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2018.12.11

M&Aの失敗はなぜ起こるのか?実際にあった事例をもとに解説します

M&Aの失敗はなぜ起こるのか?実際にあった事例をもとに解説します

インターネット上にある情報をいくつか見てみると、M&Aの成功率は3割で、残りの7割は失敗に終わっているようです。
そこで今回は、M&Aの主な失敗要因について、またM&Aの有名な失敗事例について解説していきたいと思います。

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こんなM&Aは失敗しやすい

前述したように7割が失敗で終わってしまうM&Aですが、失敗にはいくつか共通点があるそうです。
一体どのような理由で起こるのでしょうか?

人間関係のトラブル

不誠実な対応

M&Aを実施する上で、売り手・買い手の双方において不誠実な対応を行うのはよくないです。

売り手側は、当初の希望条件が満たされないからといって、直前に条件変更を持ちかけるのは望ましくありません。また、買収資金を出す買い手側も、資金を出すからといって高飛車な態度で接するのは話が違います。

特に買い手側が注意しなければならないのが、引き継ぐ資産や事業、また従業員の扱い方です。これまで別々の組織だったものから、M&A後はスムーズに経営統合しなければ相乗効果は期待できません。買収後のアフターM&Aを見据えた準備も進めておく必要があります。

過度な完璧主義

企業成長を視野に入れたM&Aでは、より理想に近い形を実現させることが大切です。しかし、あまりにも過度な完璧主義にこだわりすぎると、売り手側・買い手側双方ともに大きなチャンスを逃す恐れがあります。

事業拡大に適した対象企業がいるにも関わらず、その企業の事業内容のごく一部に希望外のものが含まれているからといって、買収を見送る買い手側企業もいます。また、売り手側に関しても、希望金額に若干達せなかった、方針が100%希望を満たしていないなどの理由で、成約を見送る企業も存在するようです。

頭上に浮かべた理想が全て叶うといったことはなかなかありませんし、将来的に訪れる大きなチャンスを逃してしまう恐れは大いにあります。M&Aに向けて行動した結果、多くの時間とコストがかかっただけで終了してしまったということがないように、自社が妥協できるポイントを見つけておくことが良いかもしれません。

コンプライアンス違反

昨今よく耳にする「コンプライアンス」という言葉。日本語に訳すと「法令遵守」のことを指します。コンプライアンス違反を犯すと、訴訟や行政処分などのトラブルに発展する可能性があり、企業としての信頼は薄れ、業績が大きく悪化する恐れも十分あり得ます。

現代社会において、コンプライアンスは企業が存続するために必要不可欠な要素であり、売り手側・買い手側の双方が注意を払うべきことです。会計処理や営業活動など、さまざまな面において、法令を確実に遵守することが求められます。

手続における失敗

合理性のない条件変更

M&Aは、売り手側・買い手側双方において、希望条件が異なる場合ももちろんあります。多くの資金を得る必要のある売り手側と、コストをなるべく抑えたい買い手側それぞれの意向があるため、お互いが合意できるように交渉を進めることが求められます。

どちらか一方が成約直前に、合理性のない条件変更を申し出ると、それを伝えられた側は変更に向けた十分な準備期間を設ける必要が生じ、M&Aが失敗に終わる可能性も非常に高くなります。

たとえば、買い手側による「不景気を見据えて譲渡価格を下げてほしい」との依頼と、売り手側による「他企業に奪われることを加味して譲渡価格を上げてほしい」との要望がぶつかった場合、お互いの条件に誤差が生まれます。そのため、成約条件は直前に変更することのないように進めましょう。

クロージング後の対応

先に述べた不誠実な対応にもつながることですが、M&Aのクロージング後も誠実な対応を心掛けましょう。M&Aを実施できたとしても、売り手側と買い手側の間に壁があるようでは、ビジネスとして経営が破綻しかねません。多少の溝や解釈のずれが出てしまうのは仕方ないですが、お互いに誠実な対応を意識することで、それが業績に反映されることは大いにあります。

不誠実な対応で運営を続けると、たとえば優秀な人材を損失したり、従業員同士の連携不足による経営悪化につながったりするため、十分注意が必要です。

議事録等の不備

M&Aの買い手側にとって、売り手側の株式の動向をチェックするための議事録は重要な書類となります。議事録を整備していない企業は、役員登記の手続きを正規に行っていない可能性があるため、未整備というだけで信頼性を欠いてしまう恐れがあります。

そのため、「株主総会議事録」と「取締役会議事録」の2つは必ず前もって整備しておきましょう。未整備の状態が長期間続いている場合は、司法書士などの専門家に相談することが望ましいです。直近3期分の議事録を整備しておけば、議事録の部分で不備が生じるようなことはないかと思われます。

デューデリジェンス不足

双方の意思違い

買い手側と売り手側の企業同士が合意をしても、役員や株主がM&Aに反対する可能性があります。その場合、M&Aの交渉が途中で絶える場合があり、株主総会の決議が得られなければ、その時点でM&A失敗となってしまいます。企業同士の合意だけでなく、総括的にM&Aが認められないと実施はできません。

