2023.11.21

発言シェアと利益率を高めるには?

発言シェアと利益率を高めるには?

日々の仕事において、会議やディスカッションでの発言の重要性は別の記事(資料ではなく「発言」というアウトプットの価値を高めるには?)にて説明しておりますが、本記事では「利益を生む発言」について触れてみたいと思います。

発言シェアと発言利益率

「そもそも発言がない」または「極端に少ない」のは論外だとしても、いきなり利益率の高い発言(会議のゴール達成に貢献する、意味のある発言)をしようと考えすぎたり、話す内容を練りすぎた挙げ句に発言するタイミングを逸しては元も子もありません。最初から発言利益率が高い人材になるのは困難なので、まずは一定レベルまで発言シェア(会議における、自分自身の発言量の占める割合)を高めてから、発言利益率を上げることが重要です。

では、なぜ「発言シェア」と「発言利益率」のうち「発言シェア」から高めたほうが良いのでしょうか?それは、前述の通り、発言利益率を高めようとするあまり、発言の「機会」をなかなか得られず、発言利益率を高めるためのPDCAを回せない可能性が高いためです。まずはある程度発言シェアを高めると、発言シェアは高いが、発言利益率が低い状態になります。言うなれば会議における「薄利多売型人材」です。一見すると悪い状態のようですが、薄利であろうとしっかり発言シェアを高め「積」としての発言利益の最大化に努めているという点で、発言シェアすらまだ低い人にとっては見習うべきことが多いはずです。「発言しないなら次回から会議に出るな」と言われる人は、この薄利多売型人材に圧倒的に負けています。

では、発言シェアを高めたあと、発言利益率を高めるにはどうしたら良いでしょうか?これは事業と同じで、自分が発した言葉から「利益を生む発言」と「利益を生まない発言」の棚卸しを行い、なるべく後者の発言を減らし、前者の発言比率を高めていくことが重要になります。そのためには、議事録や録音を通じて、まず自分の発言を記録し、現状を客観視したうえで傾向を把握し、対策を打っていく必要があります。

発言の利益とは?

発言の利益は、会議の目的やゴールに対してどれだけ貢献したかで測られます。例えば「戦略的な意思決定をすること」をゴールとした会議の場合においては、以下のような発言の利益率が高いと言えます。

  • 戦略オプションの網羅的な抽出に資する発言
  • 戦略オプションの評価の精度向上に資する発言
  • 戦略オプションを絞り込み、決定することに資する発言

会議における発言はいくつかに分類することができ、それぞれ意義や貢献度合いが異なります。

発言の分類例と意義/貢献度(一部例外あり)

質問/確認

会議の参加者にとって既知の事実や、大前提として事前に理解しておくべきことに関する、特に意図がない単なる質問や確認はただの時間の無駄であり、非常に利益率の低い、極論すると利益率ゼロの発言です。このような発言が多いと、発言利益率は極端に下がります。一方、相手や参加者の意見を上手く引き出したり、あえて相手に発言してもらうことで参加者全員の認識を合わせ、次の会話の展開の布石にしたり、質問に対する回答のパターンごとの今後の会話の展開を事前にシミュレーションし、どの分岐に進むかを判断しておくために繰り出す質問は利益率が高いと言えます。

言い換え/同調/比喩

誰かが発言した内容を言い換えたり、同調したり、例えたりする発言のことです。これを実施することで、わかりやすくなったり、理解が進んだり、議論が発展するのであれば良いですが、そうではないただの言い換えや比喩や同調は何の利益も生まない無駄な自己アピールであることが多いというのが現状です。

上述した2種類の発言に終始してしまっている人が実は非常に多いのですが、それでは仮に発言シェアが上がっても、発言利益率は上がらないため、以降で説明する発言に是非チャレンジしていただきたいです。

意見/発散/転換

周囲に合わせるのではなく、独立して思考したゼロベースでの自分の意見や、まだ会議の中で出てきていない新たな視点や論点を提供することで発散して幅を広げたり、停滞した議論の現状打破につながる「流れを転換させる発言」は価値が高いと言えます。ただし、会議には流れがあり、例えば発散フェーズが終わり、ようやく収束フェーズに入ったタイミングでこの手の発言をすると、また発散フェーズに巻き戻ってしまうことになり、会議における貢献度合いは大きく下がる可能性があります。会議の流れやフェーズを的確に掴み、ここぞというタイミングで投げ込めるように習熟が必要です。

リード/ファシリテーション

会議が円滑に進むようにリードしたり、周囲の意見を上手く引き出したり、異なる意見を集約/調整することで全体がゴールに向かって進んでいけるようなファシリテーションのための発言は貢献度合いが大きいと言えます。逆にいうと、ファシリテーター不在の会議はゴールに向かうことが難しいため、まず誰がリードするのかを決めてから会議を進めるのが肝要です。

整理/要約

これまでの会議の状況を整理したり、要約することでわかりやすく参加者の目線や理解を合わせ、より議論が進むことに貢献できる発言は重宝されます。ただし、その整理や要約のレベルが低い、ないし間違っている場合、恐ろしく逆効果になる可能性もあるので注意が必要です。ホワイトボードの前に立ち、会議の流れをコントロールする「監督」になれれば貢献度合いは相当高いと言えます。

統合/収束/昇華

これまでの会議の流れや出てきた意見/発言を統合し、昇華させたり、複雑な議論を着地する方向に収束させる発言は、会議において不可欠であり、これが出来る人材は非常に貴重な存在となります。会議の「結論」を出す役割です。必ずしも意思決定権者でなくとも、結論をまとめることは可能です。決定事項とToDoを決めて、はじめて会議の目的は達成されます。最後に「ゴール」を決めるストライカーを目指したいところです。

まとめ

ざっと一例ではありますが、会議における発言の色々な分類を見てきました。それぞれ役割や意義や貢献度は異なりますが、どれも自由自在に使えるようになってはじめて一人前のビジネスパーソンと言えます。

大切なのは、このように発言ひとつとっても様々な意義があるということを念頭において、思考しながら発言することであり、発言利益率を高めるためには欠かせない姿勢です。

「発言シェアを高め、その後に発言利益率を高める」
これは言葉で書くとシンプルですが、実行するには心理的ハードルが非常に高いことは私も身をもって痛感しています。しかし、本当に厳しいのは、発言シェアも発言利益率も高められず、ビジネス経験のわりに「会議に必要とされない人材」になってしまうことではないでしょうか?スポーツ選手がトレーニングを通じて筋肉痛になりレベルアップするように、ビジネスパーソンにおいても、発言トレーニングを通じていろいろなフィードバックをもらいながら、小さく失敗しながら、筋肉痛を乗り越えて、発言利益率を高めていく他には道はありません。1日の会議のうち、まずは1つからでも、意識/思考して試してみていただければ幸いです。

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