顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティを向上させる方法と具体的な事例を紹介!
年々人口が減少している日本では、新規顧客の獲得が困難となっているため、新規顧客の獲得よりも顧客ロイヤルティを向上させることで、安定した売上基盤を築く事が重要だと言われています。
また顧客ロイヤルティを向上させることによって、SNSでの拡散や口コミにより新規顧客を獲得することも実現可能です。
今回は、顧客ロイヤルティの重要性とともに、顧客ロイヤルティを向上させる方法や成功事例を紹介いたします。
Contents
顧客ロイヤルティとは?
顧客ロイヤルティとは、顧客が商品やサービス、ブランドに対して感じる信頼や愛着のことを指しており、企業に対する信頼や愛着の大きさを、ロイヤルティが高い(低い)と表現します。
また、ロイヤルカスタマーとは、特定の企業やブランド、サービスに対して、深い愛着と信頼、忠誠心を持ち、競合に流れることなく、他者に商品やサービスを推奨してくれるようなロイヤルティの高い顧客を指します。
顧客ロイヤルティの重要性
ビジネスにおいて顧客ロイヤルティが重要である理由は3つあります。
持続的な優位性の構築
(引用: 株式会社ファンベースカンパニー)
パレートの法則によると、売上の80%は顧客全体の20%の優良顧客が生み出しています。
優良顧客の中でもロイヤルカスタマーは、商品・サービスに信頼や愛着があるからこそ、定期的に商品やサービスを購入しますが、ロイヤルティが低い顧客は、他社が自社よりも魅力的な施策を打ち出した際に、簡単に他社に乗り換える可能性がありま。
そのため、顧客ロイヤルティを向上させることで、現状の売上基盤を安定させることに繋がります。
人口の減少に伴う新規顧客獲得の難化
(引用: 株式会社ファンベースカンパニー)
50年後に4,000万人の人口が減少すると言われており、従来と比較し、日本では新規顧客の獲得の難易度が高まってきています。
また、マーケティングで有名な「5対25の法則」では、5%の顧客離れを改善すると25%利益率が改善すると言われており、そのため、近年では新規顧客の獲得よりも、顧客ロイヤルティを向上させることで顧客離れを改善させることが注目されています。
新規顧客の獲得につながる
(引用: 株式会社ファンベースカンパニー)
年々、企業側が発信するCMなどの一方的な情報が消費者に信頼されづらくなっています。一方で、実際にサービスを利用された方の口コミや評価、体験談などが商品の購買を左右する重要な情報源となります。
実際に、ある調査結果では、最も信頼されている情報源は、家族や友人であるという結果がでており、顧客ロイヤルティを向上させることで、SNSでの拡散や口コミによって、家族や友人を新規顧客として獲得することにも繋がります。
顧客ロイヤルティを向上させるメリット
(引用:Emotion Tech)
リピート率の向上
顧客ロイヤルティを向上させることで、リピート率を飛躍的に高めることができます。
ロイヤルティの低い顧客のECサイトでの年間平均利用回数は約9回でしたが、ロイヤルティの高い顧客のECサイトでの年間平均利用回数は17回という結果も出ています。
購入単価の向上
年間平均購入数だけではなく、顧客ロイヤルティを向上させることで、平均購入金額も高める事ができます。
実際にロイヤルティの高い顧客は、ロイヤルティの低い顧客の約1.3倍も年間平均購入金額が高い事がわかりました。
口コミやSNSによる情報拡散
ロイヤルティが低い顧客は全体の16%しか商品やサービスの魅力を口コミやSNSなどで発信していない事に対し、ロイヤルティの高い顧客は全体の85%が新規顧客に口コミやSNSで商品やサービスの魅力を伝えている事がわかりました。
顧客ロイヤルティを向上させる3つのステップ
1.顧客の本音に耳を傾ける
顧客ロイヤルティを向上させるためには、まず顧客の本音に耳を傾ける必要があります。
ここでは顧客の本音を確認する手法を3つ紹介します。
- 顧客に直接ヒアリングする
1つ目は、自社の会員などの既存顧客に対し、小規模なヒアリング会などを設けることで、顧客の意見を効率的に集める方法です。
- SNSのデータ収集・分析
2つ目は、ユーザーの商品やサービス、ブランドに対する認知度や愛着心の改善点などを把握するために、SNSのデータを収集・分析を行う方法です。
