アニメーションを制作するときの必要な費用の相場とは?PR方法と共に徹底解説

今や世界に誇れる文化のひとつとなっている日本のアニメ。海外でも人気が高く、日本のアニメに惚れて来日する外国人旅行者数も年々増えているようです。
では、そんなアニメを制作する場合、どれくらいの制作費がかかるのでしょうか。また、完成したアニメをPRするための方法とは一体どのようなものなのでしょうか。早速見ていきましょう。
Contents
アニメの制作費
現在、地上波で放送されているテレビアニメは、民放だけでも50枠以上あり、30分アニメを1話制作するためにかかる費用は、1,300万円が主流だそうです。アナログ放送の時代だと、550万円ほどでも制作が可能だったようですが、地上デジタル放送になって以降、ハイビジョン制作への対応が必須になったため、制作費も1,300万円から3,000万円ほどに上がっています。
日本のテレビアニメは世界にも影響を与えるほどクールな文化として人気が高いですが、その裏で多額の制作費がかかっているという事実があります。では、1,300万円以上かかるといわれているアニメの制作費ですが、その内訳は一体どのようなものになっているのでしょうか。以下は過去に放送された30分アニメの制作費の内訳表です。
原画:120万円
背景:130万円
動画:90万円
絵コンテ:25万円
仕上げ:120万円
制作進行:100万円
撮影:100万円
演出:50万円
材料:50万円
設定:30万円
プリント:50万円
編集:25万円
音響制作:150万円
脚本:20万円
監督:20万円
計:1100万円
その他にかかる声優やスタッフのギャランティーを除いても、1,000万円以上はかかるアニメの制作費。ひと口にアニメといってもさまざまな種類があって、たとえば、家族の日常を描いた作品や、冒険を主軸にした作品、戦闘シーンたっぷりのバトルメインの作品など、さまざまです。
アニメの制作費は、放送する際に扱う動画枚数によって大きく変動してきます。30分間のアニメであれば、だいたい平均3,000~5,000枚ほどですが、「ちびまる子ちゃん」のようなゆったりとした日常を描いた作品であれば、2,000枚ほどで完成したり、また、2017年に放送された「SHADOW OF LAFFANDOR ラファンドール国物語」は、一枚の絵の下にセリフのテロップが表示される紙芝居形式のストーリー展開であったことから、通常のアニメと比べほとんど作画制作が行われなかったという事例があります。
一方、「ONE PIECE」や「進撃の巨人」のようなアクションが多い作品となると、8,000~10,000枚ほど制作されるようです。そうなると、必然的に1話だけで巨額の制作費がかけられるのは言うまでもありません。
アニメの制作期間
30分のアニメ作品を制作するのに携わる人数は、制作陣だけで100人といわれており、このほか、声優や音響、クライアントなど、さまざまな人が関わっています。また、30分アニメを1本仕上げるのにかかる期間は、平均3ヶ月前後ともいわれており、脚本、作画、アフレコ収録、納品など、さまざまな段階を踏まなくてはなりません。
たびたびメディアでは、アニメ制作の現場は過酷な労働環境にあるともいわれており、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が実施したアニメ制作者の実態調査によると、新人アニメーターの平均年収は111万円程度で、月収に換算すると10万円を切っています。アニメ業界全体においても、アニメーターの1日平均作業時間は10時間以上、1ヶ月の休日は4~5日。全体の平均年収も333万円で、20代サラリーマンの平均年収(346万円)よりも下回っています。制作期間が長く、また、制作費が巨額なうえ、制作サイドは低賃金労働というのが現実だそうです。
アニメのPR方法
では、アニメ作品をPRするためのいくつかの方法を紹介していきます。
番宣活動
制作費が膨大にかかる一方、資金不足が目立っている近年のアニメ業界。最近では一本のアニメを放送するにあたり、Blu-ray/DVDの発売、声優によるライブ、コスプレイベントなども積極的に行っているようです。そのため、今や顔出しNGの声優よりも、表舞台でファンとの交流を図る声優の方が業界的にもありがたいという声もあります。そうした声優やタレント、時には監督による番宣活動によって、アニメのファンをより多く掴み、アニメ作品のPR活動にもつながります。
