【COO兼CMOインタビュー】新規事業の成功を導くグローススペシャリストの育成と営業人材の飛躍

倉田 丈寛
取締役COO 兼 CMO
#ビジネス

今回の記事では、Relicの事業をビジネス面で牽引してきた取締役COO兼CMOの倉田 丈寛(くらた・たけひろ)にインタビュー。これまでのキャリアやこれからの展望、そして事業成長を支える営業・マーケティング人材に対するビジョンについて伺いました。

実力で認められる社会でありたい

今までのキャリアについてお聞きします。現在の領域に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。


実は小さい頃から商売の世界に触れる機会に恵まれていました。実家が小さな和菓子屋を営んでいることもあり、「商売」が自然と身近なものだったんです。小学生のときに家業の手伝いとして、1人で大福を行商しながら売ったことがあるんです。どこで売れば良いのか、どのように声掛けをすれば買ってもらえるのか‥そのときに、試行錯誤して大福を売った経験は、今でも記憶に残っています。それが初めての「商売」でした。

大学時代は野球部に所属しており、野球に打ち込んでいたのですが、怪我をきっかけに競技を離れることになりました。それをきっかけに、初めて自分のキャリアについて真剣に考えました。当時は学歴社会の風潮がまだ残っている中、学生時代は野球しかやってこなかったので、キャリア形成に漠然とした不安と学歴コンプレックスを感じてました。そんな中、営業の仕事に触れ合う機会があり、目に見える数字で結果が示され、評価される実力主義の世界であることに魅力を感じたんです。学歴や経歴に左右されるのではなく、自分の努力や成果がダイレクトに評価される環境に惹かれました。営業という仕事は、純粋に自分の力で成績を残し、それが評価や報酬に直結するため、挑戦しがいがあると感じたのです。

確かに営業職は実力主義で、結果が明確に現れる職業ですよね。その後、どのようにキャリアを築いてこられたのでしょうか。


最初はリクルートに入社し、営業の基本スキルを鍛えられました。また、当時から営業は「確率論」だと考えていたので、行動を増やすことを徹底しましたね。その頃は対面での商談が一般的だったため、訪問までの小道を歩きながら周りに聞かれないようにテレアポするなど、とにかく隙間時間があれば行動に移しました。結果として、在籍中に目標達成率250%を果たし、MVPを計6回獲得するに至りました。

その後独立し、マーケティング支援事業やメディア事業等、さまざまな事業を展開する会社を立ち上げました。そこで、「お客さんとの接点量を増やすだけでは売り上げが伸びない」のだと改めて痛感しましたね。リクルートのときは、すでに整った仕組みの中で優れた商品を扱っていました。そのため、営業力とは「いかにお客さんとの接点の数を増やし、関係性を構築し、自社の商品を選んでもらうか」だと考えていました。しかし、起業してゼロから始めると、状況は一転しました。知名度がない状態で商品を売ろうとしたときに、単にお客さんとの接点量や、商談時の対話力を工夫するだけでは不十分だと痛感しました。
もっと経営視点で考える広義の意味でのマーケティングが重要であり、さらに言うと経営視点で見る営業の組織編成やオペレーション構築の必要性を肌で感じましたね。

大手企業から独立したからこそ気づけた視点ですね。その後はどういう経緯でRelicに入社されたのですか。


事業を売却し、もう一度、一から営業やマーケティングの領域で経験を積んで成長したいと考え、その領域の専門コンサルティング会社に入社しました。大企業のお客さんに向けてマーケティング戦略や営業戦略の立案から実行、CRMツールの導入など、大企業内で比較的影響力が大きいプロジェクトに携わる機会を得て、多様な経験を積むことができました。また、プロジェクトの推進と並行して、年間50件以上の講演会登壇の機会もありましたね。その後、2018年に当時10名程度の規模だったRelicに入社しました。

