Case #4

SaaS型クラウドファンディングプラットフォームENjiNE担当者が語る、クラファンの現在地とENjiNEチームの魅力

#インキュベーションテック

Relicが創業初期から提供するサービスのひとつである「ENjiNE」は、企業が独自のクラウドファンディングサイトを立ち上げる際に活躍するSaaS型のプラットフォーム。導入企業は延べ200社を超え、直近ではVtuberをはじめとするエンタメ系において”推し活ブーム”の盛り上がりに一役買っています。

今回の記事では、ENjiNEを提供するチームのメンバーである中根、五十嵐、脇に登場してもらい、国内におけるクラウドファンディングの状況から、ENjiNEチーム内の雰囲気まで幅広く聞きました。

それぞれの会社専用のクラウドファンディングサイトが構築できることが、「ENjiNE」の強み。

まずは、本日インタビューを受けてくださったみなさんのご経歴を簡単に教えて下さい。

中根:2011年に国内有数のメーカーに新卒入社してパソコンやタブレットのハードウェア開発を担当したあと、複数のベンチャーやスタートアップ企業などを経て、2022年8月にRelicに中途入社し、ENjiNEの事業責任者を務めています。現在はENjiNEのプロダクトオーナーとして、メンバーマネジメントや事業管理を担当する傍ら、ENjiNE導入企業様のサイト立ち上げ/運営のプロジェクト推進の役割も担っています。

五十嵐:ファーストキャリアは美容系メーカーに入社。その後ネイリストを育成をするスクール運営のためのPR担当などを経て、ブロックチェーン関連IT企業のバックオフィス、フリーランサーとしてSNS広告運用コンサルなど、様々な仕事を経験してきました。2021年よりRelicに入社し、カスタマーサクセスを担当。現在はENjiNEを導入・クラウドファンディングサイトを運営している企業様の伴走サポートをしております。

脇:2023年4月にRelicに新卒入社しました。学生時代は起業家と学生をマッチングするピッチイベント等を運営したり、学生のキャリア相談サービスなどでインターンを経験しました。現在は新しくクラウドファンディングの運営を検討している企業様の新規開拓から、ENjiNEの営業までを担当しています。

みなさん、様々な形でENjiNEに関わっているのですね。それでは、改めて「ENjiNE」というサービスがどのようなものか、数多くある競合クラウドファンディングサイトとの違いなどを踏まえて教えて下さい。

中根:国内のクラウドファンディングサイトというと、Makuake、CAMPFIRE、READYFORなどのプラットフォームが思い浮かぶのではないでしょうか。プラットフォーム側が集客を担ってくれるため、新しい製品・サービスの初期顧客獲得や、災害発生時の被災支援など、単発的に支援を集めたい際によく活用されています。

対して、ENjiNEの特徴は、「導入企業が自社のクラウドファンディングプラットフォームを構築できるサービスを提供していること」です。前述の既存プラットフォームを使用するフェーズよりも、ひとつ段階が進み、特定のファンに対して継続的にアプローチしたいタイミングなどに活用していただくことが多いですね。SaaS(月額課金)型で構築できるため初期費用が抑えられ、立ち上げ時のリスクを最小限に留めてチャレンジすることができる、という声をいただいています。

これまでENjiNEでは、累計200社以上のクラウドファンディングサイトを立ち上げており、中でも日経新聞社様の「未来ショッピング」、西野亮廣さんの会社であるCHIMNEY TOWN様が運営する「PICTURE BOOK」、その他、ボードゲーム特化の「ボドファン」を始めとしたカテゴリ特化型のサイトが好評です。

五十嵐:導入企業様から直接声を聞くことが多い私の立場では、地方銀行様の運営するクラウドファンディングサイトも購入者の方から評判が上々だと感じています。地元密着型といいますか、その都道府県や地域にゆかりのある品物を一堂に並べることで、地元の産業に貢献できるという点でも購入者の満足度は非常に高いようです。

また、クラウドファンディングサイトへの出品者(起案者)様のサポートも私たちで担当するのですが、一般的なサイトではFAQページやメールフォームのみの対応になりがちなところを、電話、メール、オンラインミーティングなどを活用し、柔軟に対応するよう心がけています。パソコン操作に不慣れな地方の中小企業の起案者様などにおいては、細やかな配慮やサポートがあることがプラットフォーム選びの決め手だった、というフィードバックをいただくことも多いですね。

中根:Relicの事業領域の広がりに伴って、toC領域のテストマーケティング用として社内からの相談や引き合いも多くなってきました。日経新聞社様との共同事業である「未来ショッピング」は日経IDを使えることから良いものを求めるビジネスパーソンにアプローチがしやすい、アニメイト様が運営する「ソレオス」はエンタテイメント領域に強いなど、それぞれのサイトに長所やユーザー特性がありますので、検証したい品物や目的などに合わせてプラットフォームの提案や推薦もしています。


最近のクラウドファンディング全体の状況はいかがでしょうか。コロナ禍では、メディアがクラファンのプロジェクトを頻繁に取り上げるなど業界全体が盛り上がったように記憶しています。

