2024.6.4

「新規事業のDIY能力を高めよう」NTTデータとRelicが考える成功再現性を向上させるための”三位一体” とは?

「新規事業のDIY能力を高めよう」NTTデータとRelicが考える成功再現性を向上させるための”三位一体” とは?

将来の変化を予測し、次なる未来を切り開くために、「ビジネス」「テクノロジー」「組織・風土」の3つの側面から考察するウェビナー「NTTDATA NEXT GEN FUTURE」(株式会社NTTデータ主催)Vol.35では、「新規事業開発における成功再現性を向上させるための”三位一体” とは?」をテーマに、NTTデータのイノベーションエコシステムデザイナーの西村祐哉 氏と事業共創カンパニー Relic取締役CROの大丸徹也 氏が講演しました。

なかなか生まれない新規事業や、やめどきを失った事業に苦悩する事業開発部門も少なくないなか、“総合格闘技” たる新規事業開発において成功再現性を高めるためには、どのようなやりかたが考えられるのか。今回はその講演レポートを一部抜粋してお届けします。ウェビナー全編のレポートは「NTTDATA NEXT GEN FUTURE」イベントレポートをご覧ください。

今回お話を伺った方々

株式会社Relic 取締役CRO 大丸 徹也(写真左)

フューチャーアーキテクトにてITコンサルティングやシステム開発のPMを多数経験した後、DeNAにて主にEC事業領域での新規事業や大手小売業とのオープンイノベーションによる新規事業の運営責任者を歴任。その後Relicを共同創業し、主に大企業を中心とした新規事業開発支援やインキュベーションプログラムの設計等において多数の実績を持つ。2023年より、現職。

株式会社NTTデータ  コンサルティング事業部 部長 西村 祐哉(写真右)

NTTデータ、ライブドアを経て起業。スタートアップ経営者としてターンアラウンドを担当。その後国内独立系コンサルティングファームにて戦略・ビジネス等のコンサルティングや日本電気株式会社(NEC)で海外スマートシティ事業開発や共創型の新規事業創出に従事。2021年より現職に”帰還”。イノベーションエコシステムデザイナーとして新規事業や事業開発支援にとどまらずイノベーション人財の育成・教育や組織づくり、プロセスや制度の整備といったエコシステム形成も担当。

株式会社NTTデータ 法人事業推進部 課長代理 荒川智弘(写真中央)

学生時代にビジネスプランコンテスト全国大会に2度出場した経験を持つ。MBA修了後、新卒にてNTTデータに入社。システムエンジニアを経て、ソフトウェアメーカー出向時は、広報・マーケティングチームの創設および統括を実施。NTTデータ社内のビジネスコンテスト事務局リーダーの経験があり、新規事業開発人材の育成、事業化検討の伴走支援に従事。一方で、大企業における新規事業開発・マインド醸成の難しさを痛感している。





新規事業は総合格闘技、万能策は無い世界

不確実性が高く成功確率が低いとされる新規事業開発ですが、少しでも成功確率を高めるための手法は確実に存在します。社内新規事業開発において外部パートナーとともに取り組むことは有益ですが、完全に委託するのではなく、伴走パートナーとして自社人材とともに取り組むことで、再現性をもった新規事業開発スキルを社内に培うことが重要です。

荒川:

新規事業開発にはどんなスキルセットが必要でしょうか?

西村:

まずRapid-素早くですね。次にSpread-広がる、事業がちゃんと続いていくようにすること。そしてReproductivity-まぐれ当たりの一発屋じゃなくて成功をまた再現できるような定型を持つことです。Relicの大丸さんとも定型化をやっていきたいとお話してきました。

大丸:

はい、私たちは【3つのシコウ力】という言葉をよく使っています。1つ目が志に向き合う【志向】、2つ目が考える【思考】、3つ目が試す【試行】です。今回の提携では主に大企業の新規事業開発を対象に、【試行】の部分をいかに小さく早く安くできるかにフォーカスして取り組んでいます。

西村さんとこのスキルセットの話をしている中で、新規事業を社内で生み出す力、すなわち「新規事業のDIY能力」をいかに各社が高められるかが重要だと共感していました。プロにすべてを託すのではなく、再現性を高めるために「まずは自分たちでやってみる」、そしてその能力を高めるために我々のような支援企業を活用いただけると嬉しいです。


成功再現性を向上させるための”三位一体”

荒川:

今回、成功を再現していくための定型として、三位一体についてご説明をお願いできますか?願えますか。

西村:

1つ目の要素がエコシステムの拡張です。ここでは輪の形成-仲間を作って共感を形成しながらやっていくこと。場の獲得-試してみる場を作ること。名の発信-途中経過をちゃんとプロモーションして発信していくことが重要です。

2つ目の要素が継続的な成功を支えるメソッド形成です。まずはマインドセットです。それだけだと気合と精神重視の自己啓発セミナーになってしまいますが、組織変革をする力としてマインドセットは重要なものです。そして的確なツール選び、さらにプロセスの確立です。プロセスに関してはお客様の既存プロセスがあまりにも厳しすぎる場合があり、新規事業を作って進めやすいプロセスにしましょう、ということがあります。

3つ目の要素がアクセラレーション機能です。新規事業をつくる人たちが孤立しないように伴走して支えて、事業化を加速し、事業価値を広げ、成功再現性を高めていきましょうということです。

この3つが一体となることでより良い新規事業開発が可能になると考えています。



業務提携を結んだ両社、タッグを組むことで生まれる新たな提供価値とは?

