2023.11.18

音楽フェスの開催に資金はいくら必要?開催までの方法や費用を押さえておこう

音楽フェスの開催に資金はいくら必要?開催までの方法や費用を押さえておこう

毎年、夏のシーズンなどに大盛り上がりの音楽フェス。近年では、年間の動員数200万人以上、市場規模220億円以上と、その規模は拡大し続けています。そんな音楽フェスですが、開催するのに一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は「音楽フェスの開催に必要な資金」について紹介していきます。

開催にかかる資金

会場費

まず、フェスを開催するには会場が必要となります。キャパや立地にもよりますが、小さなライブハウスであれば、1日ホールレンタルする場合、約10万〜20万円が相場のようです。しかし、フェスのような規模が大きな音楽イベントになると、かなりの額がかかってきます。

たとえば、千葉県千葉市にある幕張メッセでは、日本が誇る巨大音楽フェス「サマーソニック」(以下、”サマソニ”)が開催されています。サマソニは国際展示場の1〜8ホールの全てを貸し切って実施されるフェスであり、毎年8月上旬から中旬の間の土日2日間に行なわれています。いずれのホールも一律 2,256,680円/1日 のため、全8ホールを使用すると1日で18,053,440円かかるということになります。それを2日間、さらに前夜祭と呼ばれる「ソニックマニア」も含め3日間で計算すると、トータル54,160,320円かかるのです。

機材費

音響や照明などの機材費は、会場費の中に含まれている場合が多いですが、1,000人以上の大ホール・野外規模の大編成ライブ演奏向けの音響レンタルは、だいたい30万円前後の費用がかかります。

ギャランティー

フェスに出演するアーティストやバンドのギャランティーですが、タレントのキャリアによってバラつきがあるため、一概にいくらとは言えません。若手やアマチュアバンドであれば数万円、ベテランミュージシャンであれば数百万という可能性もあります。また、海外アーティストを招いたりする場合にはさらに高額となり、2008年のサマソニに出演したイギリスのロックバンド・Coldplayのギャラは、2日間で2億円に上ったと報じられています。

チケット販売

音楽フェスを行なうためにはチケットの販売手配も必要です。スタッフによる地道な手売り作業ならともかく、何万人規模となるフェスの場合、当然チケットの数も膨大なものとなり、チケット販売サービスを利用する委託販売を行なうのが主流となってきます。

委託販売にかかるコストは、口座開設料金、興行登録代、販売手数代、チケット印刷代などが含まれます。まず、口座開設料金というのは、そのチケット会社と最初に取り引きを始める際に必要になるお金です。つぎに、興行登録代というイベントをチケット会社に登録する費用がいります。さらに、販売手数代はチケット料金の一割ほどの値段をチケットの発行枚数分支払う必要があり、そして、印刷代はチケット1枚につき15円ほどかかります。規模の大きなフェスだと、1日の来場者数が7万人というところもあるため、チケット印刷代だけで100万円以上かかる場合があるということです。

資金調達方法

スポンサーシップ

ライブ音楽へのスポンサーシップは現在拡大しており、企業によるブランド・スポンサーシップが活気づいています。アメリカではリーマンショック以来、音楽は企業のマーケティングにおいて重要な投資対象とされ、2013年にはアメリカの音楽フェス、ミュージシャンのツアーなどのスポンサーシップ総額が12億8000万ドル(約1271億円)に上ったそうです。

大手ブランド以外にも、クレジットカード、自動車、スマホメーカーなど、多数のスポンサーが音楽フェスを支援し、ターゲットユーザーや一般消費者にアプローチするキッカケを作っています。なかでもバドワイザーをはじめ、ビールメーカーはどの音楽フェスにおいても最大のスポンサー企業として力を注いでいるようです。

