2023.12.20

カルビー株式会社のCFL(カルビーフューチャーラボ)を解説

カルビー株式会社のCFL(カルビーフューチャーラボ)を解説

誰もが一度は口にした事がある「かっぱえびせん」「ポテトチップス」「じゃがりこ」など日本だけでなく世界中で愛される商品を届けるカルビー株式会社。そんなカルビーの数々のヒット商品に続く、新商品の開発のため結成されたチームが「Calbee Future Labo(以下CFL)」。
CFLの部長であり、新ヒット商品の開発に熱い思いを持つ大塚竜太氏にCFLの狙いと強みについて聞きました。

CFLは新しいヒット商品を生み出すために生まれた

(Battery編集部)
CFLが設立された経緯を教えていただけますでしょうか?

(大塚氏)
CFLが設立されたのは2016年の10月でもうすぐ4年になります。元々カルビーは広島で創業しました(現在本社は東京都)。
あえて本社から少し離れた場所で社内だけでなく社外の方々と連携して新しいコンセプトなり商品を作っていく必要があるのではないかとの声が上がり、創業地である広島で設立しました。

元々カルビーは「かっぱえびせん」から始まり「ポテトチップス」「フルグラ」「じゃがりこ」など約10年周期でヒット商品に恵まれてきましたが、2006年に発売された「じゃがビー」から10年以上経っており、「10年周期」に歪みが生まれ、危機感を持っていました。

既存のやり方ではなかなかこの状況を打破できないだろうということで外部の人材を採用し、CFLを結成しました。
設立当時は社内出身1人、社外出身2人。現在は7名で編成されています。
(大塚氏の前任のリーダーは外部出身)

外部から招集された新メンバー&サポーターによる新しい発想

(Battery編集部)
メンバーの数名はバックグラウンドが食品業界とは異なる業界であると思うのですが、そのような方達がメンバーに加わったことによるメリットやデメリット、難しかった点などはありますか?

(大塚氏)
メリットはより消費者に近い視点で考えてくれることですね。というのも長年食品の業界に携わっていると「これはできそうだな」「あれはできなさそうだな」というバイアスがかかってしまうところがあるので、真っ新な状態で物事を考えられるというのはとても大きいと思います。デメリットを感じることはほとんどありません。

(Battery編集部)
CFLの具体的な活動内容についてなんですが、企画から販売までを社外の方と共に実践されている理由をお聞かせください。

(大塚氏)
当然我々だけの少ないメンバーでは1から10まで全てを完結するのは不可能に近いです。幸いな事にCFLを応援してくれている人が年齢/性別偏りなく全国に沢山いて(現在約1,500人)、そのような方達を我々は「サポーター」と呼んでいます。

逆にこのような状況を逆手に取って、最初からメーカーだけで作り上げるというよりもサポーターと共に創っていくという「圧倒的な顧客志向」を大事にしています。サポーターにはコンセプト作りや、試食などのお手伝いをしてもらっています。

(Battery編集部)
サポーターの方々で活躍されている方はどういった方がいらっしゃいますか?

(大塚氏)
1回30分から1時間位かかるデプスインタビューに、1日2件3件参加してくださる方もいます。そういった方も含めサポーターの皆様にはとても感謝しております。

(Battery編集部)
お客様からの声を拾うという事がCFLのミッションとして課されているのですか?

(大塚氏)
はい。新しいコンセプトを作る際には必ずサポーターの方々にデプスインタビューをさせてもらっています。メーカーでよくあるのはプロトタイプを作りユーザーに調査をすることですが、CFLではその手前の部分でサポーターの方々の生活についてインタビューをし、どういう課題を抱えているのかについて日頃から蓄積していて、そこから「その課題は〇〇で解決できるんじゃないか」という視点を持ち、それをサポーターに再度ぶつけるというやり方で商品を開発しています。

生活者の課題に向き合って我々だったらどう解決できるかということを大事にしています。その観点がないと良い商品ができないと感じています。

何より大事にしているのは「お客様にとことん向き合うこと」

(Battery編集部)
お客様によって好みが違うので変数が多いと思いますが、いろんな方に愛されるのはお客様のインサイトを大事にしているからですか?

