2023.12.29

クラウドファンディングの歴史や始まりを解説

クラウドファンディングの歴史や始まりを解説

Batteryでは様々なクラウドファンディングのプロジェクトについて扱っていますが、その起源はどこまで遡れるのでしょうか。近年、インターネットの普及とともに一気に広がりをみせているクラウドファンディングですが、その起源となる原型はかなり古くからみられるようです。

クラウドファンディングの言葉の由来

そもそも、クラウドファンディングはどのような意味をもつ言葉なのでしょうか。クラウドファンディングは、Crowd=「群衆」、Funding=「資金調達」 という単語を組み合わせた造語です。現在でこそ、起案者がインターネット経由で世界中の不特定多数の人々から資金の集める方法を意味しますが、言葉そのものは「一般の人々から広く資金を募る」という取り組みを意味するといえます。その観点からみると、現在のクラウドファンディングの原型といえる取り組みはかなり古くからみられました。次項でみていきましょう。

クラウドファンディングの歴史

近年新しい資金調達方法として注目されているクラウドファンディングですが、その歴史は古く、原型は17世紀初頭からみられたといわれています。書籍編集者のジョン・テイラー氏は、書籍の印刷にかかる費用の寄付を募りました。その見返りとして寄付した人の名前を書籍に掲載する権利を提供したといいます。このエピソードは現在の購入型のクラウドファンディングに近いものがあるといえるでしょう。

また、有名な「自由の女神」もクラウドファンディングの過去の事例として挙げられます。アメリカ合衆国の独立100周年を記念してフランスから贈られた自由の女神像ですが、1884年、女神像の台座を建設していた「自由の女神像製作委員会」が建設資金を使い果たしてしまいました。そこで、新聞出版者のジョーゼフ・ピューリツァーは自身が経営する新聞「ニューヨーク・ワールド」の紙面で、広く大衆に対し台座建設のための資金を寄付するように呼びかけました。結果、125,000人もの人々が1ドル以下の少額を寄付し、6ヶ月で10万ドル近くの寄付を集めました。インターネットがなかった時代、「新聞」が人々に広く呼びかけるためのツールになったわけです。寄付型のクラウドファンディングと言えるでしょう。

フランスにおいては、芸術の分野に対してクラウドファンディングに近い取り組みが古くからみられました。ルーブル美術館では著名なアーティストの絵画の購入や、作品の修復などの費用の寄付を募るプロジェクトを実施しています。文化的な資産を、国の予算だけでなく市民の力をもとにして維持していこうという取り組みは、ルーブル美術館としても大きな事業の1つとなっています。

21世紀以降、インターネットの普及に伴いアメリカを中心に現在のようなクラウドファンディングのかたちが広まり、現在では数多くの会社が運営を行っています。2001年、最初のクラウドファンディングプラットフォームとして、「ArtistShare」が運営を開始したのがその始まりといわれています。その後はクリエイティブなプロジェクト向けのクラウドファンディングサービスが次々と設立されており、特に2008年の「Indiegogo」2009年の「Kickstarter」は、世界最大のクラウドファンディングといわれるまでに発展しています。

日本でのクラウドファンディングの歴史

クラウドファンディングの原型ともいえる考え方や仕組みは、実は日本でも昔から見られました。例えば寺などの改修工事が挙げられます。鎌倉幕府ができる直前の1180年、僧の重源は、源平の争乱での焼き討ちで焼失した東大寺大仏の修復・再建を進言し、東大寺大勧進職に就きます。重源は再建費用を集めるため、全国各地を回り信者や有志から少額ずつの寄付を募りました。そして1195年には大仏殿の再建を実現させたといいます。その後、寺院や仏像などの新造・修復・再建のため庶民から広く寄付を求める「勧進」という動きが盛んになりました。無事に修繕が終わると、寄付者の名前が寺に記されることもあったといいます。

インターネットを利用した現在のクラウドファンディングの仕組みは、日本では2011年の東日本大震災をきっかけに、復興支援を目的とした寄付型のクラウドファンディングが一気に広がったのが始まりといわれています。また、2014年5月には規制を緩和する金融商品取引法の改正案が国会で可決成立したことに伴い、投資型クラウドファンディングも注目されるようになり、メディアでもとりあげられる機会が増えたように思われます。

クラウドファンディング運営サービスとしては2011年に開始されたプラットフォーム、「READYFOR」が始まりとされています。その後も続々とクラウドファンディング運営サービスが開始されています。現在では約40社のクラウドファンディング専門の業者がいるとされ、自社でウェブサイトを開設している企業や自治体も60社程あるようです。サイバーエージェントが運営する「Makuake」、パルコが運営するファッション関連のプロジェクトに強い「BOOSTAR」など、参画している企業は様々ですし、弊社が運営するクラウドファンディング「ENjiNE」もそのうちの一つです。

まとめ

近年一気に広がりをみせ、注目されるようになったクラウドファンディングですが、その原型は世界的にかなり古くからみられました。多くの人々に呼びかけるツールが、「勧進」「新聞」などを経て、現在の「インターネット」に変遷したことにより、今までにない規模で共感者を募ることができるようになり、また手軽にプロジェクトを立ち上げられるようになったと言えます。クラウドファンディングは今後益々の発展をみせていくのではないでしょうか。

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