リーン・スタートアップで用いるMVPキャンバスとは?
本サイトではリーン・スタートアップについて『リーン・スタートアップとは?企業での導入事例を紹介します』でご紹介しています。必要最低限の機能だけを含んだMVPを短期間で作り、市場にて顧客から評価をもらい、その結果から再構築もしくは撤退を行うという考え方です。
今回は、そんなリーン・スタートアップで用いるMVPキャンバスについて解説していきます。
Contents
MVPとは?
MVP(Minimum Viable Product)は、市場に売り出す前に作られる”実用最小限の製品”です。
新しい製品やサービスを世に出す前に必ず「仮説」が立てられます。コストがいくらかかるのか、利用人数の規模はどれくらいか、どれほどの利益が見込めるのかなど、予測を立てます。
仮説を構築したら検証を行う必要があり、設定したビジョン通りに動くかどうかをテストすることで可能性やリスク等、ビジネスを成功させる上での要素がより明確になります。
実用最小限の製品とは、顧客に価値を提供できる”必要最低限の機能”を有する製品ないしサービスを指します。本格的な開発を行う前にMVPを制作することで限られた時間内で顧客のニーズを検証することが可能であり、余分なコストを削減することもできます。
MVPの種類について
ここでは具体的なMVPの種類と実例を5つご紹介していきます。
プロトタイプ
試験やデモ用に制作された実験機をプロトタイプと呼びます。
有形製品を指す場合が多く、MVP手法の中でもわりとコストがかかる部類です。
Appleが開発したiPhoneは、開発初期段階でプロトタイプが作られていました。実際に発売された初代iPhoneとは大きさが異なり、試験を重ねた結果、実際のiPhoneに辿り着いたようです。
カスタマーリサーチ
アイデアが固まっていない段階で実践できるMVP手法として顧客調査があります。
特別な制作物を用意する必要はなく、紙ペラ一枚から実践できるのが最大の特徴です。
スモークテスト
顧客が製品やサービスのアイディアに興味を示しているかを調べるためのMVP手法です。
スモークテストには、サービス紹介ビデオとプレオーダーの2種類があります。
実際、現在スモークテストをサポートしてくれるサービスが多数存在するため、アイディアが思い浮かんだ段階ですぐに実行に移せるという部分が最大の利点と言えます。
オズの魔法使い
映画『オズの魔法使い』から名付けられたこのMVP手法。
本来システム化されているはずのウェブサイトなどを、実際には人力で操ることにより、開発初期に大掛かりなシステム化を行うリスクを避けるためのMVP手法です。
コンシェルジュ
あらゆるものをマニュアル化で行うのがコンシェルジュです。
顧客の意見を直接吸い上げることができ、直接フィードバックをもらってその場で改善できるのが特徴であります。
MVPキャンバスとは?
こうしたMVPは新製品やサービスを市場に導入する上で重要な役割を担います。
ただし、単純なテストケースをつくってMVPを進めるのでは意味がありません。仮説を立て、MVPを通じて何を学ぶのか、コストや期間はどれくらいかを考えた上で実践する必要があります。
そうした質の高いMVPを進めるために、「MVPキャンバス」というものが作られています。
MVPキャンバスとは、仮説検証の内容を明確化するためのフレームワークであり、これを活用すれば「仮説をもとにして、どのような結果を得るのか」や「MVP後につくるべき、プロダクトやサービスのカタチ」がより明確化されます。
MVPキャンバスを使うと、仮説、検証すべき項目、作るべきものが整理され、”何も結果を生み出さない”といった事態を防ぐことのできる優秀なフレームワークです。
MVPキャンバスの10項目
MVPキャンバスは主に下記のような全10項目から構成されています。
仮説
まず、構想中のビジネスの中で最も優先度の高い仮説の記述を行います。
優先順位を決めることで、どの仮説から着手すべきか意思決定が明確になります。
何を学ぶか
つぎに、立てた仮説を検証をする理由や目的を明確にします。
何を学びたいか目的を明確化しておくことで、プロジェクトチーム内の意識共有は図れます。
どのように検証するか
仮説を検証するための方法をできるだけ具体的に記載していきます。
複数アイデアが生まれた場合は、複数枚のMVPキャンバスを活用しましょう。
必要データ・条件
仮説検証を進めるにあたり必要なデータや条件を設けましょう。
この段階でつまずくと適切な評価ができなくなり、質の低い検証になってしまいます。
何を作るのか
上記のHowの部分と必要データ・条件をもとに、MVPとして何を作るか記入します。
「制作物→方法」ではなく、「方法→制作物」として考えることが重要です。
MVP構築に必要なコスト
どのくらいのコスト・リソースが必要なのかを考えます。
MVP案が複数ある場合、コストに対しての学びの大きさを比較して選出することもあります。
実証に必要なコスト
上記同様、どのくらいの期間を実証に要するのか考えます。
締め切りを設けることで、スピード感とクオリティを高めることができるため大切です。
回避できる/発生するリスク
仮説を検証する上で発生するリスクと、未然に回避できるリスクの両方を記入します。
結果
実施した検証結果を簡潔にまとめます。
学び
検証結果から何を学び、今後のステップにどう活かすべきかを記載します。
リーン・スタートアップの仮説検証
新製品やサービスを立ち上げる際、リーン・スタートアップの概念はとても強力です。
近年では国内のさまざまな企業でも実践に取り入れられており、「最小リソースで最大限の顧客に対する学びを得る」試みが図られています。
リーン・スタートアップは、必要最低限の機能だけを含んだMVPを短期間で作り、市場にて顧客から評価をもらい、その結果から再構築もしくは撤退を行うという考え方です。
上記の通り、MVPキャンバスを明確に設定しておけば、仮説検証の試みから適切な学びを得られる機会も多くなるでしょう。
DropboxのMVP事例
アメリカのDropbox, Inc.が提供しているオンラインストレージサービス「Dropbox」。
Dropboxは当初、デモ用の動画を流し、サービスを使ってみたいと思ってくれる人をたくさん集めたそうです。サービス自体が存在しなくともデモを作った段階でサービスの見込み調査ができる、すなわちスモークテストを使ったMVP手法として知られています。
実際に、Dropboxがローンチ前に実践したサービス紹介ビデオをきっかけに、事前登録ユーザー数が5,000人から75,000人へと大幅に増加したようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はMVPキャンバスについて解説しました。
新たな製品やサービスを作るためのアイデアをより具体化させるためには、顧客のニーズを探るためのMVP製作が重要であり、リソースの限られた環境下では必要不可欠な材料です。
リーン・スタートアップについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
https://relic.co.jp/battery/articles/9056#i
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