寄附金

地域のお祭りやイベントなどでは、しばしば応援寄附金を頼りに開催されることがあります。最近では寄附金で音楽フェスが開かれることもあり、昨年9月に滋賀県で開催された「イナズマロックフェス2017」では、タレントの西川貴教さんが収益金の一部(300万円)を寄附し話題となりました。初代滋賀ふるさと観光大使をつとめる西川さんは、同フェスの主催者でもあり、第1回目の2009年から9年連続で出演。「イベントの規模も年々拡大しているのはひとえに県民の皆さんのご協力のおかげ。このイベントをもっと活性化させて、滋賀県のいい影響を広げていきたいと思っている」と感謝の意を込めて寄附に至ったそうです。

クラウドファンディング

スポンサーシップや寄附金に加え、近年クラウドファンディングを通じて資金調達を行なう音楽フェスも多くなってきています。音楽フェスをテーマにしたクラウドファンディングプロジェクトでは、リターンにフェス当日の入場券やフェスオリジナルTシャツなどが提供され、高額な出資であれば出演アーティストのサイン入りグッズなどもゲットできるようです。

クラウドファンディング事例

では、ここでクラウドファンディングを活用して開催された音楽フェス事例を見てみましょう。

「天狗Rockフェス」に地元ミュージシャンが立てるステージを作りたい!

https://kibidango.com/483

「天狗Rockフェスティバル」は、町外の人に飯綱町(長野県)の名前を知ってもらい、オフシーズンの自然の魅力を伝えるとともに、音楽を通じた地域の交流を目指すフェスです。プロのアーティストが素晴らしいライブを披露する中、地元のアマチュアミュージシャンも胸を張って”天狗”になれるステージの設営を企画しています。2017年の「天狗Rockフェスティバル2017」では、このアマチュアミュージシャンが出演するステージの企画・設営費を、クラウドファンディングサイト・Kibidangoにて呼びかけました。

このプロジェクトでは、ステージ設営費、音響費、照明費の調達を行ない、募集期間のおよそ1ヶ月間で1,012,710円を集めることに成功。また、2017年の同フェスには、かりゆし58、APPLE EYE、YOU THE ROCKなど、人気ミュージシャンが多数出演し、大盛り上がりとなりました。

東海地区最大の無料音楽フェスティバル『FREEDOM NAGOYA』を存続したい!

https://wefan.jp/crowdfunding/projects/freedom_nagoya2016

2010年から始まった東海地区最大の無料音楽フェスティバル「FREEDOM NAGOYA」は、7年目を迎えた2016年に初めてクラウドファンディングを活用しました。例年、人気フェスとして規模が大きくなる一方、寄付金や協賛金、グッズ収入などでやりくりしてきたため、今後もフェスを継続させるのが難しいといった状況に。2万人以上の観客が集まり、過去にはback numberやガガガSPなど、数多くの人気アーティストが参加したこの「FREEDOM NAGOYA」をなんとか続けたいと懇願した起案者の綿谷剛さんは、音楽専門クラウドファンディング・we fanを通じて、今回のプロジェクトが実行されました。

例年のにぎわいが相まってか、支援者の数は700人以上にのぼり、およそ550万円の資金調達に成功。また、このプロジェクトが施行された「FREEDOM NAGOYA 2016」でも、”入場料無料”といった軸をぶらすことはなく、来場者に満足してもらえるようなライブを実現することにも成功しました。

まとめ

さて、今回は「音楽フェスの開催に必要な資金」について紹介しました。

各音楽フェスの規模により開催費はバラつきがありますが、少なく見積もっても億単位の支出になることは間違いないです。先に述べたように、会場費だけでも5000万円以上かかったり、チケット印刷だけで100万円オーバーすることもあります。それに加え、出演者のギャランティーやセット代、機材代などを考えると、億を超えるのは言うまでもありません。

そんな中、最近ではクラウドファンディングを通じて開催費を集めるなど、新たな動きも出てきており、資金調達に成功するプロジェクトも増えています。将来的に、クラウドファンディングを活用して開催される音楽フェスは、ますます増えるのではないでしょうか。

<参考にしたサイト>
https://www.m-messe.co.jp/docs/exhibitionhall/

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