2023.11.19

クラウドファンディングを実施した際の税金や会計処理について解説

クラウドファンディングを実施した際の税金や会計処理について解説

新しい資金調達の方法として注目を集めるクラウドファンディングですが、その類型によって出資者へのリターンが異なるため、税金や会計処理の扱いも変わってきます。そこで今回は、クラウドファンディングにおける税金や会計処理について各類型ごとにまとめていきたいと思います。

①購入型クラウドファンディングの会計処理

購入型のクラウドファンディングでは、出資したリターンとして、その集まった資金で作られた商品やサービスを得ることができますが、これは実質的にはお金を出して商品やサービスを買っているのと何ら変わらず、出資者にとってはECと同じ状況になっています。

そのため、会計処理においても、製品を販売した場合と同様の扱いになり、クラウドファンディングによって集まった資金は全て収益・売り上げとして計上されます。税金の扱いとしては、製品の開発にかかった費用(原価)や人件費、クラウドファンディングサイトに支払う手数料などを売り上げから差し引いて残った利益に、個人ならば所得税が、法人ならば法人税がそれぞれかかります。また、製品の販売・購入と変わらないことからも分かるように、消費税ももちろんかかります

しかし、案件の中には出資した金額に対してリターンの価値が明らかに低いという場合もあります。そのような場合には、購入型ではなく、寄付型としてみなされます。

②寄付型クラウドファンディングの会計処理

購入型クラウドファンディングの税法上の扱いは製品販売と同様に考えられるため、あまり複雑ではありませんでしたが、寄付型の税の扱いは非常に複雑です。寄付をしたのが個人か法人か、寄付を受けたのが個人か法人かによって対応が異なります

寄付をしたのが個人の場合

個人に寄付をした場合

この場合、資金調達者は支援者から贈与を受けたとみなされ、贈与税がかかります。贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に集めた寄付金を合計します。続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引き、その残りの金額に金額ごとの税率をかけて税額を計算します。

また、贈与税の計算をする上では、先ほどの購入型とは異なり、プラットフォームへ支払う手数料を経費として税の対象から差し引くことはできません。この点にも注意して、寄付を募る必要があります。

法人に寄付をした場合

この場合、寄付を受けた法人には受贈益が発生したことになります。受贈益とは、法人が他の法人や個人などから資産を贈与(または低額譲渡)されたことにより生じる経済的利益のことで、税務上利益が増えたとみなされます。しかし、受贈益が発生しても、プロジェクト実行に必要な費用は経費として計算されるので、集まった寄付金のほとんどをプロジェクト実行費用にあてることを考えると、納める法人税が増えることは滅多にありません。

寄付をしたのが法人の場合

個人に寄付をした場合

この場合、寄付金は受け取った個人にとっての一時所得とみなされます。一時所得の金額は、収入を得るために支出した金額と特別控除額(最高50万円)を総収入金額から差し引くことで算出され、その所得金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。また、一時所得においては、経費を計算に入れることができるので、プラットフォームへの手数料は、必要経費として課税金額から差し引くことができます。

また、寄付を行った法人にも法人税がかかる可能性があります。法人税では購入型の際にも触れたように、必要経費を課税金額から差し引くことができますが、寄付の場合、その全てを経費とみなすのは難しいです。そのため、寄付金の支払い先や金額などに注意して寄付を行わなければ、納める法人税が多くなるということです。

法人に寄付をした場合

寄付を受けた法人に関しては、個人から法人への寄付と同様に法人税がかかります。また、支援者側の法人にも法人税がかかります。寄付金の支払先によって、損金算入限度額という税務上の費用にできる限度額が異なりますが、支払先が法人の場合、その法人が指定寄附金や特定公益増進法人の可能性もあるため、損金算入限度額は多くなります。そのため、税務上の費用が増えたことになり、納める法人税を減らすことができます。

③融資型・投資型クラウドファンディングの会計処理

出資を行った時点では、出資者にも営業者にも税金はかかりませんが、営業を行った結果、利益が発生した場合は、営業者に所得税(個人)、法人税(法人)がかかります

このように、クラウドファンディングには類型ごとに様々な税法や、会計処理が伴います。クラウドファンディングを利用する際には、これらを十分に把握しておくべきですが、中には寄付型のように複雑なケースもあるため、税理士など税務のプロの力を借りることも時には必要です。

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