新規事業におけるKPI設計の必要性

KPIとはKey Performance Indicatorsの略です。日本語で「重要業績評価指標」です。つまり、組織の達成目標(売上高など)に対して、目標達成度合いを評価するための指標のことを指します。このKPIは目標達成に向けたプロセスの達成度を把握し評価するための「中間目標」として非常に有効となります。本記事では、新規事業においてKPIを設計する必要性についてご紹介いたします。
KPIが必要とされる、事業プランの実行を妨げる3つの要因
1つ目の要因は、事業プランを実行する上での指針となるKPIが適切に設計・設定されていないケースです。
このケースにおいては、取り組む事業の目的やゴールから逆算したマイルストーンとなるKPIを事前に設計し、目標として設定しておくことが重要となります。
2つ目の要因は、適切なKPIが設計できていたとしても、それらを正しく計測・可視化して事業リーダーやプロジェクトメンバーが把握することができる状態になっていないケースです。このケースにおいては、KPI毎に計測・可視化するための方法を設計し、技術/ツールの活用やシステム化/オペレーションを徹底することで、適切な計測環境を整えることが必要になります。
そして3つ目の要因は、正しくKPIを計測・可視化できていたとしても、そのKPIを改善・向上させるための仮説や検証するためのアプローチを検討したり、それを適切に実施したりするためのノウハウやリソースが無いケースです。実行フェーズにおいては必要十分なノウハウやリソースを保有する必要があります。
新規事業開発においては、どれだけ事前に検証活動を重ねていたとしても、いざ本格的な事業化に向けて実行していくフェーズに入ると、必ず想定外の結果や反応に次々と遭遇することになります。それを乗り越えるための仮説検証や改善アプローチを実施する活動は、延々と続いてくことになるのです。
KPIの設計方法
KPIを適切に設計するためには、新規事業開発に取り組む目的やゴールを定義し、その達成に向けたプロセスを測る指標(KPI候補となる指標)を「因数分解して網羅」していくことが重要となります。
これは、因数分解した各指標を達成することができれば、その先にある目的やゴールの達成に至ることができるという構造を指しています。目的やゴールが定量化されているものがKGIであれば、比較的簡単に因数分解を進めることができます。しかし、新規事業においては、目的やゴール自体が定量化しづらかったり、定性的なビジョンや状態を達成することを目的やゴールとして設定したりするケースがあります。
その場合、まず定性的な目的やゴールに基づいた形で定量化したKGIに落とし込み、その上で因数分解を進めていく必要があります。
新規事業におけるKPI達成度
NTTデータグループのビジネスコンサルティング会社であるクニエは、新規事業経験者600人に対して新規事業の実態調査を実施しました。その結果、「新規事業における最重要KPIの100%以上達成度は約2割」ということがわかりました。
本調査の対象者が回答した新規事業において、最重要KPIの上位は「利益」「売上」「新規市場・顧客の開拓」で、この3項目が全体の約7割を占めるということがわかりました。また、これら項目の達成度が100%以上のケースは全体の約2割でした。
また、計画スケジュールの遅延発生は約4割から5割で、「試験用開発」と「開発」のフェーズでの遅延発生割合が高くなっていました。開発が遅延したケースの最重要KPI達成度“100%以上”の割合(16%)よりも、計画通りに完了できたケース(28%)が高くなっており、開発遅延による商品やサービスの提供開始タイミングの遅れが事業の成功度合い(最重要KPI達成度“100%以上”の割合)に大きく影響を与えている可能性があります。
まとめ
このように、KPIは設計するだけでなく、しっかりと計測、可視化することができ、更に改善、向上させる必要があります。KPIを用いた正しいサイクルを回すためにも、最初の設計をしっかりと行う必要があります。また、設計しても新規事業においては100%達成できるケースが約2割ということも念頭に置いておく必要があるかもしれません。
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