荒川:

先日、NTTデータと事業共創カンパニーRelicさんの間で新規事業の立ち上げに関する業務提携を発表(※)しましたが、お互いの企業の魅力や2社がパートナーとなったことによるお客様への新たな提供価値をご紹介いただきたいと思います。

※発表プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000222.000016318.html

西村:

まず新規事業に対する価値観や方向性で共感するところが強く、End to Endで最適な共創と補完関係ができると考えました。そして2社共通の強みということでアクセラレーション-事業化加速支援と、イノベーションマネジメント-仕組みづくりで良いパートナーになれると考えたのが決め手です。

大丸:

私たちRelicは2015年に創業し、新規事業の自社開発、企業様の事業開発の支援、共同事業開発や投資/資本業務提携など、事業づくりに邁進してきましたが、属人性の排除や標準化にパワーをかけきれていない課題がありました。NTTデータさんと接点を持たせていただいて、標準化を最初から志向している点に共感したのが大きいです。NTTデータさんのこうしたフレームや標準化の部分と、Relicが持ち味とする試行する力を組み合わせればお客様により良いものを提供できるのではないかと思いました。

荒川:

0から1を生み出すNTTデータと1から10を生み出すRelicは、良い組み合わせだなと外から見ても思います。ではRelicさんの事業プロデュースの特徴をご紹介お願いします。

大丸:

ビジネスの面、テクノロジー&クリエイティブの面、事業開発の0→1、1→10、10→100の全フェーズを一気通貫で、かつ内製体制で対応できることが大きな特徴です。今向き合っている事業がどこのフェーズで、何を検証していて、次に何をすべきなのか、羅針盤を使いながら前に進めていくことができます。ひとつの企業内で複数の事業が並行して走るケースにおいては、今自分が何をしていて他チームがどこにいるのかをプロットしていくことが重要かと考えています。またアジャイルプロトタイピングラボ(APL)という名前で、最適なプロトタイプを提案・実装し、クイックに試していくという手法を提供しています。


新規事業の立ち上げから成長・拡大まで一気通貫に支援する共同開発ワークショッププログラム「Business Design Sprint Prototyping Camp™」

両社の業務提携第一弾として2023年12月から提供開始されたワークショッププログラム「Business Design Sprint Prototyping Camp™」。本プログラムによって新規事業創出の知識や経験がない人でも、ビジネスアイデアの創出やコンセプトの実現を体験することで新規事業創出の基礎を身につけることができます。

荒川:

今回共同でリリースした「Business Design Sprint Prototyping Camp」についてご紹介ください。

西村:

本ワークショップは、NTTデータが提供する1Day新規事業アイデア創出ワークショップ「Business Design Sprint Field Trip」と、Relicが提供する1Dayプロトタイプ実践ワークショップ「APL Idea Forge」に基づいてつくられたものです。

「Business Design Sprint Field Trip」は元々、NTTデータ社内のビジネスコンテストのサポートプログラムとして作り、1日でアイディアの発散から収束までのプロセスを行うものなのですが、これがローンチから1年半で社外も含めて40件以上という、1Dayのワークショッププログラムからするとビックリするほどのヒットを飛ばさせていただきました。とはいえペーパー上のものなので次はどうすればいいか、ということでRelicさんのアセットと組み合わせ、Day1はNTTデータのワンデー・ワークショップを行い、Day2ではRelicさんのプロトタイピング手法である「APL Idea Forge」で、アイディエーション及びプロト制作プログラムを行うというのが、Business Design Sprint Prototyping Campです。

大丸:

Day1では強制的にアイディアを作り、Day2では強制的にWebやアプリサービスの画面イメージまで作りきります。2日間でここまで本当に行けるところがこのワークショップの価値だと思います。そしてこの後は、お客さんに当ててみましょうということで、ビジネスにしていくにあたっての事業計画を見直してみましょうといったアプローチがDay3以降に続いていきます。短期間でここまで行くことができます。

西村:

もちろん企画にアラとか課題はあるんですが、ここまで行ったら次に行けるし具体的な課題も見えてきますね。

大丸:

はい、ここまで作ってみたけどやっぱりこれはダメかなという見極めがつくのも大きなポイントだと思います。

荒川:

こちらの図のようにビジネスの立ち上げから、事業構想、事業構築、事業化、成長・拡大といった流れを、両社のいいとこ取りでサポートするようなプログラムになっています。その立ち上げ部分にフォーカスしたのが今回の『Business Design Sprint Prototyping Camp』です。その他に双方の得意分野を活かしたさまざまなサポートがあるわけですが、なかでもRelicさんのDUALii(デュアリー)というサービスについてご紹介願えますか。

大丸:

DUALiiは、新規事業の代行サービスです。特に大企業様が新規事業にチャレンジする際に、自社ブランドが強くステークホルダーがたくさんいらっしゃるので、うまくいくか分からない新規事業を自社の冠をつけて世にリリースすることが難しいという課題があります。上層部からはエビデンスを要求され、エビデンスを作ろうとしたらサービス品質委員会でコテンパンにされるというお話もよく伺います。そこでRelicが一度アイディアをお預かりし、事業主体として代行して世にリリースします。結果が良ければ元々の企業様にお返ししますし、結果が悪かったら何もなかったかのようにRelicがクローズするというものです。

西村:

新規事業をやっていくためには、それを担える人材を育てることが必要で、それが今回私たちの業務提携によって一気通貫で行えるようになったということが大きいと思います。今回の『Business Design Sprint Prototyping Camp』を入り口として興味を持っていただけると幸いです。新規事業に関する悩みはずっと続いていくものですので、何かしらお困りごとがあれば『NTTデータ×Relic』にお声がけいただければと思います。

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