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2020.5.27

Afterコロナにおけるオープンイノベーション拠点のあり方

Afterコロナにおけるオープンイノベーション拠点のあり方

近年、大企業を中心に開設する企業が増えているオープンイノベーション拠点。今回は、Afterコロナのオープンイノベーション拠点のあり方について、1つの考え方をご紹介します。

オープンイノベーションとは

イノベーションを表した写真

オープンイノベーションとは、自社だけでなく他企業や大学、起業家などが保有する社外の技術、アイデア、ノウハウ、データなどを組み合わせて新たな価値(革新的なサービスや製品、
ビジネスモデルなど)を創造するイノベーションの方法論を指します。

1980〜1990年台におきたイノベーションの大半は、自社内の経営資源や研究開発成果を用いた自前主義、いわゆるクローズドイノベーションから生まれていました。しかし、昨今はニーズの多様化やプロダクトライフサイクルの短期化、市場の不確実性の高まり、雇用流動性の高まりによる優秀な人材の流出などの影響により、自社ですべてを賄うことに限界がきています。

また、人口減少により経済が縮小していく日本において、企業が持続的に成長していくためにはイノベーションが必要不可欠です。そこで注目されているのがオープンイノベーションです。近年では、大企業を中心にオープンイノベーション促進を目的とした拠点を開設するケースが増えており、各拠点は運営法人にとってはもちろん、拠点の会員や起業家にとっても新規事業創出において様々な役割を果たしています。

オープンイノベーション拠点の役割

①人材交流の場

拠点の多くは会員制のコワーキングスペースとなっています。当然出入りする人のほとんどは、新規事業創出に取り組んでいる、または関心のある人たちです。また、スペース内には個室や会議室もありますが、大人数で集まって自由に議論できる大きなテーブルがあるなど、開放的な空間であることが多いため、ちょっとした雑談が起こりやすくなっています。その雑談からビジネスで繋がることもあり、人材交流や人脈形成の場となっています。

②情報交換の場

拠点の中には、金融やMaaSなど特定の領域やテーマを設定しているところもあります。同じテーマの新規事業に取り組んでいる人たちが集まっているため、他では聞けない特定領域のディープな情報が集まり、貴重な情報交換の場になっています。拠点内での情報交換により抱えていた課題がすぐに解決できたという事例もあります。また、オープンイノベーションをテーマにしたセミナーなどのイベントも開催しており、質の高い情報が常に行き交う情報の港のような場所でもあります。

③最先端技術の体験の場

一部の拠点では、最新のVR機材やハードウェアなど最先端技術を体験、利用することができます。最先端技術を実際に体験できることで、未体験の人には得ることのできない示唆を得ることができます。常に新しいテクノロジーが集まり体験できる場で、テクノロジーの認知の役割も担っています。

④起業家のオフィス

コワーキングスペースとなっている場合が多いため、起業家のオフィスとして利用される側面もあります。バックオフィス業務の支援やメンター制度を取り入れている拠点もあり、起業家が集中して事業開発に取り組める空間です。また、孤独を抱えやすい起業家にとっては、同じ志を持った仲間を意識して働ける場所となっているので、メンタル面のケアにも一役買っています。

オープンイノベーション拠点の例

LODGE

2016年11月にYahoo!によって開設されたオープンコラボレーションスペースです。千代田区にあるYahoo!の自社オフィス内に開設され、Yahoo!グループが持つ情報や技術、リレーションを生かしたイノベーションの創(双)発を目指しています。Yahoo!グループと利用者との間だけでなく、利用者間の協業機会の創出をサポートする取り組みも行われており、2017年には「DMM.Africa」と「タイガーモブ」で協同実施したルワンダ共和国でのインターンシッププログラム「STARTUP AFRICA」を生むきっかけとなっています。

Advanced Technology Lab

2017年6月にリクルートテクノロジーズによって開設されたオープンイノベーションスペースです。オープンイノベーションへの取り組みを加速させることを目的として日本橋に開設され、主にエンジニア志望の学生やフリーのエンジニア、クリエイター向けに開放されており、会員登録者である「客員研究員」は、施設内にある最新のVR機材やハードウェアなどを無料で利用することができます。

hoops link tokyo

2017年9月にSMBCグループによって開設された会員制のオープンイノベーション拠点です。拠点は、金融機関が拠点を置く場所としては珍しいITベンチャーが集中する渋谷にあります。スタートアップや大企業、自治体、大学等様々な立場の人々が集い、SMBCグループの知見やネットワークを基盤に、社会的な価値を創出することを目的にしています。契約業務をweb上のみで完結できる電子契約サービスを提供しているSMBCクラウドサイン株式会社が生まれるきっかけとなるなど実績もあります。

BASE Q

2018年5月に開設された東京ミッドタウン日比谷の6階にあるオープンイノベーション拠点です。三井不動産株式会社が様々な企業と協同で運営しています。イノベーションや新たなムーブメント創出の基点となることを目的としており、ベンチャー企業、NPO、官公庁、大企業のイントレプレナー、テクノロジスト、クリエイターなど、多様なバックグラウンドを持つ人々の交流を促進することで、新たな価値創造や社会課題の解決を目指しています。

