2023.11.19

投資型クラウドファンディングを徹底比較

投資型クラウドファンディングを徹底比較

2015年5月に改正金融商品取引法が施行され、”株式投資型”クラウドファンディングが解禁になったことから、近年国内でも投資型クラウドファンディングサービスがユーザーから支持を得ています。

日本では購入型が主流となっており、焦点が当たりにくい投資型ですが、海外、アメリカなどでは広く取り入れられている支援方法です。

さて、1回目の記事で、投資型のクラウドファンディングとは金融型クラウドファンディングの1つで、資金を提供(投資)していただいた方に、「利益の分配等」をリターンとして提供する形態であるとご説明しました。もう少し詳しくご説明すると、投資型のクラウドファンディングはファンド型とも呼ばれ、事前に決められている方式に従い、売上や出資額に応じて金銭的なリターンを受け取る事ができる仕組みです。また、投資家の特典として、投資先の企業の商品やサービスが受けられる場合もあります。

それでは、このファンド型にはどのようなプラットフォームが存在するでしょうか。プラットフォームを比較しましょう。

1. セキュリテ

「セキュリテ」は、ミュージックセキュリティーズ株式会社が運営する、少額からでも投資が可能な、マイクロ投資のプラットフォームです。設立は2001年11月26日で、現在までの募集総額は 64億7,643万円で、 登録事業者数は373社です。今までに資金を調達したファンド数は596本、うち償還済ファンド数は177本です。
設立時はミュージシャンに向けた音楽ファンドに特化していましたが、近年では被災地応援ファンド、商品開発ファンドなど幅広い領域を扱っています。また、地域特化型のファンドも数多くあるのが特徴です。

「セキュリテ」を活用した有名なクラウドファンディングの成功例としては、居酒屋『SABAR』を運営する株式会社鯖やの例があります。株式会社鯖やは、2013年に「セキュリテ」のクラウドファンディングを通じて3,492万円の資金を調達することに成功しました。株式会社鯖や 代表取締役 右田孝宣氏によると、クラウドファンディングを利用した時は投資コストがかさみ、倒産寸前だった状態だったそうです。その後、初出店後も順調に成長を続け、現在では大阪に3店舗、京都に2店舗、そして東京に3店舗を構えるまでになったこのことです。

株式会社鯖やが成功したポイントは、

①情熱を支援者に伝えられたこと
②資金だけではなくクラウドファンディングを通じて応援してくれるファンを獲得できたこと

だと右田氏は述べています。この成功体験が元となり、「鯖や」は、飲食店のクラウドファンディング利用では草分けとも言える存在になり、その後のビジネスにもクラウドファンディングの手法を積極的に導入しています。

2. クラウドクレジット

「クラウドクレジット」は、ラテンアメリカをはじめとする海外新興国の消費者ローンや事業者ローン、延滞しているローンに投資を行うクラウドファンディングのプラットフォームです。海外の消費者ローンや事業者ローンに投資を行うに当たっては、現地の市場の理解が不可欠であるため、現地市場を最も熟知している現地のソーシャルレンディング業者やサービサーをパートナーとしています。

サービス開設当初はハイリスクハイリターンの案件が多かったものの、為替リスクを減らしたり、リスクを分散したり、投資がしやすい環境の整備を進めています。
かつては、最低投資金額は5万円だったのですが、2016年11月から最低金額が1万円で投資できるようになり、比較的投資がしやすくなりました。リターンの高さから、国内株式や債券などの分散投資先として使われてもいますが、社会的意義が高い案件も多く、海外に目を向けて社会貢献をしながらリターンも得たい人には最適なプラットフォームと言えるでしょう。

代表的なプロジェクトとしては、カメルーンのプロジエクトがあります。
このプロジェクトでは、Ovambaというカメルーン現地で与信活動を行っている事業者と提携しています。Ovamba社はカメルーン国内の中小企業に対し、トレードファイナンスという形態をとって資金を供給しており、資金の貸し付け先としては、タイヤの輸入販売業社、ガラス輸入業者などがあります。トレードファイナンスとは、国際間で物資の輸入・輸出に関し、金融機関が仲介することによって、購入者に支払期限猶予をもたらす金融取組のことですが、カメルーンのプロジエクトの場合、Ovamba社がこの仲介を行っています。Ovamba社は現物の担保を取って貸付を行うため、万一貸付先が債務不履行になった場合などには実物資産を売却することが可能であり、事業リスクが低減されています。このように、新興国のプロジェクトだからこそ、リスクマネジメントが重要となっています。