(大塚氏)
元々我々のミッションというのが「スナックの新しい味を作れ」というのではなく、「3年間でヒット商品を3つ作る」ということであり、我々はスナックに限らずどんな形でも関係なく愛されるものであったら何でもいいと捉えていて、それにはお客様に向き合って「どんなものを必要としているか」ということを探していかないといけないと思っています。
そういったところが既存の事業と異なるところであると考えています。

(Battery編集部)
御社のそういった活動の中で生まれた商品として「ふるシャカ」と「のせるん♪」という2つの商品があると思うのですが商品化されるまでどれくらいの期間がかかったのですか?

(大塚氏)
大体1年半ほどです。カルビーとしても取り組んだ事がない事だったので、作るまでは出来たとしてもそこから先のお客様に届けるまでの工程のサイクル構築に時間がかかりました。

(Battery編集部)
商品化されるまでに苦労されたことはあると思いますが、それに対してどんな取り組みをして乗り越えられたというナレッジは社内で蓄積されているのですか?

(大塚氏)
お客様の声から作り上げていった商品なので、既存の商品の開発/マーケティングをしている人からすると「自分たちができることから商品を作っていく」のと「お客様のインサイトを捉えて商品を作っていく」の両方あるのだなというのを感じていただけるかと思います。

元々は既存のビジネスもお客様の意見をきっちり聞いて商品を開発していたと思いますが、商品開発のサイクルが早くなっていくにつれて、次は何をしようという思考になり、お客様が介在しないやり方になってしまっています。

目新しいことではなく基本中の基本ではあるんですが、ここをしっかりやるというのが正しいやり方だというのをもう一度社内の方々にも認識いただける機会になると思います。時間がかかるし、地道な作業ではありますがお客様のインサイトを捉えていくのは一番大事なことだと考えています。蓄積という意味ではサポーターの方々がいるのが大きな資産だと考えています。

(Battery編集部)
何よりも顧客思考というマインドセットが事業開発者に必要な素養という認識ですか?

(大塚氏)
そう思います。コロナ前は、業界が違う方々がと会う機会が結構あったのですが、サポーター制度という仕組みを持っていることに興味関心を持っていだくことが多いです。
なかなか自社でそういう組織を抱えていて、いつでもインタビューできるという環境はないと思います。本当にサポーターの皆様には感謝しかありません。

商品名:ふるシャカ
引用:https://www.calbee.co.jp/newsrelease/180319.php

商品名:のせるん♪
引用:https://andeeworks.jp/works/143/

with/afterコロナに向けてCFLが考えていること

(Battery編集部)
withコロナ/afterコロナにおいて個人であったり社会レベルで短期から中長期的にいろいろな変化が起きているかと思いますが、今後コロナに対して対応していきますか?

(大塚氏)
サポーターが、用がなくても気軽にオフィスに来ていただくような緩やかに繋がっているのがいい関係性だと思っているのでオンライン、オフラインに関わらず気軽に集まれるような場を何かしら作り上げていきたいと思っています。

(Battery編集部)
御社の中でいくつか新商品、アイデアが同時に検証されているんですか?

(大塚氏)
そうですね。社内のメンバーも常にアイデアを模索しており良いアイデアが思いつけばチーム内でぶつけ合って、気になる事があればサポーターにインタビューをするというのを繰り返しているのでいくつか同時並行で走っている状態になります。

今後のビジョン

(Battery編集部)
最後に今後のCFLとしてのビジョンとそれを実現するために注力していることを教えてください。

(大塚氏)
CFLとしては元々のミッションが「ヒット商品を作る」ということですが、今後もお客様の課題を解決する商品、これ良いねと言っていただける商品を作っていきたいです。この4年間でいろんな繋がりができて新たな発見がたくさんありました。新たに愛される商品を作るにはもっといろんな方々を巻き込んでいかなければいけないと考えています。

CFLが媒介となってサポーターの皆様と共に世の中に驚きを与えられる商品を作っていきたいです。

未来ショッピング限定で拡大販売!「ランチグミー」

8月3日(月)より全国のカルビーアンテナショップを中心に数量限定で発売された
「ランチグミー」が、現在クラウドファンディングサイト「未来ショッピング」限定で
拡大販売されております。

詳細は下記ページよりご確認ください。

引用:https://shopping.nikkei.co.jp/projects/lunchgummy

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