2023.11.18

新規事業における製品戦略とは何か【事例付き】

新規事業における製品戦略とは何か【事例付き】

「あなたの新規事業の製品戦略は何ですか?」と聞かれた時、皆さんは1分以内に説明できますか?製品戦略は掲げているビジョンを実現するためのロードマップや開発している製品・サービスの行方を決める上で非常に重要になってきます。

本記事では、掲げたビジョンを実現するための製品戦略について詳しく解説します。

製品戦略とは?

製品戦略のgif

製品戦略とは、顧客にどの様な製品やサービスを提供するのかという一般概念を考えること以外に、その製品が社内外通してどのような影響をもたらすかの「ビジョン」を考えます。

新規事業における製品戦略は、達成可能な目標とビジョンをチームで調整し、ビジネスと顧客の両方にとって望ましい結果をもたらすためのシステムです。製品戦略は、不確実且つ変化の多い環境の中で様々な実験をしながら目標達成に向かいます。製品の機能の導入や実装は製品戦略の実験過程で実証されます。KPI、OKR、製品ロードマップおよびチームで策定した他の指標は、製品戦略の一部でありますが、それら単体では戦略に成り得ません。

製品戦略の落とし穴

落とし穴

製品戦略を策定するときによく見られる大きな間違いとして、戦略ではなく製品やサービスの機能を実装する計画と紐づけてしまっているところです。製品に実装するフィーチャーを時系列的に決める計画は戦略でなく「ロードマップ」です。

製品戦略が戦略ではなく計画になってしまう例として以下が挙げられます。

「音楽プロデューサーが自由に自作の音楽をアップロードできるプラットフォームを作る」

「営業チームがリードを管理するバックエンドのシステムを作る」

「ユーザーの生体データを基に最適な栄養メニューを提供するアルゴリズムを実装する」

一見これらの文言はビジョンを実現するための戦略に聞こえますが、「不確実性」や「変化」に対応出来ず製品戦略ということはできません

製品戦略における4つの重要項目

ビジョン

ビジョンとは、会社またはビジネスの方向性を決める究極の構想です。ビジョンはビジネスと組織の整合性をとる上で重要です。大企業では、複数の製品を扱うことが多いのでこれを製品ラインまたはカスタマージャーニーに絞り込みます。中小企業では、企業ごとに単一の製品やサービスを扱うことが多いので会社と製品の全体的な定性目標になります。

チャレンジ

チャレンジとは、製品のビジョン達成に向けて克服する必要のある最初に立ちはだかる壁でありビジネスにおける第一目標です。チャレンジには様々な捉え方があります。既存の商品のチャレンジであれば、カスタマージャーニーやファネルの最適化かもしれません。新規事業であれば、未だに解決されていない顧客のペインの解決かもしれません。チャレンジで重要なのは「課題」です。「何の課題を解決するのか?」「課題解決の一番最初の目標は何か?」の戦略的目標をチームで整合性を取るすることが目的になります。

理想のターゲット条件

理想のターゲット条件は、チャレンジの分解や内訳に役立ちます。チャレンジで取り組む「課題」には、それを引き起こす小さな課題「前提条件」というものがあります。これらの「前提条件」を一つずつ潰していくことで理想状態が実現します。

現状

現状というのは、理想のターゲット条件と比較した際の現在の状態を表します。理想のターゲット条件に取り組む前に、現状を数値で定量的に測る必要があります。

製品戦略キャンバス

製品戦略キャンバス

製品戦略キャンバスとは、製品戦略を可視化しチームと整合性を取る際に有効なフレームワークになります新規事業では未知の領域でビジネスをするため、製品戦略キャンバスを使い、不確実且つ変化の多い環境に対応しましょう。

UBERの事例

製品戦略キャンバス(uber)

上図の製品戦略キャンバスはライドシェアサービスのUBERを例にしています。それぞれの項目を実際に新規事業のシナリオに落とし込んで見ていきましょう。

UBERのビジョン

UBERのCEOは、「我が社のビジョンは車両の所有と公共交通機関の利用の両方よりも安価で効率的な代替手段にすることだ」と述べた。この陳述はUberの前CEOカラニック氏がインタビューで述べていたことに基づきます。これより先は、このステイトメントを軸に仮説を立てながら、「チャレンジ」「ターゲットの状態」「現状」を埋めていきましょう。

UBERのチャレンジ

上記のビジョンから推測すると、カラニック氏が見ているビジョンはUBERを人々の唯一の交通手段として確立するという壮大な夢に基づくということになります。このビジョンを達成するためにはまずは、なぜUBERではなく既存の交通手段が使われているのかを理解する必要があります。

様々な課題仮説を立てインタビューした結果、「タクシーなどを乗車する際待つ時間が長い」という課題が最も鋭く緊急性があると分かったとしましょう。製品戦略のチャレンジは課題がベースとなりますのでこの課題解決に挑む必要があります。UBERが取り組むべき一番最初のチャレンジとなる課題は「待ち時間の短縮」になります。インタビューで待ち時間の平均が10分であれば、UBERは顧客のペインを減らすため待ち時間を5分に減らすことをチャレンジとします。

UBERの理想のターゲット条件

「待ち時間を5分に減らすという」チャレンジを策定した後、そもそもなぜ、待ち時間が長いかの課題の前提条件を探る必要があります。課題の前提条件というのは「課題の原因」になります。課題検証を更に進めていくと「待ち時間が長い」という課題が「迎車の不足」に起因していることが分かったということにしましょう。

UBERのチームの目標は、測定可能且つ達成可能なものでなければなりません。「迎車の不足」を解決するために「2017年1月30日までに各都市で50人ごとに少なくとも1人がドライバーになる」という風なターゲット条件が相応しいでしょう。

UBERが見ている現状

UBERのチームは理想のターゲット条件を達成する前に、現状を理解する必要があります。そこでインタビューのみならず、様々なリサーチをした結果、「300人に一人が迎車ドライバー」であることが分かりました。

製品戦略の後は?

製品キャンバスを埋め、ビジョン達成のための戦略をチームと共有できた後に策定するが「計画」です。戦略はビジネス全体の軸となり、チーム間で共有されるシステムですので、策定した製品戦略をベースに計画を立てていきます。

UBERを事例にとれば、「2017年1月30日までに各都市で少なくとも50人に1人がドライバーになる」という理想のターゲット条件を目標にしています。製品開発チームの計画は迎車ドライバーが使いやすいUIや機能の実装を実現する製品ロードマップになるでしょう。営業チームの計画は新規ドライバー獲得のための具体案になるでしょう。

まとめ

本記事では製品戦略を新規事業の観点からみてきました。新規事業は不確実性が高いため、臨機応変に対応する必要があり、ビジョンを達成するための「軸」が必須です。そのため、計画の策定の前に本記事で紹介した製品戦略のフレームワークを使って自社の方向性をチームで議論し共有してみてはいかがでしょうか?

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