2023.12.22

要件定義と要求定義の違いとは?システム開発におけるプロセスを解説

要件定義と要求定義の違いとは?システム開発におけるプロセスを解説

新規事業開発において、システムを一切開発しないケースはほとんどありません。システム開発を進める第一歩として、実現したいことを定義し、システム開発能力のあるパートナー(社内/社外問わず)に正しく伝えるために「要件定義」を行うという考え方は一般的です。作りたいシステムの機能や仕様について定義する本ステップは、その進め方やルールが曖昧で自由度が高いゆえに、多くのシステム開発で失敗の原因になっていると考えています。

要件定義と要求定義の意味

「要件定義」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが「要求定義」という言葉はご存知でしょうか?

要件定義とは、システム「を」動かすための仕様を定義したものです。
要求定義とは、システム「に」求める仕様を定義したものです。

これら「を」と「に」が重要な意味を持っています。その違いを考えてみましょう。

要件定義と要求定義を誰が定義するべきか?

要件定義は、システム開発が失敗するときの主な原因になります。

それは、システムに明るい技術者ではなく、事業やオペレーションの専門家が「要件定義」をしてしまうからです。システム「を」動かすための仕様は、システムに明るい技術者が、自身の経験や知見に基づいて定義しなければ、抜け漏れやミスが発生します。

では事業やオペレーションの専門家は、何を定義し、何を技術者に伝えればよいのでしょうか?

それこそが「要求定義」です。システム「に」求める仕様は何か。そのシステムでは、事業やオペレーションの全体構造の中で、どのエリアで、どのような役割を担当するのか。ユーザーがどのような操作をしたら、どのように結果を返してほしいのか。例えば「ユーザー登録に対する定型文でのメール返信は毎日オペレーターが手動で送信しているが、非効率なのでシステム化し、ユーザー登録されたら10分以内に自動返信したい」といった要求がそれにあたります。システムへの「要求」を考え抜いて定義し、技術者に「こういうシステムを作ってほしい」と伝えるオーダーシートが要求定義です。

改めて言葉の定義に戻りますが、「誰が」を補足すると以下のようになります。

要件定義とは、技術者が、システムを動かすための仕様を定義したものです。
「◯◯であるべき」「◯◯が必要」という表現になります。

要求定義とは、非技術者が、システムに求める仕様を定義したものです。
「◯◯したい」「◯◯になること」という表現になります。

この「要求定義」は、システム開発の上流工程として最重要なプロセスです。要求定義→要件定義→基本設計→詳細設計→開発→テスト→完成→リリース/運用 という全体の流れの中で、そのシステムの品質を最も左右します。

例えば、運営しているサービスのお客様を一元管理する「顧客管理システム」を構築するとき、顧客ステータス(見込み、商談中、一般会員、優良会員、休眠会員等)を管理画面で一括更新したいという「要求」があるとします。

「要件定義」として「管理画面でCSVファイルをアップロードし、顧客ステータスを一括更新できる仕様とする」と記載するとどうなるでしょうか?

このように要件定義された場合、エンジニアは「そうかCSVファイルでの一括更新が必須なのか」と捉えます。一括更新の実現方法としてCSVファイルが前提条件になってしまうのです。本当は管理画面上で一括更新対象データを検索条件で絞り込み、そのままCSVファイルを介さずに一括更新できる機能のほうが最適かもしれない可能性をみすみす逃してしまいます。

もちろん、外部システムから出力されたCSVファイルをそのままアップロードできることが必須条件であるような場合はそのように記載するべきですが、そうではない場合「要求定義」としては「管理画面で対象データの顧客ステータスを一括更新できること」と記載するべきです。そうすることで実現方法の自由度は増し、管理画面での一括更新、CSVファイルアップロード、EXCELファイルアップロード、外部システムからのAPI連携等、システム開発の専門家が全体最適で自由に考える”遊び”が生まれるのです。

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