2023.11.19

クラウドファンディングに関する法律や規制と金融庁の動きついて解説

クラウドファンディングに関する法律や規制と金融庁の動きついて解説

クラウドファンディングが拡大するのに伴い、様々な規制や法律が必要になってきています。諸外国でも法律の整備が進んでいる段階ですが、今回は国内に目を向け、金融庁の動き、特に金融商品取引法の改正に焦点を当てて説明していきたいと思います。

金融商品取引法で規制される範囲

まず、金融商品取引法で規制される範囲についてご説明します。クラウドファンディングには、大きく分けて寄付型、購入型、金融型の3つがあることは以前からお伝えして来ました。

このうち、国内で事業者数が最も多いのは購入型でした。その理由として、購入型は金融商品取引法などの規制で制限されることがないため、誰でも簡単に始められることが挙げられます。また、寄付型も「金銭の寄付」であるため、金融商品取引法で制約を受けることはありません。購入型、寄付型が金融商品取引法などの規制を受けないのは、「金銭によるリターンを伴わない」ためです。そのため、購入型のクラウドファンディングでは、お金を出す人は金銭によるリターンは受け取れず、事業者の出品する物品やサービスを購入することしかできないのです。

一方、金融型は返済金利の一部を分配する融資型、収益を分配する投資型、株式取得を行う株式型と、どれも金融商品を介した活動です。そのため、金融型のクラウドファンディング事業を行う場合は、金融商品取引法上の登録が必要となります。仮に、本登録なしで金融型のクラウドファンディング事業を行うと、処罰の対象になることもあります。逆に言うと、事業者に金融商品取引法上の法律の下であれば、お金を出す人(出資者)はベンチャー企業や企業に少額から投資し、その配当や利益を受ける活動を行うことができます。

よって、金融商品取引法で規制を受けるのは、購入型、寄付型ではなく、金融型のクラウドファンディングとなります。

金融商品取引法改正の背景

次に、金融商品取引法改正の背景を見ていきましょう。クラウドファンディングはインターネットを活用してリスクマネー(不確実でリスクが大きいが、成功すれば高い収益が得られる事業に投入される資金のこと)が新規企業・事業などに供給される仕組みとして、今後成長することが期待されています。その一方で、インターネットを通じた投資が行われることから発生する、電話上での詐欺行為などを規制していく必要があります。

しかし、有価証券などの金融商品の募集をインターネット上で行うことについては、特別な規則は設けられていない状態でした。そのため、金融庁は2014年に実施された金融商品取引法の改正で、投資型クラウドファンディングに関する制度の整備を行ないました。2014年5月、クラウドファンディングの発展のための規制枠組みとして金融商品取引法を改正する法律が成立し、2015年から施行されました。

では、改正された金融商品取引法の内容を改正前と改正後に分けて見ていきましょう。

改正前/改正後の金融商品取引法の内容

改正された金融商品取引法では、

①市場へのリスクマネーの供給促進
②投資者保護のためのルールの整備

の2つに取り組んでいます。

①市場へのリスクマネーの供給促進

投資型クラウトドファンディングに関する業務を「電子募集取扱業務」と定義し、「第一種電子募集取扱業者」・「第二種電子募集取扱業者」という、参入要件が緩和された金融商品取引業者の類型を新たに設置することでリスクマネーの市場への供給の促進を図りました。

<改正前>

  • 有価証券を勧誘するためには、「金融商品取引業者」としての登録が必要
  • 非上場株式の勧誘は、日本証券業協会の自主規制により原則禁止

<改正後>

  • 「第一種電子募集取扱業者」・「第二種電子募集取扱業者」という金融商品取引業者の類型を新たに設置
  • 発行価額の総額1億円未満、かつ一人当たり投資額50万円以下の少額のもののみを扱う業者について、兼業規制等を課さないこととし、登録に必要な最低資本金基準を現行の5,000万円から1,000万円に引き下げる
  • 非上場株式の勧誘を、発行価額の総額1億円未満、かつ一人当たり投資額50万円以下の少額のものに限って解禁

②投資者保護のためのルールの整備

合わせて投資者保護のためのルールの整備を実施し、投資者が詐欺的な行為に悪用されることが無いよう、クラウドファンディング業者に対して、「ネットを通じた適切な情報提供」や「ベンチャー企業の事業内容のチェック」などを義務付けることにしました。他にも投資者保護の観点から、非上場株式や少額電子募集取扱業者によるファンド持分の勧誘を、ウェブサイトと電子メール等のみ限定し、電話や訪問等による勧誘を禁止しました。また、ウェブサイトや電子メール等により非上場株式やファンド持分の取得の申し込みをした場合、申込日から8日間は申し込みを撤回できる、クーリングオフの制度を定めました。

ここまで、金融庁のクラウドファンディングに対する規制、中でも金融商品取引法について述べてきました。日本では上記法整備に伴い、今後さらに金融型のクラウドファンディングが拡大していくことが予想されます。市場へのリスクマネーの供給が増え、事業者側も投資者側もwin-winの関係となれる案件も増えていくのではないでしょうか。

金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)に係る説明資料(金融庁)
http://www.fsa.go.jp/common/diet/186/01/setsumei.pdf

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