中根:その通りです。コロナ禍では、消費が減って苦境に立たされた第一次産業や、イベントの中止を余儀なくされたアーティストを支援したい!というユーザーの気持ちにクラウドファンディングの仕組みがフィットし、各種メディアにも数多く取り上げられたことで、一般消費者の認知度も飛躍的に向上しました。誕生した当初はプロダクト開発のための資金調達という側面が強かったクラウドファンディングですが、今では自分がサポートしたい対象を応援しながら、限定品などを購入するための仕組みとしても広く認識されている様子です。

直近では、国立科学博物館が国内最大となる8億円規模のプロジェクトを成立させたことや、元日の能登地震に対する寄付で活用されたことが記憶に新しいですよね。

伸びているジャンルとして特筆すべきは、VTuberなどの”推し活”文脈での活用です。VTuberの新しい衣装を制作するためのプロジェクトであったり、「生誕祭(誕生日を祝うプロジェクト)」のようなイベントなどが活況で、支援者は”推し”の限定アイテムやグッズが手に入る物理的なメリットに加えて、「自分が支援したからこのプロジェクトが結実した」という達成感、一体感を味わうことができるようになりました。従来のCD購入やコンサートへの参加よりも、さらに双方向的なコミュニケーションが可能となり、推し活の盛り上がりの一因となっているのではないでしょうか。


長く運営しているサービスだからこそ、チームに新しい風が求められている。

本日同席いただいた脇さんは、Relicのなかでもっともイノベーティブな働きをした人が選ばれる、2023年度のMIP(Most Innovative Person)特別賞を獲得されましたね!どのような取り組みが評価されたのでしょうか。

脇:コロナ禍での盛り上がりもあって、私が入社した当時のENjiNEチームは、インバウンドのお問い合わせに対応する、つまりすでにクラウドファンディングに興味をお持ちのお客様に対峙することを重視する雰囲気になっていました。Relicのグループ内にはScalehackをはじめ、アウトバウンド営業を得意とするチームがあるにも関わらず、なかなかその知識や経験をチームや会社の垣根を超えて活かしきれていない状況でした。

そこで、私は新卒という立場もフル活用し、各グループのメンバーとコンタクトを取りました。「ジャーナル」というRelic独自の日報制度や社内ラジオを通して、参考になりそうな活動をしている人にどんどん話を聞きに行き、ENjiNEのセールス活動の参考になる視点やナレッジがないかを探した結果、「ENjiNEのコト売り」というセールス手法を確立。つまり、「ENjiNEを導入すること」をセールストークのゴールとするのではなく、「クラウドファンディングで叶えたい未来」のイメージをお客様といっしょに描くことで、ENjiNEの導入を実現してもらうというコト消費に近いアプローチで新規顧客の開拓を行いました。

上長である中根からも、「ENjiNEは比較的歴史が長いサービスだが、だからこそ脇ならではのフレッシュな視点でどんどん新しい風を吹かせてほしい」と太鼓判をもらっていたことが、この動きの後押しになりました!

4月に新卒入社し、5月に部署配属、6月にはセールスメンバーとして独り立ちして自分の顧客を持たせていただけるという他に類を見ないスピード感も、新卒の私にとってXTech事業部配属の魅力でした。オンボーディングも充実していますし、過去案件の履歴もしっかりとまとまっていて類似案件を参考にできたのも、私が入社後の早い段階でサービスや営業のイロハをキャッチアップできたポイントとなりました。

中根:それぞれの事業部で形は違えど、お客様の新規事業案件を伴走支援することが多いRelicのなかで、XTech事業部は、新規事業支援という軸は同じものの「自社プロダクトを運営している」という点で特殊な立ち位置にあります。

そのなかで、「一人ひとりのメンバーが”その分野のリーダーとして育つこと”」をテーマとしてマネジメントを行っています。もちろんそれは目標設定時などに部員と相談していて、脇は新しい営業手法の開拓リーダー、五十嵐は顧客サポートのリーダーというように、自分のミッションに紐づいてそれぞれが行動できるように心がけて組織を運営しています。


最後に、みなさんの仕事に対する「やりがい」を教えて下さい。

脇:一人前のセールスとして、早くからお客様の前に立てていることがやりがいになっています。営業というのは成約or失注、成功か失敗かが明確にわかります。常に成約することを目指して、より自身の提案の細部を洗練させていきたいです。

五十嵐:私の役割は、脇くんのようなセールスが必死に取ってきた案件をしっかりと結実させること。社内外の関係者の想いが乗っている案件が無事に公開した際には、大きなやりがいを感じます。また、若手社員と組んで仕事をすることも多いため、後輩たちの成長が見えた瞬間は言葉にできない嬉しさがありますね!

中根:前述のとおり、Relicの中では比較的長い歴史のあるENjiNE。それにも関わらず、これまで培ってきた歴史やしがらみを気にすることなく自分たちで良いと思った方向に施策を展開できる自由さがあります。クラウドファンディングという枠組みを取っ払って、ENjiNEの発展のために仕事に取り組めることが私のやりがいです。