2023.12.13

【徹底解説】新規事業に使えるSFプロトタイピング

【徹底解説】新規事業に使えるSFプロトタイピング

「これからの市場ニーズがわからない」「新たなテクノロジーが出てきても、それをどう新たな企画に結びつければよいのかわからない」現代のビジネスシーンにおいて、このような悩みを抱えている方は多く存在するのではないでしょうか。今回は、上記の悩みを解決し、未来のニーズ、未来のあるべきビジネスを考えるのに役立つSFプロトタイピングをご紹介します。

SFプロトタイピングとは

SFプロトタイピングとは、サイエンス・フィクション的な発想を元にまだ実現していないビジョンを実現するための解決策としての「プロトタイプ」を作ることで、他者と未来像を議論・共有するための手法のことを指します。

この手法は、インテルのフューチャリスト(未来研究者)であるブライアン・デビッド・ジョンソン氏によって2010年頃に導入されたメソッドとして有名です。急激に進化する科学技術が未来に及ぼす影響や全く新しい可能性などを考察する目的で作られた手法であり、特定分野における未来予測からインスピレーションを得て現在に活かすことを得意としています。このプロセスを通じて企業やブランドは、ビジョン策定やいま何をすべきかの戦略、どんな未来を目指すべきなのかなどへのヒントを得ることが可能になります。

SFプロトタイピングが生んだイノベーション

アプローチ方法

SFプロトタイピングには二つのアプローチがあります。一つは「フォアキャスティング」、もう一つは「バックキャスティング」です。

フォアキャスティングは現状を把握し今を起点に未来を描くというアプローチであり、バックキャスティングはあるべき未来を起点に現状の技術を解釈するというアプローチです。

SFプロトタイピングではバックキャスティングのアプローチが使われることが多いと言えるでしょう。SF的なビジョンが先行してあり、ビジョンを成立させるための技術や対応策を探って行く方針は、VUCAの時代と言われる現代で他にない独自の強みを得ることができます。

 SFがイノベーションに与えた影響

1865年、ジュールヴェルヌは、「月への地球」というタイトルで、人類の月への航海について書いています。その影響を受け、ロシアの研究者コンスタンチン・ツィオルコフスキーは、ロケット工学の基礎を築きました。

火星、火星探査車、宇宙旅行、探査車、ロボット

また、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義は、鉄腕アトムに影響され、ペッパーを「世界初の感情を持つロボット」として売り出しました。

このように、SFがイノベーションに与える影響は大きいと言えます。SFに影響されたビジョンから逆算し、どのようにビジネスに生かすことができるかを考えることが、SFプロトタイピングの考え方なのです。

SFプロトタイピングの活用シーン

イシュー・ドリブンの落とし穴

SFプロトタイピングは従来のビジネスの常識には反し、目の前の「問題解決」ではなく、未来に向けた「問題提起」を重要視するという特徴があります。

コンサルタントは多くの場合、複雑で大量の仕事を短時間で処理することを求められます。そうした業務においては「イシュー」を取り出し、「イシュー」に基づき、最短距離を走ることで問題解決に至る必要があります。

「イシュー・ドリブン」は「課題の存在するビジネスシーン」においては大きな武器になります。しかし、課題の存在しないシーンにおいてはどうでしょうか。はじめからイシューなど存在しない場合、「イシューからはじめよ」と言われ、どれだけイシューを探したとしても、どのように対処するべきかは分かりません。このように、問題解決を目的とする「イシュー・ドリブン」型の思考では、短期的な視野という落とし穴にはまってしまう可能性があることを意識しておくことが大切です。

実際のビジネスシーンでの活用方法

ラップトップコンピューターを使用している人々のグループ

SFプロトタイピングは「イシュー・ドリブン」のような手法、というよりもある種の思想・マインドセットでもあります。

SFプロトタイピングにおいて大切なのは、どんな空想でも許容される場、批判されたり嘲笑されたりすることのない本当の意味で自由な議論の場がつくられることです。

実際のビジネスシーンで、チームには優秀な人材が眠っているかもしれないが、社内のさまざまな圧力で、そうした人々の意見を十分に掘り出せないという場面がよくあります。そんなときに、SFプロトタイピングを介した議論が効果を発揮します。空想の世界には自由があり、「フィクション」であれば誰もが枷を外して新しいアイデアを発言し、コミュニケーションを取りやすくなります。

一人の空想が解き放たれ、共有されることで複数人の空想になり、徐々に実体を帯びていくメソッドがSFプロトタイピングなのです。

SFプロトタイピングが向いているプロジェクトと実行方法

下記のようなプロジェクトが向いていると考えられています。

  • SDGsなど、数年から数十年先を見越した長期的なプロジェクト
  • 環境、技術、社会、経済と関連した複雑な未来予測を必要とするもの

SFプロトタイピングの実行方法

情報を集め未来を仮説する

科学技術の関する論文や研究資料に目を通すことで、実現可能性の高い方法を模索します。サイエンス「フィクション」にしないために根拠となるデータを集める必要があります。

未来に到達するまでの目標を設定する

様々なスキルや関心を持つ多様な人でワークショップを行います。様々な知見が混ざり合うことで、多角的な視点を共有し、未来の実現に必要な目標を立てることができます。

カタチにする 

コンセプト動画、プロダクトのプロトタイプ開発などを実際に行います。種類や粒度はプロジェクトに応じて第三者に伝わるカタチにすることが重要です。

評価する

カタチにしたものをもとに、SFプロトタイピングを通じて行った未来への提案がどう受け入れられるのかを測ります。

まとめ

未来を予測し、構想したことに対して賛同や共感を得るのは容易なことではありません。ですが、そこにSFという物語性が加えることで相手に構想が伝わりやすくなります。不確実性の高い現在、SFプロトタイピングという飛躍あるアイデアをつくり出す方法は、新たな未来の事業を生み出す上で大切なものになるでしょう。

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