大幅な業績悪化

M&Aの成約までにかかる期間にはばらつきがありますが、だいたい3〜12ヶ月間と言われています。そのため、成約までの間に売り手側の業績が大幅に悪化する可能性もゼロではありません。業績が悪化した結果、顧客の取引先さえも失ってしまえば、買い手側も大きなダメージを被ることとなります。

したがって、経営者はM&Aの進行中にも、本業に注力する必要があります。M&Aアドバイザーに任せられる部分は任せて、自身はM&Aの成約を確実に成立させる必要が出てきます。

デューデリジェンス不足

買収先企業の健全性や将来性を調査する手続きを指す「デューデリジェンス」。これを行う上で、買収先の財務や税務等の問題を見落とすと、後々経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。

最も注意すべきは人材の調査であり、特に海外企業とのM&Aを実施する際には、評価基準を細かく設定し、調査を行う必要があります。M&Aの失敗を避ける上で、入念なデューデリジェンスは絶対的に重要となります。

実際にあったM&A失敗事例

国内編

ソニー

1989年、ソニーは公開買い付けにより、コロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメント(現:ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント)を、当時の日本企業としては最高額であった5,200億円で買収しました。平成が始まったばかりのこの時期、日本はバブル経済期真っ只中で、アメリカにとって日本は脅威的な存在に。そんな最中の巨額買収であったため、このM&Aは大きな注目を浴びることとなりました。

しかし、買収後の1990年代からなかなかヒット作に恵まれず、2016年10〜12月期、プロダクション・アンド・ディストリビューションに割り当てられた1,121億円については全額減損処理、ネットワーク・メディアに割り当てられた1,145億円はそのまま計上を続けるという決断がなされています。

キリン

日本の飲料メーカーとして安定的な市場シェアを保っているキリン。2011年にブラジルのビール事業で2位の「スキンカリオール」を約2,000億円で買収しました。このM&Aは、キリンの経営陣が日本の将来を見据えて行ったものと言われています。人口減少に伴い市場縮小や利益低下などが予想される今後において、キリンは海外進出の必要性を感じていました。そこで、新興国ブラジルの市場に目をつけ、その後ブラジルの経済発展が進めばM&Aは大成功するだろうと期待を寄せたのです。

ところが、実際には予想と相反して、ブラジルの景気は低迷していました。その結果、2015年には減損損失を1,100億円計上。ただし、キリンは2017年2月に、ブラジルの子会社を770億円で売却したため、最終的な損失は340億円程度に収まっています。先述のソニーとは違って、最小限の損失に収められたことが、不幸中の幸いと言えるでしょう。

ライザップ

テレビCMなどでよく目にするライザップは、2019年3月期の連結業績予想を修正し、最終損益が当初の159億円の黒字から70億円の赤字に転落することを発表しました。

これまで美容や健康、アパレル分野などへの積極的な買収を行ってきたライザップですが、業績予想が赤字に転落する見込みとの状況を受け、当面の間は新規のM&Aを原則凍結し、不採算事業からの撤退・売却を行う構造改革を実施することを明らかにしています。

ライザップは、業績不振の企業を中心に買収を進め、それら企業の業績を改善させることでグループの成長を図る戦略を図ってきました。実際、不振が続いていたジーンズメイトの業績が上向くよう務めた業績もありますが、その他の多くが中途半端な結果に終わっています。CD・ゲームソフト販売のワンダーコーポレーションやフリーペーパー発行の「ぱど」や、補正下着販売の「MRKホールディングス」などの子会社が損失を計上しており、これらの子会社の2018年4~9月期の連結最終損益は85億円の赤字となっているようです。

こうした状況を受け、今後はM&Aを凍結するほか、業績改善が見込めない事業や他のグループ企業とのシナジー効果が見込めない事業は縮小・撤退する方針だといいます。

海外編

マイクロソフト

アメリカ合衆国ワシントン州に本社を置くマイクロソフト。2014年にフィンランドの通信インフラ施設・無線技術を中心とする開発ベンダー「ノキア」を約7,100億円で買収しました。

このM&Aは、マイクロソフトがスマートフォン分野の開発を進め、GoogleやAppleとの競争力を高めることを狙いとして行われましたが、スマートフォンの販売事業の低迷により、業績も悪化し続ける始末に。その結果、マイクロソフトは翌2015年に買収額を超える約7,600億円の減損損失を出すこととなってしまいました。

LIXIL

住設機器メーカーのLIXILは、2014年1月に、グローエが母体となっている中国の会社「Joyou」を買収し、衛生陶器等の製造販売を行っていました。しかし、買収からわずか1年半、同社に不正会計が発覚してしまい、破産手続きを開始することを発表。これに伴う損失額は660億円と報じられ、M&Aは失敗に終わりました。

Joyouは買収される前から周到な粉飾を行っており、LIXILはデューディリジェンスで粉飾を発見できなかったとされています。

まとめ-成功の裏にはリスクがある

さて、今回はM&Aの失敗について書きましたが、やはり大きな業績向上の為には、その分大きなリスクも伴っていることを忘れるべきではないでしょう。
成功例ばかりが大きくニュースになるM&Aですが、失敗事例も忘れずにチェックしてみてはいかがでしょうか?

参考資料

M&Aで失敗するパターンとは?10の失敗事例を徹底解説|M&Aマーケット

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