- クラウドファンディングの活用
3つ目は、クラウドファンディングを活用することで、新商品や新サービスに対する意見を収集する方法です。
2.課題解決のためのコミュニケーション施策
積極的に顧客とコミュニケーションをとることで、顧客ロイヤルティを向上させることが可能です。コミュニケーション方法はいくつかありますが、ここでは2つ紹介します。
- ファンミーティング
ファンミーティングや、従業員との交流会などの施策を行うことで、顧客が商品やサービス、ブランドの発展を「自分ごと化」して考えるようになり、より商品やサービスに対して愛着を持つようになります。
- ストーリーを伝える
商品やブランドが持つストーリーを伝えることで、ユーザーは企業やブランドに対し愛着を感じやすくなります。
そのため、SNSやメルマガ、webサイトなどで商品やサービスの機能的な価値だけでなく、商品やサービスが開発された背景やブランドが持つストーリーを伝えることで、顧客ロイヤルティを高めることができます。
3.顧客からの意見やフィードバックを商品/サービスに反映させる
- 商品やサービス、ブランドに対しての意見・要望
顧客が商品やサービスの意見や要望を企業側に発信する機会を設けることで、ファンミーティング同様、ブランドの発展を「自分ごと化」して考えるようになります。
また、顧客のリアルな意見を商品やサービスに反映させ、改良することで、顧客も商品やサービス、ブランドに対し愛着を持つようになり、顧客ロイヤルティの向上に繋がります。
顧客ロイヤルティを高める代表的な施策
コミュニティの活用
従来のマーケティング手法では、潜在顧客に広くアプローチを行うことで、認知を広げながら、興味や関心を醸成する方法が主流でした。
一方で、コミュニティマーケティングでは、コアなファンによって形成されたコミュニティを活用し、商品やサービスを多くの方に広めていく方法で、顧客ロイヤルティを高めながら、新規顧客を獲得することが可能です。
▼コミュニティマーケティングを行うメリット
- 商品開発や改善につながる消費者の声を直接聞ける
- 顧客のサービス・商品に関する理解度を上げる
商品開発や改善につながる消費者の声を直接聞ける
コミュニティを立ち上げることで、顧客に対してヒアリングを効率的に行うことができ、顧客インサイトを取得しやすくなります。
例えば、新商品を開発し、顧客の反応を確かめたい場合、一般的には調査会社に依頼し、インタビューやアンケートを実施する必要があります。しかし、コミュニティを構築している場合、顧客に対してスピーディに質の高い意見を収集することができます。
サービス・商品に関する理解度を上げる
コミュニティには、商品やサービスを肯定的に考えている方が多いですが、顧客間のロイヤルティや商品の理解度には差があります。
コミュニティを活用し、顧客同士の交流を促すことで、顧客は商品やサービスに関する理解を深めることができます。
また商品やサービスの情報を交換していると、顧客はブランドの発展を「自分ごと化」して考えるようになります。
SNSの活用
SNSマーケティングとは、TwitterやInstagramなどのSNSを活用し、特定のターゲットに対し、コストを抑えながら商品やサービスの独自の価値を発信することで、顧客に口コミを促し、新規顧客の獲得を低コストで行う事ができるマーケティング手法です。
▼SNSマーケティングを行うメリット
- ブランドに対しての信頼度を高めることができ、より愛着を感じてもらうことが可能
- 口コミを拡散しやすい
ブランドに対しての信頼度を高めることができ、より愛着を感じてもらうことが可能
商品やサービスの独自の価値や商品の製造工程、ブランドのストーリーをSNSで発信することで、ブランドに対しての信頼度を高めることができ、より愛着を感じてもらうことができます。
口コミを拡散しやすい
TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSは無料で公式アカウントを作成することができ、有益な情報が拡散されやすいです。
実際に本田技研工業株式会では、Instagramでハッシュタグ「#MeandHonda」を用い、ユーザーに口コミを促しました。その結果、2022年5月時点で15万投稿を超える程、人気のハッシュタグとなっており、顧客ロイヤルティを高める事に成功しています。
