタートアップまで5,000社以上の新規事業に携わり、新規事業開発に特化したSaaS型プラットフォーム「インキュベーションテック」、新規事業の課題に一気通貫で伴走する「事業プロデュース」、投資や協業を通じて事業を共創する「オープンイノベーション」の三位一体でサービスを提供しています。

Relicの特徴的なアプローチとして、Relicが事業の運営主体となって仮説検証を推進する出島共創スキームである「DUALii」があります。これにより、大企業がレピュテーションリスクを回避しながら、スピーディに事業検証を進めることが可能になります。この仕組みを通じて生み出された事業は50件を超えています。

また、Business × Technology × Creativeが一体となったBTC組織により、戦略・企画から開発・デザイン・マーケティングまで、新規事業の形にするために必要な機能をワンストップで提供しています。

ただし、外部パートナーの選定は自社の課題や状況によって最適解が異なります。複数のパートナー候補と対話し、「自社の課題に最も合致する相手はどこか」を見極めることが大切です。


社内起業の成功確率を高めるための実践チェックリスト

最後に、本記事の内容を実務に落とし込むためのチェックリストを整理します。

制度設計のチェックリスト

  • ■ 社内起業の目的(事業成果 / 人材育成)が経営層と合意されている
  • ■ 新規事業専用の評価基準・KPIが設定されている
  • ■ ステージゲート方式の投資判断プロセスが設計されている
  • ■ 客観的な撤退基準が事前に定義され、関係者間で共有されている
  • ■ 経営トップが定期的に進捗を確認し、意思決定に関与する仕組みがある
  • ■ 新規事業経験者のナレッジが蓄積・共有される仕組みがある

フェーズ別の確認事項

フェーズ 確認すべきこと
0→1 顧客課題の蓋然性は検証されているか。自社アセットの活用可能性は検討したか
1→10 MVPで初期顧客の反応を得ているか。ユニットエコノミクスの見通しはあるか
10→100 自立的な成長構造を描けるか。全社戦略との整合性は取れているか

外部パートナー選定の確認事項

  • ■ パートナーの得意フェーズ(0→1 / 1→10 / 10→100)を確認したか
  • ■ 戦略助言だけでなく、実行・実装の機能を持っているか
  • ■ 自社の業界・事業規模の知見があるか
  • ■ 「共創パートナー」として当事者意識を持つ姿勢があるか

大企業から生まれるイノベーションの可能性

新規事業開発等のイノベーション活動に従事する企業は増加傾向にある一方で、大企業が立ち上げた新規事業のうち累積赤字を解消できたものはわずか7%にとどまったとの調査結果もあります。

この厳しい現実に立ち向かうからこそ、制度を整え、プロセスを体系化し、必要に応じて外部の力を借りながら、「良質な多産多死」を組織的に実現する仕組みづくりが求められています。

書籍が描く理想は「大企業や中堅・中小企業が『自社ならでは』のビジョンや戦略を描き、経営資源を活かした独自の新規事業開発に取り組み、さまざまな産業や業界で挑戦し、試行錯誤を繰り返す」という未来です。「日本の企業には、世界に誇れる技術や伝統・文化、アイデアと発想、そして優秀な人材をはじめとする資源がいまだに多く残っている。しかし、そのほとんどはまだ眠ったままで、陽の目を見ず、世界に届けられていない」——この著者の言葉は、多くの新規事業開発担当者が実感するところではないでしょうか。

社内起業という仕組みは、その眠っている資源を解放し、新たな価値として世に届けるための有力な手段です。本記事が、読者の皆様の新規事業開発を一歩前に進める参考書となれば幸いです。

会社概要資料をダウンロード

大企業における新規事業開発の仕組みづくりや、社内起業制度の設計・運用を検討されている方に向けて、事業共創カンパニーRelicの会社概要資料をご用意しています。5,000社以上の新規事業開発に携わる中で体系化した知見・プロダクト・事業共創の取り組みについて、コンパクトにまとめた資料です。

この資料で分かること:

  • Relicの事業共創アプローチ(インキュベーションテック・事業プロデュース・オープンイノベーション)の全体像
  • 新規事業開発の「0→1」「1→10」「10→100」各フェーズに対応したソリューション体系
  • 出島共創スキーム「DUALii」をはじめとする大企業向けの具体的な伴走事例

こんな方におすすめ:

  • 社内起業制度の設計・刷新を検討している新規事業開発責任者の方
  • 新規事業の「戦略」から「実行」までを一気通貫で伴走できるパートナーを探している方
  • 自社の新規事業開発プロセスに外部の知見を取り入れ、再現性を高めたい方

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参考文献

Web:PwCコンサルティング『新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025年』、2025年

Web:アビームコンサルティング『「新規事業取り組み実態調査」から見えた新規事業の成功と失敗を分けるもの』、2023年調査

Web:michinaru株式会社『大企業の新規事業 立ち上げ初年度に関する実態調査(2023)』、2023年

Web:文部科学省 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)『全国イノベーション調査2022年調査統計報告』、2023年

Web:経済産業省『出向起業の促進』

Web:一般社団法人社会実装推進センター『経済産業省事業に採択された24件の”出向起業”経営者インタビューを公開』、2024年

Web:ダイヤモンド・オンライン『日本企業の新規事業は93%が失敗、「なぜうまく行かないのか?」に対する現状打破の第一歩とは』、2024年