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新規事業コンサルの選び方と活用法 — 大企業が「事業を形にする」ための実践ガイド

2026/3/6

新規事業の立ち上げに外部の力を借りるべきか。借りるとしたら、どのようなパートナーを選べばよいのか。「新規事業 コンサル」と検索する方の多くが、こうした問いを抱えているのではないでしょうか。

日本では多くの産業で市場構造が成熟化しており、人口減少や可処分所得の伸び悩みが見られる中、既存事業の成長に停滞感を抱く企業が、新たな柱となる事業の姿を模索しています。一方で、8割の企業が新規事業の「成功」に至っていないという調査結果も出ており、新規事業開発の難易度の高さは数字が如実に物語っています。

本記事では、新規事業コンサルティングの全体像を中立的に整理し、自社に合ったパートナーの選定基準からフェーズ別の活用法、よくある失敗パターンとその回避策までを実務レベルで解説します。

【本記事の要点】

  • 新規事業コンサルには「戦略立案型」「伴走・実行型」「テクノロジー・プラットフォーム型」の大きく3類型がある
  • フェーズ(0→1 / 1→10 / 10→100)ごとに必要なコンサルの機能は異なる
  • 戦略レポートが実行に移されない「絵に描いた餅」問題は、選定時の見極めで回避できる
  • コンサル選定の最重要基準は「新規事業の不確実性を前提としたプロセスを持っているか」
  • 自社の経営資源を活かす視点がないコンサルは、企業内新規事業には適さない

新規事業コンサルとは — 定義と求められる背景

新規事業コンサルティングの定義と役割

新規事業コンサルティングとは、企業が新たな事業を立ち上げる際に、構想から実行・成長までのプロセスを専門的な知見で伴走するサービスの総称です。市場環境の分析、ターゲット設定、ビジネスモデル構築、事業計画策定、実証実験(PoC)など、事業創出に必要なプロセスを体系的にサポートします。

ただし、「新規事業コンサル」と一口に言っても、その守備範囲は提供企業によって大きく異なります。上流の戦略策定に特化する企業もあれば、プロダクト開発やマーケティングの実行まで担う企業もあります。自社が必要としている機能を明確にした上で選定することが、成果を出すための第一歩です。

なぜ今、外部の力が必要なのか — 3つの構造的課題

大企業が新規事業開発において外部パートナーを求める背景には、以下の構造的な課題があります。

課題 内容
ノウハウ・人材の不足 新規事業開発の経験者が社内に圧倒的に不足しており、既存事業のマネジメント手法がそのまま適用できない
社内調整の複雑さ 既存事業部門との利害調整、経営層への説明責任など、意思決定に時間がかかる
リスク許容度の低さ 上場企業特有の株主説明責任や短期業績プレッシャーにより、大胆な投資判断が困難

実際に、大企業の新規事業推進部署が立ち塞がった壁として「ノウハウの不足」と「既存事業の非協力・部署間の壁」が上位に挙げられています。

マッキンゼーのグローバル調査によれば、世界のCEOの62%が新規事業の構築を自社の3大優先課題の一つに位置付けています。経営の優先度は高い一方で、実行の難易度もまた高い。このギャップを埋めるために、外部パートナーの活用が選択肢に上がるのは自然な流れといえます。


新規事業コンサルの類型と選定観点 — 自社に合うパートナーの見極め方

コンサルの類型マップ — 3つのアプローチ

新規事業に関わるコンサルティングは、大きく以下の3類型に分けられます。

類型 主な提供価値 強みが発揮されるフェーズ 留意点
戦略立案・アドバイザリー型 上流の市場分析、戦略策定、経営層への意思決定材料の提供 事業構想〜戦略策定 実行フェーズへの橋渡しが弱い場合がある
伴走・実行型(事業共創型) アイデアの具現化、プロトタイピング、仮説検証、プロダクト開発、組織・制度設計 全フェーズに対応可能 自社のコミットメントが不可欠
テクノロジー・プラットフォーム型 SaaSやツールによる事業開発プロセスの効率化・標準化 アイデア管理〜仮説検証 ツール導入だけでは成果につながらない

重要なのは、どの類型が「正解」かではなく、自社の現在地と課題に合った類型を選ぶことです。たとえば、方針や戦略が定まっていない段階であれば戦略立案型の知見が有効ですし、戦略はあるが実行リソースが不足しているなら伴走・実行型が選択肢になります。

選定時に確認すべき5つのチェックリスト

新規事業コンサルを選定する際は、以下の観点で比較検討することを推奨します。

【新規事業コンサル選定チェックリスト】

  • 新規事業開発に特化した実績があるか:既存事業のコンサルティングと新規事業開発では、求められるプロセスがまったく異なる。新規事業固有の成功・失敗事例を豊富に持っているかが重要
  • 仮説検証型のプロセスを前提としているか:新規事業は既存事業と異なり、データや情報が乏しい状態から始まる。「分析・調査・計画重視」ではなく「仮説構築と検証・実行・修正を重視」するアプローチかどうかを確認する
  • 戦略から実行までの一貫した機能を持っているか:戦略レポートの納品で終わるのか、プロダクト開発やマーケティングまで伴走できるのか。自社が必要とする範囲をカバーしているかを見極める
  • 企業内新規事業の特性を理解しているか:スタートアップの方法論をそのまま適用するのではなく、大企業特有の制約(意思決定プロセス、既存事業との関係、リスク許容度)を踏まえた提案ができるかが分岐点
  • 成果指標と撤退基準を事前に設計できるか:「何をもって成功とするか」「どの段階で撤退判断をするか」を曖昧にしたまま進めるパートナーは、結果的にコストだけが膨らむリスクがある