クラウドファンディングの活用
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて企業や個人が「夢」や「目標」をプロジェクトという形で発信することで、プロジェクトに共感した方から資金を募る仕組みのことです。
その中でも購入型クラウドファンディングは、企業や個人がクラウドファンディングに商品やサービスをプロジェクトという形で掲載し、支援者が「支援」という形で商品やサービスを購入をします。
▼クラウドファンディングを行うメリット
- 商品やサービス、ブランドに共感した顧客情報を取得できる
- 企画段階のイベントや新商品の開発をファンとともに共創できる
- 多くの顧客から商品やサービス、ブランドに対する意見を収集することができる
商品やサービス、ブランドに共感した顧客情報を取得できる
クラウドファンディングでは、商品やサービス自体の価値以上に、商品やサービスが生み出された背景や、製作者の想いなどに共感して商品・サービスを購入される方が多いです。
そのため、クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げることで、そういった商品やサービス、ブランドに共感した方の情報を収集することができます。
企画段階のイベントや新商品の開発をファンとともに共創できる
クラウドファンディングでは、目標金額を設定し、支援者から集めた資金が目標金額に達してはじめてプロジェクトの着手が決定する目標達成型という販売方法があります。
そのためクラウドファンディングでは、低リスクで新商品開発や限定イベントを開催することができます。
またユーザーは、イベント開催や新商品の開発を資金提供という形で間接的に携わる事ができ、商品やサービスに対し愛着を感じるようになります。
多くの顧客から商品やサービス、ブランドに対する意見を収集することができる
クラウドファンディングを行い、想定顧客のニーズを把握することで、在庫が余るリスクや、予想した売り上げを大幅に下回るといったリスクを回避することができ、市場に本格的に販売する前に、新商品や新サービスの改良を行う事が可能です。クラウドファインディングについて詳しく知りたい方は下記の記事をご一読ください。
顧客ロイヤルティを高める事に成功した事例!
カルビー株式会社
Twitterは、他SNSと比較すると拡散性や即時性に優れており、キャンペーンなどの施策と相性が良いと言われています。
カルビー株式会社は、Twitterでサッポロポテトの公式アカウントを運営しており、オーガニック投稿とキャンペーンを効果的に組み合わせています。
Twitterの公式アカウントにフォローとリツイートをしてもらうことで、簡単に応募ができるキャンペーンを実施し、10万フォロワーの獲得に成功しました。
またアレンジレシピ動画などの投稿や自社商品に関するツイートなどに引用リツイートなどで反応することによって、獲得した新規顧客の顧客ロイヤルティを高める施策を行っています。
株式会社アニメイト
株式会社アニメイトは「ソレオス」というクラウドファンディングサイトを立ち上げており、アニメ、声優、キャラクターコンテンツに特化したプロジェクトが掲載されています。
ユーザーからすると、好きな声優さんや作品のプロジェクトに対して支援という形でプロジェクトに参加することができ、より愛着を感じることができます。
またプロジェクトによっては、アニメイト社が運営する店舗やメルマガと連携することで、包括的に既存顧客のニーズに応えることができ、顧客ロイヤルティを高めることにつながっています。
まとめ
年々人口が減少している日本では、潜在顧客に広くアプローチを行い、認知を広げながら、興味や関心を醸成する方法よりも、顧客ロイヤルティを高めることで、中長期的に安定した売上基盤を構築しながら、口コミやSNS配信などで認知度を高める方法が注目されています。自社の商品やサービスの顧客ロイヤルティを向上させるための取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。
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