新規事業に向いている人材とは?求められる資質や特徴を交えて解説

企業規模に関わらず、継続的な利益を生み出していくために、新規事業の立ち上げに注力している企業が近年増えています。新規事業に取り組む際、重要となってくるのが人材です。中小企業庁の調査によると、新規事業展開を行っていない企業の課題として最も大きいものは「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」ことです(中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」2016年11月)。どのような人材を、どのような観点で評価・選出し、どのように育成していけば、新規事業を成功へと導けるのでしょうか。
今回は「新規事業立ち上げに適した人材」について考察していきたいと思います。
Contents
新規事業に求められる資質
新規事業立ち上げに必要または重要な資質を、クレイトン・クリステンセン教授『イノベーションのDNA-破壊的イノベータの5つのスキル』で言及しているイノベーターDNAモデルに照らし合わせて見ていきましょう。イノベーターDNAモデルによると、その資質は以下の3つです。
- イノベーションに取り組む勇気
- 発見力
- 実行力
「新規事業」や「イノベーション」といった文脈では、「発見力」が大きく取り上げられがちですが、それを着実に形にしていくためには、現状に異議を唱え、必要なリスクを取る「勇気」や、計画立案~運用時の「実行力」が不可欠です。
すなわち、新規事業立ち上げにあたっては、「発見力」を強く持つ人材だけでなく、「イノベーションに取り組む勇気」や「実行力」にも目を向けて、人材を評価し、選定することが必要です。
新規事業に求められる資質を測る観点
それでは、「イノベーションに取り組む勇気」「発見力」「実行力」はどのような観点から把握することができるのでしょうか。いくつか観点をご紹介します。
イノベーションに取り組む勇気
変化を起こし、自らその変化を推し進められる人材であるかどうかを「現状に異議を唱える」「リスクを取る」「創造的能力に自信がある」といった観点から評価するとよいでしょう。
既存事業の業務を遂行する中で把握するのは難しいかもしれませんが、
- 業務に限らず、自らのキャリアも含めて、高い目標を持っているか
- 現在の業務の進め方を鵜呑みにするのではなく、よりよい進め方を模索しているか
- それを口だけではなく、実行しているか
といった問いによって対象人材の勇気を推し測ってみましょう。
発見力
顧客の抱えている不満・不安・不便を発見し、それを解決するための方策を発見する能力を測るには、「質問」「観察」「関連づけ」といった観点で評価するとよいでしょう。
- 既知の情報を鵜呑みにせず、前提が正しいかどうかを問い掛けているか
- 日常的に「もし…だったら?」という問い掛けをしているか
- 新たな製品・サービス、外部の企業などの情報によく触れているか
- そこで得られた情報を、自社に適用しようとしているか
といった問いによって対象人材の発見力を評価するとよいでしょう。
実行力
実行力は成果を出すために重要な資質です。これを測るには「分析」「計画」「運用」といった観点で評価するとよいでしょう。
- 直感だけでなく、データに基づいて意思決定できるか
- 目標を達成するための道のりを小さなタスクに分解できるか
- 他の人が見逃すようなミスに気がつくか
といった問いによって対象人材の実行力を評価するとよいでしょう。
新規事業に求められる資質に基づいた人材のタイプ
「イノベーションに取り組む勇気」「発見力」「実行力」に目を向けて資質をある程度測ることができたら、その人材の「タイプ」を把握することをおすすめします。
イノベーターDNAモデルでは被評価者の「発見力」「実行力」の相対的な高低に基づいて、人材を5つのタイプに分類しています。
- イノベーター:実行力よりも発見力の方が高い
- エグゼクティブ・イノベーター:実行力よりも発見力の方がやや高い
- デベロッパー:発見力・実行力が同程度
- イノベーティブ・エグゼキューター:発見力よりも実行力の方がやや高い
- エグゼキューター:発見力よりも実行力の方が高い
(図:5つのイノベータータイプ)
どのタイプが素晴らしいということではなく、タイプを明確にし、個々の人材の強みと課題を把握することが重要です。
ここで言及していない「イノベーションに取り組む勇気」については次章でご説明します。
人材のタイプをチームビルディングに活かす
複数の人材のタイプを把握できると、新規事業を立ち上げる際のチームメンバー構成の検討を進めることができます。
例えば、イノベーターが5人集まったチームは発見力豊かで構想は膨らむ可能性が高いものの、実行力不足でそれをなかなか形にできない可能性があります。一方、実行力の高いエグゼキューターが5人集まったチームは構想が進まない、またはこじんまりとした構想に落ち着いてしまう、という可能性もあります。対象となるアイデアの内容や、事業化フェーズに応じて適切な人材のタイプを選び、チームを構成するとよいでしょう。
また、同じタイプのAさん・Bさんのどちらをチームメンバーにするか迷う場合もあります。そのようなケースでは「発見力」「実行力」を駆動させる力の強さとして「イノベーションに取り組む勇気」を活用することができるでしょう。
そのような検討を通してチームが組成された後も、イノベーターDNAモデルの考え方を活用することができます。マネージャーは、各メンバーのタイプやイノベーションに取り組む勇気を踏まえて、強みを発揮してもらえる業務を任せて成果を出す、課題を克服する業務を任せて成長を促すことに活用できます。
既存事業の業務を遂行している様子を基に、今回ご紹介した観点で人材を評価することは難しいかもしれません。また、評価ができたとしても客観性・信頼性に疑義を持たれ、被評価者からすると納得感を十分に持てない可能性があります。弊社が提供している「イノベーターDNA診断」では、70項目の質問に回答することで資質・タイプを把握することができます。
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