アビームコンサルティングの実態調査では、成功した新規事業の最も重要な共通要因として「顧客課題の理解の深さ」が挙げられています。コンサル選定においても、「美しいフレームワーク」よりも「顧客と向き合う姿勢と実行力」を重視することが成功への近道です。


フェーズ別に見る新規事業コンサルの活用法

新規事業開発は、フェーズごとに求められるアクションや必要な機能が異なります。コンサルの活用もフェーズに応じて使い分けることで、投資対効果を最大化できます。

0→1(事業構想フェーズ):戦略立案と仮説構築

このフェーズでは、全社のビジョンや方針との整合性を確認しながら、どの領域で新規事業に取り組むかの方向性を定めます。

【このフェーズでコンサルに期待できること】

  • インキュベーション戦略(新規事業の全社的な方針・投資領域の設計)の策定
  • 市場・顧客の課題仮説の構築と初期検証
  • 自社の経営資源(技術・ブランド・顧客基盤等)の棚卸しと活用可能性の分析
  • アイデア創出から絞り込みまでのプロセス設計

【注意点】 このフェーズでの最大の失敗は、全社方針が定まらないまま個別のアイデアに走ることです。判断軸がなければ、どれほど優れたアイデアも社内で正しく評価できず、結果として優先度の高い事業への投資機会を逃すことになります。

1→10(事業創出フェーズ):プロトタイピングと初期顧客獲得

仮説が定まったら、最小限のプロダクト(MVP)を素早く形にし、実際の顧客からフィードバックを得て改善を繰り返すフェーズです。

【このフェーズでコンサルに期待できること】

  • プロトタイプの設計・開発(ノーコード/ローコード含む)
  • テストマーケティング・テストセールスの実行
  • ビジネスモデルの検証とユニットエコノミクスの設計
  • 初期顧客の獲得と定着に向けたグロース施策

アビームコンサルティングの調査では、事業機会の特定後に実際にローンチされた新規事業の比率は約44%、そのうち単年黒字化に至ったものは約21%、累積黒字化まで到達したのはわずか7.1%でした。このデータが示すように、ローンチ後のグロースと収益化こそが最も困難なフェーズであり、実行力を持ったパートナーの価値が最も問われる局面です。

10→100(成長・拡大フェーズ):グロースと組織内定着

初期顧客を獲得し、PMF(Product Market Fit)の手応えを得た後は、事業の拡大と全社への定着を目指します。

【このフェーズでコンサルに期待できること】

  • マーケティング・セールス体制の本格構築
  • 開発組織のスケールとプロダクトの機能拡張
  • 全社戦略との統合(事業ポートフォリオへの組み込み)
  • 内製化に向けた人材育成とナレッジ移管

このフェーズでは、コンサル側への依存度を計画的に下げ、自社で自走できる体制を構築することがゴールとなります。


新規事業コンサル活用でよくある失敗パターンと回避策

失敗パターン①:戦略レポート止まりで実行が伴わない

上流の戦略策定に強いコンサルに依頼したものの、納品された分厚い報告書が社内で共有されるだけで、具体的なアクションにつながらない。多くの大企業が経験する典型的な失敗パターンです。

【回避策】 コンサル選定時に「実行フェーズまで伴走する機能があるか」「過去に戦略策定から事業ローンチまで一気通貫で関与した実績があるか」を確認します。また、契約形態をマイルストーン型にし、検証結果やプロダクトの進捗を成果物として定義することも有効です。

失敗パターン②:スタートアップ手法の安易な模倣

リーンスタートアップやデザイン思考といった方法論を「手段」ではなく「目的」として導入してしまうケースです。企業内新規事業とスタートアップでは、意思決定のスピード、資金の出し手、求められる事業規模などの前提条件が根本的に異なります。

【回避策】 コンサルが「企業内新規事業とスタートアップの構造的な違い」を理解した上で提案しているかを見極めます。特に、自社の経営資源(技術・ブランド・顧客基盤など)をどのように事業の独自性や競争優位性に転換するかという観点を持っているかが重要な判断基準です。

失敗パターン③:撤退基準が曖昧なまま投資を続ける

大企業が立ち上げた新規事業のうち累積赤字を解消できたものはわずか7%にとどまったという調査結果が示すように、大半の新規事業は当初の想定通りには進みません。問題は失敗そのものではなく、撤退基準が定まっていないために「引くに引けない」状態が続くことです。