SNS
TwitterやInstagramのアカウントを持っている声優も大勢います。上記の番宣活動に加え、個人のSNSを通じてのPR活動も積極的に行われているようです。
クラウドファンディング
近年、アニメをテーマにしたクラウドファンディングプロジェクトが増えています。30分放送のアニメ、劇場アニメ、アニメCMと、コンテンツはさまざまです。MakuakeやCAMPFIRE、MotionGalleryなど、クリエイター向けのサイトを中心に人気が高く、また、最近はKickstarterやIndiegogoなど、海外のプラットフォームでもアニメのプロジェクトは多く実施されています。
アニメのクラウドファンディングでは、リターンにアニメキャラのグッズやイベント参加券、声優ライブ招待券など、豪華な特典が多く用意されています。ファンにとってはアニメが観られて、さらにイベントにも行けるというメリットがあるため、支援者が多くなるのは必然的と言えるでしょう。
アニメ×クラウドファンディング
実際にクラウドファンディングを通じてPR活動と資金調達に成功したアニメプロジェクト事例をいくつか見てみましょう。
Dies irae アニメ化プロジェクト
http://uneedzone.jp/info.php?type=items&id
クラウドファンディングで実施されたアニメプロジェクト史上最高額(96,560,858円)を集めた「Dies irae」。Windows用ゲームソフトとして制作された本作は、CDドラマ化、CS化もされており、2015年にUNEEDZONE.jpを通じてアニメ化プロジェクトが立ち上げられました。
本作はもともとファンが多く、アニメ化を希望する声が多く寄せられていたため、クラウドファンディングを実施した段階で、成功することはほぼ確信的だったのですが、同プロジェクトが話題を呼んで以降、「Dies irae」を知らなかった人までも虜にするほどの人気を博し、最終的に従来のファンと新規のファンを合わせた5,188人からの支援を受けました。
人形アニメ「ちえりとチェリー」
https://www.makuake.com/project/chieriandcherry/
2010年版「チェブラーシカ」の監督を務めた中村誠さんによる新作人形アニメ「ちえりとチェリー」が、Makuakeを通じておよそ600万円の資金調達に達成し話題を呼びました。
同作は「チェブラーシカ」の主要スタッフを集結し、5年にわたる製作期間で完成させた完全オリジナルの新作パペットアニメーションです。星野源さんや尾野真千子さんなど、豪華俳優陣が声優をつとめました。リターンには監督のサイン入りオリジナルDVD、Tシャツ、上映会へのご招待などが送られました。
『IT’S MY LIFE』アニメ化を目指す!
https://www.makuake.com/project/itsmylife/
1200万DLのコミックアプリ「マンガワン」で絶賛連載中のファンタジー作品「IT’S MY LIFE -イッツマイライフ-」。著者の成田芋虫先生のアニメ化への思いに応え、マンガワン完全バックアップのもと、アニメ化を目指すプロジェクトがMakuakeにて立ち上げられました。
「IT’S MY LIFE」は、元帝国騎士隊長アストラと落ちこぼれ魔女ノア、そして2人を囲むさまざまな仲間たちが織り成すアットホーム”ファンタジー”。現在、9巻までを発売、単行本累計発行部数40万部以上を売り上げています。これまでサイン会、イラスト集つき限定版発売、個展開催などを行ってきた同作は、新たなプロモーションとしてクラウドファンディングを採用しました。
まとめ
さて、今回は「アニメを制作する場合の必要な費用、PRするための方法」について考察しました。
普段、我々が何気なく観ているアニメ作品。巨額な費用がかけられる一方、業界全体が資金不足に陥っています。とはいえ、低予算での制作に妥協するのではなく、お金がない中でも良いものを作りたい。そんな願いから、最近ではクラウドファンディングを活用し、資金調達とPR活動に勤しむクリエイターが大勢います。今後、クラウドファンディングが日本のアニメ業界を救う存在となるのではないでしょうか。
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