2023.11.18

高齢者向け新規事業・新規ビジネスを取り組み事例と共に解説

高齢者向け新規事業・新規ビジネスを取り組み事例と共に解説

日本は高齢化において世界の最先端を行くと言われています。つまり世界的に見ても超高齢社会のロールモデルとなるのです。そういった背景を踏まえると、新規事業においてもターゲットを高齢者に設定するのは今後ますます一般的になることが予想されます。今回はそういった高齢者を対象とした新規事業について解説していきます。

超高齢化社会の背景と特徴

高齢者の定義

高齢者の定義として世界保健機関(WHO)では、65歳以上の人のことを高齢者としています。さらに65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。

注目すべき「シニア女性」

先ほども記したように、世界有数の超高齢社会へとなっていく日本の中でも「団塊の世代(65-69歳)」と「団塊ジュニア(40-44歳)」が現在の世代人口が突出しています。さらにその中でも、「シニア女性」が超高齢社会の主役となり増えていきます

なぜなら、男性よりも女性のほうが長寿傾向にあり、増加する高齢者の多くは女性だからです。女性だけの高齢化率はすでに30%を超えていて、2030年において、男性:女性の割合は、75歳以上で「2:3」85歳以上では「1:2」となると考えられています。男性を無視してよいということではありませんが、高齢者向けの事業を考える上では、「シニア女性」に重点を置く必要があります。

単身世帯の急増

高齢化に伴って、配偶者を亡くして独りになる単身高齢者世帯が増えています。全世帯における単身世帯数の割合は、1985年では33世帯に1世帯でしたが、2030年には7世帯に1世帯まで増えていくと考えられています。そのため、「単身世帯」を意識してどのような価値を提供できるか、どのような「不」が生まれるのかを考え事業を進めていく必要があります。

超高齢社会のニーズ

高齢者向け事業のニーズというと「介護」が真っ先に思い浮かびますが、実は介護が必要な高齢者は高齢者全体の2割しかいないのです。では高齢者向け事業のニーズはどのようなものがあるのでしょうか。ニーズを考えるにあたって、多くの高齢者は3つのステージに分けることが出来ます。

①まだまだ元気で自立して生活できるステージ

「趣味などアクティブに楽しみたい」「健康で長生きしたい」「社会で活躍し続けたい」「新しいライフスタイルを築きたい」というニーズ

(例)園芸や俳句、料理などの趣味・娯楽

認知症などの予防医療

高齢者雇用や起業サポート

②自立しながらも日常生活において必要な援助が増えるステージ

「自立した生活を継続したい」というニーズ

(例)家事代行サービス・配食サービス

バリアフリーの高齢者向け賃貸住宅

③最終的に本格的な医療や介護を必要とするステージ

「住み慣れた自宅・地域で最期まで暮らし続けたい」というニーズ

(例)介護ロボットなどの在宅ケア

すべてのニーズに共通することは、「楽しみたい」という想いが根底にあることです。そのため、どのような事業においても「介護」×「旅行」、「予防医療」×「カラオケ」、といったように「楽しみ・娯楽」を掛け合わせることが重要になってくると思います。

高齢者向け事業の国内事例

セコム株式会社「セコム・マイホームコンシェルジュ」

「セコム・マイホームコンシェルジュ」は、暮らしのお困りごとに対応する拠点「セコム暮らしのパートナー久我山」を中心とした地域限定のサービスです。いつまでも住み慣れた自宅で暮らしたいと思われる高齢者の方々を対象に「いつでも」「あらゆること」に「セコム暮らしのパートナー久我山」がワンストップで対応しています。

24時間365日、日常生活上の相談受付、解決方法の提案・情報提供を行い、携帯電話の使い方のレクチャーや電球交換といった軽作業を行うだけでなく、医療、介護、リフォームといった専門職への取り次ぎ・手配も行っています。また、「セコム・ホームセキュリティ」をベースにした見守り、駆け付けサービスはもちろん、その方にあった形でのお役立ち情報の配信、定期的な暮らしの状況確認、遠方にお住まいのご家族への対応レポート配信なども行っています。

今後は自治体や他企業とのより密な連携を取り、様々なエリアへの展開を目指して進めています。

セコム株式会社 公式ホームページ

https://www.secom.co.jp/

セントラルスポーツ株式会社「介護予防サポート事業」

2005 年に東京都健康長寿医療センターから「介護予防運動指導員」の育成事業に協力してもらえないかと、声がかかったことがきっかけとなり、「介護予防サポート事業」を行っています。

当時、フィットネスクラブ会員の高齢者率の上昇と「高齢者の運動指導に対する知識をもっと深めたい」というスタッフが多くいたこと、デイサービスや高齢者施設で働いている介護福祉士やヘルパーの方々で「科学的根拠に基づく適切な運動指導のノウハウを学びたい」という方が多くいたことから、「介護予防運動指導員養成講座」を開催し、介護予防スタッフのための教育や人材育成に力を入れてきました。現在、介護予防運動指導員は全国に約3 万人いますが、その内セントラルスポーツ株式会社主催の養成講座卒業生は約6,000人います。

実際に、地方自治体で実施される介護予防事業を行う施設は200 以上になりますが、今後は老人ホームだけでなく、デイサービスやサービス付き高齢者向け住宅なども視野に入れて進めています。

また、旅行業の資格を活かして、同じクラブに通う仲間と、楽しみながらしっかり体も動かすことを目的として、「日帰りツアー」から「ホノルルマラソンツアー」や「マスターズ水泳大会」なども企画しています。

セントラルスポーツ株式会社ホームページ

https://www.central.co.jp/

まとめ

冒頭にも記したように、高齢化に関して日本はまさに「先進国」です。超高齢社会向け事業は、ニーズの多様さからいまだにブルーオーシャンであり、非常に社会貢献性の高い事業となり、参入する価値はかなりあるように感じます。

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