AND ON SHINAGAWA

2019年7月に品川に開設された会員制のオープンイノベーション拠点です。京浜急行電鉄株式会社、株式会社サムライインキュベート、株式会社ヒトカラメディアの3社が運営しています。「モビリティ変革」や「MaaS」とその周辺領域をテーマとして取り扱っており、次世代の交通インフラの構築と関連サービスの創出を目指しています。会員は、京急電鉄やテーマ領域に関連する大手企業などで構成される「AND ONパートナーとのコラボレーションなど、支援を受けることができます。

新型コロナの影響で問われるオープンイノベーション拠点のあり方

新型コロナウイルスおよび緊急事態宣言の影響により、各拠点は一時閉鎖する事態となりました。2020年5月現在でも運用再開の目処は立っておらず、通常運用に戻るまでにまだ時間が掛かる見込みです。拠点はリアルの場を前提として設置されているため、閉鎖されてしまうと、リアルの場での人脈形成や情報交換ができなくなり、当然オフィスとしても利用できなくなってしまうため、拠点を利用していた人や企業の新規事業創出にも影響が出ています。

誰も予想し得なかった状況ではありますが、現状はもちろん、この新型コロナの猛威が落ち着いた後も、近い将来に同様の問題に直面する可能性は否定できないため、対策を講じておく必要があります。それでは、このコロナ禍の経験から考えておくべき具体的な対策やオープンイノベーション拠点のあり方とはどのようなものでしょうか。

①セキュアなオンラインコミュニティをつくる

まずは、オンライン上で運営法人の新規事業担当者や会員が集まり、コミュニケーションが取れる場が必要です。特に機密情報のやりとりもできるようセキュアな環境が求められます。また、オンライン上のみでもコミュニティが拡大するよう新規会員の受付や面談、審査もオンラインで完結できるようにする必要があります。完全オンラインで参加できるようになれば、リアルの場では会うことが難しい地方にいる優秀な人材との交流も可能になるなど、オンライン独自のメリットも享受できます。リアルの場であることが価値の1つでしたが、オンラインの場も設けることが今後のオープンイノベーション拠点のあり方としてのベースとなるでしょう。

②バーチャル空間を活用して気軽に交流できる場にする

人材交流と情報交換が拠点の役割の中核を占めます。リアルの場とオンラインコミュニティとの主な相違点も人との交流や情報交換のしやすさにあるため、オンラインでも気軽に交流できる場にすることが大切です。オンラインコミュニティではオンライン状態かは確認できても相手の様子が分からないため、気軽に声を掛けたり、議論するハードルが高くなってしまいます。そこで椅子やテーブルがある拠点の内装を模したバーチャル空間と、そこで動かせるアバターをつくるなど、誰がオンライン状態で、どのような状態なのかを分かるようにする工夫が必要です。また、オープンスペースでは、スペースにいるメンバー全体に向けてメッセージを発信できる機能や、オープンな議論(web会議)には誰でも1クリックで参加できるなどの機能があるとオンラインでも気軽に交流できる場とすることができます。また、すでに多くのセミナーやワークショップがオンラインで開催されていますが、アバターに友達申請ができお互いの経歴や得意分野などの情報を交換できる仕掛けや、Eightなどのオンラインで名刺交換ができるアプリを利用することで、リアルイベントとそれほど遜色なく人材交流の起点となれるはずです。

③オンラインでも起業家を支援できるようにする

起業家に仕事が捗る空間を提供することもオープンイノベーション拠点の大切な役割の1つです。拠点によっては、バックオフィス業務の支援やメンター制度を提供しており、起業家の大きな助けとなっているため、これらの支援をオンラインで対応できるようにする必要があります。経理代行や資料作成支援、プレスリリースの作成支援などのバックオフィス業務は、freeeやMoneyForwardなどのクラウド経理ソフト、ストレスなくリアルタイムで意思疎通できるSlackなどのコミュニケーションツールを活用すればオンラインのやりとりでも十分機能します。また、メンターとの面談やチームでの会議も、ZoomやSkype、Wherebyなどのweb会議ツールを活用することでオンラインで十分実現可能ですので、オンラインでの対応窓口をしっかり設置することが大切です。

社会のあり方に変化が求められている時こそイノベーションの力が必要になります。イノベーションを生み出す場所であるオープンイノベーション拠点には、リアルの場が利用できなくなった際にも、その役割や価値を提供できるようオンラインコミュニティが必要です。リアルとデジタル両者のメリットを活用した「どんな時でも繋がるイノベーション創出の場」が今後求められるオープンイノベーション拠点のあり方ではないでしょうか。


参考サイト

場の創出が要!続々登場オープンイノベーション拠点

大企業による「オープンイノベーション拠点」が続々誕生ーー12の事例を紹介

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