2023.12.20

1人の天才を超えるチームイノベーションのポイントとは

1人の天才を超えるチームイノベーションのポイントとは

「チームイノベーションって最近よく聞くけど、具体的にどうやればいいのだろうか」このようにお考えの方は少なくないと思います。

実際、「チームイノベーション」というキーワードで検索をかけてみても、よく理解できる記事は多くありません。

そこで今回、特に、大企業でチームイノベーションを行うために必要な要素を徹底的に解説していきます。新規事業開発に取り組んでいる方は参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

チームイノベーションとは

本題に入る前に、チームイノベーションの定義について説明します。

チームイノベーションとは、職場で働く社員が、チームとして協力しあってイノベーションを進めていくこです。特定の領域に傑出しているような、個人の力量に期待するようなイノベーションとは違い、個人の限界を超えて、組織力を発揮しながら進めていくものです。

つまり、チームイノベーションは誰もが実践できる取り組みなのです。

では、具体的にどのようにすれば、大企業におけるチームイノベーションを成功に導けるのでしょうか。そこには、重要な軸が2つあります。「人材」と「場所」です。

チームイノベーションに必要な「人材」

重要な軸の1つ目、「人材」についてみていきましょう。

企業でチームイノベーションの成功確度を上げるために必要な6種類の人材がいます。こちらについては、世界的アクセラレーターであるスティーブン・S・ホフマン著の『最高のイノベーション』を参考に紹介していきます。

ハスラー

チームには、いわゆる3C(自社・他社・顧客/市場)を深く理解している人が必要だとしています。大企業の新規事業開発チームでは、このハスラーがリーダーとなって事業を率いることが望ましいのです。常に自社・他社・市場の風を察知し、その状況に応じた適切な判断を行う役割があるからです。また、社内/社外との折衝を行う上でよきコミュニケーターであることが求められます。

ハッカー

最新のテクノロジーに精通している人のことです。昨今のイノベーション開発では、テクノロジーの利用はますます重要になってきています。テクノロジーに精通している人がチームにいれば、その場その場で技術的な実現可能性の確認ができます。また、議論に参加することでチームの要求定義をヌケモレなく要件定義に落とし込みながらプロジェクトを進めることもできます。

ヒップスター

簡単にいえば、「デザイナー」のことで、クリエイティブ面のリーダーである人材を指します。少しデザインが違うだけで、デザイン一つで、全く違った結果を引き起こすくらい影響力が強いのです。デザイン思考を駆使し、UI/UXを顧客中心に設計します。ハッカーと同じく、チームにヒップスターがいれば、チームがどのようなデザインを欲しているのかを把握しやすくなり、要求に適したクリエイティブを創りやすくなります。

ホットショット

高度で専門的な領域のビジネスに取り組む場合は、その領域における専門家がチームに必要になってきます。ハスラーと似ているかもしれませんが、ホットショットとなり得る人材は、その領域で博士号を持っている研究者であったり、長年経験を積んでいたりすることが望まれます。

政治家

大企業では、プロジェクトの予算やリソースを確保するために、上司や経営陣の承認をえなければならない場合が多いと思います。シンプルにアイデアが良いというだけではなく、社内の手続きに精通してプロジェクトを支援するような人材が非常に重要です。

オーガナイザー

プロジェクトにおける経費を管理する人材です。新規事業開発の現場における予算は、多くの場合限られていることが多いでしょう。そこで、出費や予算を管理するような人がいることによって、効率的/現実的な予算配分が可能になります。

適切な人選が必要

ここまででチームイノベーションに必要な6種類の人材を紹介しました。それぞれの役割に、社内(場合によっては社外)から適切な人材を登用する必要があります。

社内からの人材登用については、必ずしも一人一役であることは要件ではありません。一人で二役や三役を担う場合もあります。大事なことは、個々の適性を意識しながらチーム編成を行うことです。

仮に、社内に適任の人がいない場合もあると思います。そういった場合は、社外からリソースを調達することも考えられます。その場合、自社の状況によって適切な人材を確実にアサインできるので、社内のリソース不足に悩まれている場合はこちらもおすすめです。

