2023.11.18

CPS(サイバーフィジカルシステム)とは?

CPS(サイバーフィジカルシステム)とは?

CPS(サイバーフィジカルシステム)の概要

CPSとは、Cyber-Physical Systemの頭文字を取った略称です。「フィジカルシステム=現実世界」で、CPSとは、センサーネットワークシステムなどが収集した情報をサイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して、数値化して定量的に分析することによって、「経験や勘」に頼っていた部分を効率化して産業の活性化や社会問題の解決を図っていくものです。CPSを使うことで、これまで実現できなかった「部分最適」から「全体最適」へと取り組み、得た解析結果をフィードバックする一連のサイクルを社会規模で起こすことを目指します。

CPS(サイバーフィジカルシステム)とIoTの違い

IoTは、Internet of Thingsの略称で、「現実世界のデータを収集し分析システムに送信する」といった、現実世界にあるものをインターネットにつなげることに重点を置いています。
一方、CPSは、先述の通り現実世界のデータを収集し、サイバー空間で分析を行い、その結果を現実世界にフィードバックするまでを含みます。
つまり、見方にはよっては、IoTはCPSにおける情報伝達までを担う、CPSの一部だとも考えられ、CPSには、より包括的な概念が含まれているのです。

CPS(サイバーフィジカルシステム)が注目されている理由

ネットワークのイメージ像

組み込みシステムの複雑化

現実世界のモノ(車や旅客機など)を動かすという意味で、近年複雑化が進んでいる組み込みシステムとの関連性が強く、組み込みシステムは、サイバー空間内のデータ処理だけには収まらず、物理世界の人間の安全にも影響を与えるため、現実世界とサイバー空間にまたがるCPSのような包括的な設計手法が求められるようになってきたのです。

ITの浸透

ITが自動車などの製品単体を制御するだけにとどまらず、交通全体や医療、製造、エネルギーといったあらゆる分野に広まり組み込まれたことも大きな要因です。日々複雑になっていく社会システムに対してCPSを用いて、安全かつ効率的にコントロールしていくことが重要視されています。

CPSの需要増加に伴う技術発展とコストダウン

上記の「組み込みシステムの複雑化」と「ITの浸透」によりCPS関連の需要が高まり、技術が発展・普及し、コストが安価になったことも大きな理由にあります。結果、今まで導入されていなかった分野においても注目を集めるようになっています。

CPS(サイバーフィジカルシステム)実際の導入事例

導入事例のイメージ像

設備点検クラウドサービス「Sharepo™」

これは、株式会社東芝が開発した設備点検クラウドサービスです。オフィスビルや商業施設における電気や空調などの設備機器を長期的かつ安定的に稼働させるための点検や稼働データ収集の保全業務は、現場に行き、人の目と耳を通して設備をチェックしたり、メーターの数値を正確に記録したりすることで、ビルや施設を利用する方たちに安心・安全を提供していました。しかし、人手不足や働き方改革の推進で総労働時間の制限などにより、ビル管理・保全業務の運営は厳しい状況が続いていました。

そこで、ビル設備の安心・安全、検針作業の正確性と効率化を担保するソリューションとして出来たのが、設備点検支援クラウドサービス 「Sharepo™」です。「Sharepo™」は タブレット端末を活用し、ビル管理・保全業務のICT化を支援し、設備トラブルの未然防止と業務効率化をもたらすクラウドサービスです。この、現場で蓄積したデータや知見とICTやクラウド技術とのマッチングこそがCPSなのです。

結果として、人手不足を解消するだけでなくこれまで、経験や勘に頼っていた部分で、数値を基にした科学的に正しい選択を行うことが出来るようになり、サービスの質自体も向上することが出来ました。

農業サービス「e-kakashi」

農業の分野でもCPSは活用されています。それは、ソフトバンクグループ傘下のPSソリューションズなどが開発した「e-kakashi」です。これは、田んぼや畑の環境をチェックして、必要な農作業を農家に伝えるシステムで、既にいくつかの現場で導入されています。

これまで農業は、農家の方々の勘や経験を頼りに属人的に行われていました。もちろん良い面もあるのですが、不確実性が高く言語化できていないものが多かったのです。そこで、こうしたノウハウをデータ化して整理するために導入されたのがCPSです。

具体的には、田畑に機器を設置し、気温や湿度、水温などの情報を計測し、インターネットを通じてタブレット画面に表示して「見える化」します。ここまでがIoTの領域です。

「e-kakashi」は、さらに情報をクラウド上で処理することで、日中の気温が一定以上になったなど栽培のリスクを警告するとともに、水をかけ流すなどの対処方法を知らせます。これにより、経験や勘が不要になり、データに基づいて正しい行動を選択することが出来るようになり、農業の経験が浅い人でも適切な方法で栽培したり、農業設備の遠隔操作によって農作業を軽減したりすることができます。少子高齢化で担い手不足が深刻となっている農業に貢献する新たな技術として、大いに期待されています。

まとめ

今後さらに現実空間とサイバー空間が近づいていく中で、現実空間がサイバー空間に近づけば近づくほど安全面の問題が重視されシステムは複雑化していきます。その複雑化していく社会で需要は上がっていく一方だと考えられます。ITが社会インフラとなっていく中でCPSは欠かせない存在となると思います

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