入社後はどのような業務に携わったのですか。


自社プロダクトのSaaS型イノベーションマネジメント・プラットフォームThrottleの立ち上げから国内シェアNo.1に押し上げ、またクラウドファンディングサイト構築SaaS型プラットフォームENjiNEでは、大手企業に導入してもらえるよう戦略設計や営業を中心とした組織作りに加えて、自社プロダクトに留まらず、クライアント企業のPSF〜PMFフェーズを中心とした新規事業のグロース支援を行っていました。
2019年1月からは、社内外の事業の成長を促進し売上や利益の達成を担う事業部の部長に就任。2024年には一部グループ会社のメンバーも含め150名を超える組織を統括する立場になり、現在は取締役COO兼CMOとして、全社横断組織のマネジメントをしながら多くのサービスやソリューションを世に提供出来るように尽力しています。

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新規事業が上手くいかないほとんどの理由は「営業力」がないから

COO兼CMOとしてRelicで成し遂げたいことはありますか。


COO兼CMOとして、経営視点でのマーケティング活動や戦略的アライアンスの推進を通じて新しいビジネス機会を見出し、Relicのさらなる事業成長を牽引していくことを目指しています。そのために、直近では主に3つの取り組みを推進していきます。

顧客価値の創出と発信
現状のRelicには、これまで培ってきたナレッジや独自の提供価値が多くあります。ただ、それを正しく届けたいターゲット市場に伝えきれていない部分が多いと感じています。そこで、Relic独自の潜在的な価値を言語化して、自社メディアの強化など、発信する様々な施策を実施したり、GTM(Go-To-Market)戦略を通じて、ターゲット市場に適切に今まで伝えきれていない価値を伝えていきたいと考えています。

経営・事業部との連携強化
経営視点でのマーケティングを実践まで落とすには、営業や開発など、単独の部門で完結するのではなく、経営との連携が不可欠です。マーケティング施策の優先順位を最適化し、事業成長を最大化するための戦略的なオーケストレーション(統合的な推進)を実現していきます。特に、弊社は多岐にわたるサービスと多くの事業部がありますので、全社視点で一番価値が最大化する取り組みや活動が出来るような仕組み作りやリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

企業責任・ガバナンス対応
Relicの成長を支えるためには、セキュリティ対策等、法令遵守するためのガバナンスの強化も不可欠です。今後のグローバル展開を見据え、各国の規制(GDPR等)への対応や、マーケティング基盤の安全性向上を進めていきます。

グロース分野で10年以上の経験を積み、今はCOO兼CMOに就いていますが、今後のキャリアミッションはありますか。


これまで、新規事業を自身でも複数立ち上げた経験や、お客様の新規事業の立ち上げ支援を多く経験させていただきましたが、一つ断言出来るのは、新規事業が上手くいかないほとんどの理由は「営業力」がないからです。一般的には「営業」は主に販売を司る活動であり部門として理解されていることが多いですが、本来、営業とは「業を営むこと」であり、継続的に業を営み拡大させる力が「営業力」です。

そして、この本質的な営業力を持つ人材(グローススペシャリスト)は、社会的にも市場価値が高い人材だと思います。私自身も、グローススペシャリストとして本質的な営業力をもっと磨いていくと同時に、販売活動をメインにしている営業職の方々が、グローススペシャリストとして成長し、社会的にも活躍出来る環境作りや発信をしていきたいと考えています。

新規事業領域でいえば、アイデアを考えた方や開発職が注目されがちですが、その事業やサービスが商売として成立しないのであれば全く価値がありません。

私は日本の営業職の方々が「販売する機能としての役割」としてではなく、企業や事業の成長の中核を担う仕事であるという本来の正しい「営業」の意味合いに立ち返ることが重要だと考えています。
そして、営業職の方々がさらに誇りを持ってキャリアを描き活躍することで、日本のイノベーションを加速させる社会を目指して、これからも活動や発信をしていきたいと考えております。

メンバーに目指してもらいたい姿


事業家として事業成功させることを目指すのであれば、「営業力」がなければ絶対に上手くいきません。小手先の情報やテクニックに踊らされずに、本質的な情報に触れながら事業に向き合い行動し続ければ、必ず誰からも称賛される事業家として成長出来ると思います。私自身もまだそのレベルに全然到達しておりませんので、一緒にRelicで新規事業開発の経験を通じて成長していきましょう。

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倉田 丈寛
取締役COO 兼 CMO