新規事業関連の支援をしているコンサルティング会社については、こちらの記事を参考にしてみてください。

https://relic.co.jp/battery/articles/12839

チームイノベーションに必要な「場所」

重要な軸の2つ目、「場所」について解説します。

チームイノベーションでは、「創発の場」を作ることが重要になってきます。この創発の場とは、チームで集まって新規事業アイデアを出すような会議のことです。

これを聞いて、「そのようなことはすでに取り組んだことがあるが、何度かやっても意味がなかった」という声が聞こえてくるかもしれません。確かに、多くの企業はこの手法を取り入れて、実際に新規事業開発に取り組んでいることは否めません。しかし、多くの企業では以下2つの理由によって、創発の場が意味のないものになってしまっています。

  • キーパーソンの時間がなくて議論に参加できない
  • 結論が出ず、ただの対話で終わってしまう

基本的に社内のキーパーソンは、既存事業のオペレーションで新規事業開発にまで手が回らないことが多くあります。そうすると、十分に議論ができず、平行線のまま結論が出ずに終わってしまうことも多くあるでしょう。そうした会を数回か開いているうちに、あまり意味がないと感じてしまい、チームメンバーが集まらなくなって風化してしまう事態にもなり得ます。

では、そうした創発の場を有意義かつ継続的な活動として続けられるようにするためには、具体的にどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

  1. チームでのゴールの合意形成
  2. 会議時間の短縮化
  3. 自発的に動きたくなる環境の構築 

の3つです。

以下で説明していきましょう。

チームでゴールの合意形成

ゴールの設定方法としては、「フォーキャスティング」「バックキャスティング」という手法があります。前者は過去の延長線上から将来の目標を考える手法であり、後者はゼロベース思考で未来のありたい姿から具体的なアクションプランを策定する手法のことです。創発の場においては後者のバックキャスティングが有効になってきます。

参加者それぞれが主体的にゴールを設定することができるので、前向きな気持ちでモチベーションを維持しながら議論に臨めるというメリットがあります。

会議時間の短縮化

先ほどキーパーソンが時間がなくて議論に参加できないことをお伝えしましたが、新規事業開発遂行の上ではキーパーソンの議論参加が必須になります。

そこで、会議の時間が短いということは、キーパーソンを議論に巻き込み、創発の場を意義のある場所にするためには必須の要件となります。短い時間の会議であれば、参加しやすいですし、細切りにして何度か開催することも考えられます。

具体的な時間尺としては、30分~1時間で、上限は必ず守りましょう。事前に話すべき事項を整理して、効率よく会議を回すことが重要になります。また、人間の集中力も1時間程度が限界だそうです。

自発的に動きたくなる環境の構築

創発の場には、自発的に動きたくなる環境の創出が不可欠になります。問題解決法を練り上げるプロセスとしては、具体的に2つの方法があります。「ギャップアプローチ」と「ポジティブアプローチ」です。

前者の「ギャップアプローチ」とは、現状と目標の差異から不足している点を原因分析をして特定し、論理的に解決策を組み立てていくアプローチです。後者の「ポジティブアプローチ」とは、ゼロベース思考で一旦現状を置いておき、目標の実現に向けた手法を考えるアプローチで、こちらは「実効性」に主眼をおいて検討していきます。

創発の場においては、後者の「ポジティブアプローチ」が向いているといえます。自分の組織の理想像を起点にして思考しているので、文字通りモチベーションもポジティブになり、意欲的にチームイノベーションに取り組めることができます。

補足:本業部門とは異なる場所にオフィスを構える

大企業にて、実際に創発の場において、良いアイデアが生まれたとします。そして実際に事業が動き出した際は、その事業のみ本業部門とは物理的に異なる場所にオフィスを構えるという選択肢が有効になります。

本業部門と同じ場所で新規事業開発を行うとなると、社内の冷たい目線が浴びせられるケースもあり、事業の本質とは関係のないところで失敗してしまう可能性があります。そこで、新規事業に投資する余裕のある大企業なら、働く環境に投資するのも新規事業開発成功への手段の一つとなり得ます。

チームイノベーションでの新規事業創出を

ここまでで、特に大企業がチームイノベーションを行うために必要な「場所」と「人材」について述べてきました。大企業では、使えるリソースが多い分、盤石な体制でチームイノベーションに臨めば、イノベーションの成功確度も高まることでしょう。一方で、しがらみが多くなってしまいがちな分、適性ごとにチームメンバーを組成することが重要です。

この記事を参考に、大企業におけるチームイノベーションの一助になれば幸いです。

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