3. FUNDINNO

FinTechサービスを提供する株式会社日本クラウドキャピタルは、”株式投資型”クラウドファンディング業務が法整備されたことから、今年4月より国内初の株式投資型クラウドファンディングサービス・FUNDINNOの運営を開始しています。FUNDINNOは、インターネットを通じて、非上場株式を発行する企業と日本の投資家を結びつけるクラウドファンディングサービスであり、投資家は中小ベンチャー企業に1人あたり1社50万円以下の金額を投資して、投資先企業の株主になることが可能です。

FUNDINNO立ち上げのきっかけは、同社のCEOが米国留学中、アメリカでは株式投資型のクラウドファンディングを通じて資金調達をするのが当たり前になっている状況を目の当たりにしたことであり、帰国後、タイミングよく改正金融商品取引法が施工されたことから、「日本でも株式投資型のクラウドファンディングサービスを展開したい」という想いのもと、運営がスタートしたそうです。

4. AQUSH

株式会社エクスチェンジコーポレーションによるソーシャルレンディングサービス・AQUSHは、これまでの投資募集やデータ分析、リスクマネジメントなどで蓄積したノウハウを活かし、サービス開始の2009年以来、日本のソーシャルレンディング市場における革新的なサービスの展開を実施しています。AQUSHはサービス開始以来、平均投資利回り5.28%を達成しており、今後も日米から始め、世界の金融業界における数々のリーディングカンパニーと提携することで、魅力的な運用機会を日本市場に提供していきます。

また、AQUSHは投資家が安心して取引ができるよう、サービスの運営や融資の審査、債権の管理に最善をつくしています。それに伴い、①投資家のリスクを低減する仕組み、②借入希望者の精緻な審査、③ローンの途上管理、④資金の分別管理と、4段階での管理が行なわれているので、安全性の確保も保証されています。

5. OwnersBook

2014年9月より、不動産の自己運用・仲介・コンサルティングなどを行なっているロードスターキャピタル株式会社が、日本初となる不動産特化型クラウドファンディングサービスのOwnersBookを運営しています。不動産投資が個人投資家にとって身近な存在となるよう、クラウドファンディングを活かし、「一口1万円からの小額資金による不動産投資」、「利用している個人投資家同士でコミュニケーション」を可能とした国内初のサービスです。

現在OwnersBookの会員数は5,000人を超えており、10万円以下の小口投資家が全体のおよそ4割を占めています。また、従来の不動産投資のイメージを覆すような新たなサービスも導入しており、20代〜30代の投資家でも気軽に活用しやすいように、業界初となるスマートフォンアプリとの連携も図っているのです。

6. maneo

maneoマーケット株式会社が運営するmaneoは、貸付型クラウドファンディングサービスであり、ソーシャルレンディングを初めて日本で提供し、かつ最大手の会社として知られています。国内ソーシャルレンディング市場の50%以上をシェアしており、2015年度国内クラウドファンディングの市場動向を見てみると、maneoの融資金額は154億円で61%のシェアを誇っていました。2008年10月よりサービスが開始され、2017年6月現在までの成立ローン総額は740億円と、他のソーシャルレンディングと比較してかなり市場規模を拡大しています。

maneoは『熱い思いを持つ事業者に、投資家が安心して投資できるインフラの提供』をコンセプトにしており、熱い思いを持つ事業者が資金調達できる環境を用意することと、それを支える投資家が安心して投資できるインフラを提供することを通じて、日本経済を力強く支えるインフラになることをビジョンとしています。また、少額かつ短期での資産運用が可能であり、さらに成功手数料や事務手数料などは一切かからないため、投資家にとってありがたい制度が整えられているのも特徴のひとつです。

さて、ここまで国内における代表的な投資型のクラウドファンディングのプラットフォームについて述べてきました。まだ日本では数少ない投資型のプラットフォームですが、今後日本でも投資の多様化に伴って、拡大していくことが予想されます。
次回は、海外における、主要な投資型のプラットフォームをまとめてご紹介していきます。

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