オンチップ・バイオテクノロジーズとセカンダリー取引を実施
2025/8/8
ディープテック事業化の資金調達課題に対し、中長期的な支援を実現

事業共創カンパニーである株式会社Relic(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:北嶋 貴朗、以下「Relic」)は、ディープテック領域におけるオープンイノベーションの推進と支援体制の強化を目的として、生きた微生物/細胞の革新的なスクリーニング(選別)技術を保有するオンチップ・バイオテクノロジーズ株式会社(本社:東京都小金井市、代表取締役:小林 雅之、以下「オンチップ社」)の株式を、セカンダリー取引を通じて取得しました。
今回の取引は、大手ITメーカーと銀行グループ、国の機関が出資するディープテック系ファンドの組合期間満了に伴い、既存株主からの株式譲渡という形式で実施されました。本件をRelicは、単なる資本参加にとどまらず、次世代を担うディープテック・スタートアップの挑戦に対する、中長期的な支援を見据えた戦略的投資として位置づけています。
■実施背景
ディープテック領域では、製品・技術の社会実装に至るまでの期間が長期化しやすく、それに伴う資金調達の難しさが事業化における大きな障壁の一つとされています。特に成長期以降のステージでは、既存株主のEXIT課題や後続資本の不足といった課題が顕在化しやすく、事業継続の足かせとなるケースも少なくありません。
オンチップ社は、油中水滴を微小な培養・反応区画として用い、生きた微生物/細胞をスクリーニングすることで、大量のサンプルを高速・高精度で解析する技術を保有しています。それにより見出された有用微生物・有用遺伝子は、SDGsの達成に向けた社会課題の解決に貢献すると期待されています。
一方、その成長過程において、ディープテック領域共通の社会的課題である「事業化までに長期的な期間を有するゆえの資金調達の難しさ」に直面しており、今回のセカンダリー取引は、そうした課題の解決に資する支援になります。
Relicはこれまでもディープテックイノベーションセンターを中心に、ディープテック領域における事業化支援に積極的に取り組んできました。今回の取り組みにより、最先端技術のさらなる可能性を引き出し、事業創出を一層加速していきます。
■今後の展望
Relicはこれまで技術起点のイノベーションを支援してきた経験を踏まえ、本件を「セカンダリー取引」という手法を通じた、ディープテック領域のファイナンス課題解決に向けた重要な一歩と位置づけています。
今後もRelicは、起業家・研究者・事業会社と協働しながら、ディープテック領域の産業化・社会実装に向けたエコシステムの構築を牽引してまいります。
■オンチップ社について
近年の遺伝子工学技術や合成生物学の進展の中、SDGsやグリーン・トランスフォーメーション(GX)などの持続的な経済発展を先端技術を活用して実現するという流れが加速しています。この中で、従来の化石資源を原料とした製造プロセスを微生物に置き換える、いわゆる「バイオものづくり」が注目されています。
オンチップ社は、独自のマイクロ流体技術を活かし、セルソーター(細胞解析・分離装置)やハイスループット微生物スクリーニング・システム等を開発し、その販売によって成長を遂げている企業です。油中水滴を微小な培養・反応区画として用い、生きた微生物/細胞をスクリーニングすることで、大量のサンプルを高速・高精度で解析する技術を保有しています。既にKOL(Key Opinion Leader)にも多数導入を進めており、見出された有用微生物・有用遺伝子は、SDGsの達成に向けた社会課題の解決に貢献すると期待されています。


■セカンダリー取引とは
スタートアップ企業の既存株主が保有する株式を、新たな投資家が譲り受ける形式の株式売買を指します。流動性の確保や資本構成の見直し、次なる成長ステージへの転換を支える有効な手段として、国内外で注目が高まっている投資手法のひとつです。
■Relicの投資実績
Relicは2025年8月時点で40社超への直接投資、Relic HD傘下に17社を創業し経営を進めており、今回のセカンダリー取引を皮切りにディープテック領域の支援をより深化してまいります。

■参考:Relicのディープテック支援活動
Relicは、新規事業開発を支援する企業として、ディープテック領域の事業化を加速する「ディープテックイノベーションセンター」を2025年1月に設立しました。4,000社・20,000件以上の新規事業開発に携わってきた実績と知見を基に、技術の可能性を広げ、事業を生み出していくことを目指し、すでに複数の支援プロジェクトが開始しています。
<発表プレスリリース>
ディープテックを活用した新規事業開発支援を専門的に実行する組織「ディープテックイノベーションセンター」を新設
https://relic.co.jp/press-release/59357/
<インタビュー記事>
技術の6割が消える現実。Relicと挑む「ディープテック事業化」の実態https://prtimes.jp/story/detail/7bZ38jIK3eB
■コメント
株式会社Relic 執行役員 ディープテックイノベーションセンター長 金子佳市

オンチップ社が培ってきたマイクロ流体技術は、合成生物学やGX領域における“バイオものづくり”を加速させる鍵です。今回のセカンダリー投資により、単なる資本供給に留まらず、Relic が強みとする事業プロデュース力・オープンイノベーションネットワークを掛け合わせ、研究段階の技術を産業実装まで一気通貫で伴走できる体制を整えました。ディープテックスタートアップが直面する長期資金ギャップを埋め、社会課題解決型イノベーションが次々と生まれる“循環型エコシステム”を創出してまいります。
株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ 代表取締役社長 小林雅之

当社が保有するマイクロ流路とDropletの技術による細胞・微生物スクリーニング技術は、従来技術と比較して、100~1000倍のサンプル数に対応可能で、そのスループットは1000倍となります。
この技術は、未知微生物や有用微生物の探索、産業利用される微生物の育種に活用されています。Relic様からのオープンイノベーションの支援を通じて、当社技術の普及、用途の拡大、それによる「バイオものづくり」社会の加速・実現に貢献できればと考えています。
■株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ会社概要
会社名:株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ
設立:2005年
所在地:東京都小金井市中町2-16-17
代表取締役社長:小林雅之
事業内容:マイクロ流路技術を用いた生命科学用分析装置の開発・製造・販売。
地球環境の維持と持続的経済発展の両立が求められています。その一つの解が有限の化石資源でなく、再生産できる細胞、微生物による物質生産等のバイオ技術の活用です。
当社が持つ、ドロップレットとマイクロ流路中でのセルソーティング技術により、数十年革新のない、生きた細胞・微生物のスクリーニングを革新し、バイオ技術による物質生産の拡大・普及させ、人類が地球と共存できる循環型社会の実現への貢献を目指しています。
公式ホームページ:https://on-chip.co.jp
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