【回避策】 プロジェクト開始時に、コンサルと共同で以下を設計します。

  • 段階的な投資判断基準(ステージゲート):各フェーズの移行条件を事前に定義する
  • 撤退基準の合意:どの指標がどの水準を下回ったら撤退を検討するかを、プロジェクトチームと意思決定者の間で擦り合わせる
  • ナレッジの形式知化:撤退した場合でも、そこで得た知見や経験を組織に蓄積する仕組みを整える

新規事業コンサルの費用感と投資対効果の考え方

費用構造の基本パターン

新規事業コンサルティングの費用は、提供範囲やプロジェクト規模によって大きく異なります。一般的な費用構造の目安は以下の通りです。

支援内容 費用感(目安) 期間の目安
戦略策定・方針設計 数百万円〜数千万円 2〜6ヶ月
プロトタイピング・PoC 数百万円〜数千万円 1〜3ヶ月
プロダクト開発(MVP〜本格版) 数千万円〜 3〜12ヶ月
伴走型の総合プロデュース 月額数百万円〜 6ヶ月〜数年

※上記はあくまで一般的な目安であり、プロジェクトの内容や規模、契約形態により変動します。

投資対効果を最大化するための3つの原則

  1. 小さく始めて、成果を確認しながら投資を拡大する:最初から大規模な契約を結ぶのではなく、初期フェーズの成果を確認した上で次のフェーズへ進む段階的なアプローチが有効です
  2. 「何を検証するか」を明確にしてから着手する:検証仮説が曖昧なまま進めると、コンサル費用だけでなく社内の人的リソースも浪費します
  3. 内製化を見据えた設計をする:コンサルに依存し続ける構造ではなく、自社にナレッジが蓄積され、最終的に自走できる状態を目指すことが中長期的なROIを高めます

新規事業を形にするために — 「事業共創」という選択肢

ここまで、新規事業コンサルの全体像を中立的に整理してきました。最後に、一つの選択肢として「事業共創」というアプローチについて触れます。

PwCコンサルティングの調査によれば、新規事業の成功企業と挑戦企業の間で最も大きな差が見られたのは「全社戦略の打ち手として位置付けたうえでの新規事業推進」でした。つまり、戦略と実行を切り離さず、全社的なコミットメントのもとで事業開発を進めることが成功の鍵といえます。

事業共創カンパニーRelicは、新規事業開発に特化したSaaS型プラットフォーム「インキュベーションテック」、新規事業の課題に一気通貫で伴走する「事業プロデュース」、投資や協業を通じて事業を共創する「オープンイノベーション」の三位一体で、5,000社以上の新規事業開発に携わってきた実績を持っています。

Relicの特徴は、単なるアドバイザリーにとどまらず、自らもリスクを取って事業を共に創るという「共創」の姿勢にあります。たとえば、Relicが事業主体となり、クライアント企業名義ではなくRelic名義で事業を立ち上げる出島共創スキーム「DUALii」という独自の仕組みでは、レピュテーションリスクを回避しながらスピード感のある仮説検証が可能になります。また、Business×Technology×Creativeが一体となった「BTC組織」により、戦略策定からプロダクト開発、マーケティング・セールスまでをワンストップで推進できる点も、実行力を重視する企業にとっての選択肢となりえます。

もちろん、すべての企業にとってRelicが最適とは限りません。大切なのは、自社の課題やフェーズに照らして、最も成果につながるパートナーを選ぶことです。

会社概要資料をダウンロード

新規事業コンサルの選定を検討されている方に向けて、事業共創カンパニーRelicの会社概要資料をご用意しています。新規事業開発におけるRelicの考え方や具体的なソリューション、組織体制について体系的にまとめた資料です。パートナー選定の比較検討材料としてご活用ください。

この資料で分かること

  • Relicの事業共創アプローチ(インキュベーションテック・事業プロデュース・オープンイノベーション)の全体像
  • 新規事業開発の0→1 / 1→10 / 10→100 各フェーズにおける具体的なソリューション
  • 5,000社以上の取引実績から生まれた組織体制と人材の特徴

こんな方におすすめ

  • 新規事業コンサルの選定にあたり、複数社を比較検討している方
  • 戦略だけでなく、実行まで伴走してくれるパートナーを探している方
  • 大企業特有の新規事業開発の課題に理解があるパートナーを求めている方

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参考文献

Web:PwCコンサルティング合同会社『新規事業開発の取り組みに関する実態調査2025年』、2025年

Web:アビームコンサルティング『「新規事業取り組み実態調査」から見えた新規事業の成功と失敗を分けるもの』、2023年

Web:アビームコンサルティング『新規事業開発』

Web:michinaru株式会社『大企業の新規事業 立ち上げ初年度に関する実態調査(2023)』、2023年

Web:株式会社ソフィア『大企業の新規事業は成功率向上ではなく挑戦回数と体制構築こそがカギ』、2025年

Web:ダイヤモンド・オンライン『日本企業の新規事業は93%が失敗、「なぜうまく行かないのか?」に対する現状打破の第一歩とは』、2024年