CPFフェーズにおける顧客インタビューの方法を徹底解説

新規事業開発を行うときに、必須となるインタビューについて本記事でご紹介します。今回は、CPFフェーズ(Customer Problem Fit / 顧客がどのような課題を持っているか検証するフェーズ)における顧客インタビューを想定して展開していきますが、根幹にある考え方は今後、PSFフェーズ(Problem Solution Fit)やPMFフェーズ(Product Market Fit)でも活用できます。この機会にしっかりと学んでいきましょう。
はじめに

この記事では下記内容をお伝えしていきます。
- インタビュー項目、インタビューサマリの作成
- インタビューの実践
- インタビューの結果のまとめ
まずはじめにインタビューを行う上において、前提となる部分を考えていきます。今回のインタビューはCPFフェーズなので、顧客がある課題を解決したい課題として捉えているかどうか、この点を確認します。解決したい課題としての深さ(深刻度)や広さ(その課題を抱えている人の多さ)、頻度を確認しながらインタビューして明確にしていきます。
インタビューを計画するにあたり、事前に下記内容を前提として進めます。
- CPFフェーズである
- インタビュー先の個人は確定している
- 課題に対して仮で良いので解決方法(ソリューション仮説)をもっている
- (CPFフェーズとは言え、実際に事業を行おうと思っているサービス(顧客の課題のための解決方法)をもっている)
インタビュー項目の作成、サマリ作成
インタビュー項目とサマリの作成に取り掛かります。
注意点
このタイミングでの注意点は下記となります。
- 仮説がないと得たい情報にたどり着けない可能性があるので、仮説を持って対象に質問する
- 対象の主観的表現には気をつける。発言の根拠(事実)を明確にしていく
- インタビュー時間に制限をかけ、あまり感情移入せずに計画通りに行うようにすること
作成方法
インタビュー項目作成方法を詳細にご説明していきます。
ゴールイメージをつくる
どのような計画でもそうですが、ゴールイメージを作るところから始めましょう。仮説ありきではありますが、「自分たちの考えだとインタビューを行った結果、◯◯のようなものが得られる」などのイメージを持つことが大切です。
逆算してインタビュー項目を作る
ゴールイメージを作成したら、次はゴールから逆算して考えていきます。想定しているインタビュー結果のゴールイメージと離れないようにするために積み上げ式ではなく、逆算して検討しましょう。
課題条件に対して5W1Hで漏れがないか確認
ここから精緻に検討を進めていきましょう。ゴールイメージとの乖離が発生しないように作成していきますが、抜け漏れが発生しているといけません。バイアスがかかっていることも可能性としてはあるので、なるべくモレなくダブりなく5W1Hを頭に入れながらインタビュー項目を作成していきます。
検討中のソリューションが課題に対して解決策となっているか確認する設問を設ける
インタビュー項目の中には、課題に対して解決策となるものを確認する項目も入れます。顧客の課題を確認する中で、どういった解決策の可能性があるのかを確認していく必要があるためです。インタビューを通して現在検討中の解決方法(ソリューション仮説)を検証していきましょう。
想定時間と優先度を記載
インタビュー項目の作成が終わると次に想定時間と優先度を入れます。インタビューは基本的には、1回30分程度と考えていただき、それ以上にならないよう組み立てます。それぞれのインタビュー項目に対して相手の回答とともにどのくらいの時間になるのかを記入しましょう。
インタビュー項目すべて合わせて30分で収まることが理想ですが、時間を超えてしまうケースがことが多いです。インタビュー項目に対して、課題を検証するために必要な順に優先度をつけ、インタビューを目標の30分に収められるように設計しましょう。
優先度「高」のみで想定時間に収まっているか確認する
優先度を割り振った後、必要最低限の時間がどの程度のインタビュー時間になるのかを確認します。このとき、割り振った優先度(高 / 中 / 低)に対して、優先度高だけの時間で見積もりし、バッファ(10分程度)を設けて確認します。優先度高だけをインタビューした場合に検証が可能なように計画することがポイントです。実際にインタビューを行う際に時間が余ったり、インタビュー中に聞けそうなタイミングがあれば優先度中や低の質問を聞いていきましょう。
先方が回答しやすい順番を決める
いきなり核心をついた質問は答えにくいものです。インタビューはアイスブレイクから始め、顧客が実際に課題だと思っている課題をヒアリングすることが大切であり、インタビュー項目を順にこなすことが目的ではありません。相手が聞きやすい順番でインタビュー項目を作り、その上でさらに臨機応変に質問順序を調整していきましょう。
インタビュー項目とサマリの掲載例
大項目 | 中項目 | No | 優先度 | 想定時間(min) | 質問内容 | 仮説 |
プロフィール把握 | 年齢、居住地、家族構成等 | 1 | 高、中、低 | 1-5分等 | あなたの年齢は? | |
課題の特定 | 課題の深さ、頻度、広さ | 2 | 例)家事のどのようなところが辛いか | |||
代替手段の把握 | 過去解決した方法、代替手段の内容や価格 | 3 | 今まで解決しようとしたこはあるか、それはどのような方法か | |||
ソリューション紹介 | 解決方法案を紹介 | 4 | 解決方法を紹介 | |||
提供価値の検証 | 課題との適合性の確認 | 5 | 解決方法は課題を解決できるか | |||
MVPの検証 | 必須の機能、不要な機能 | 6 | 解決方法で必要な機能、不要な機能はあるか | |||
価格の検証 | 利用意向、最大で払える価格、妥当な価格 | 7 | 解決方法にどのくらいのお金を支払えるか |
チェックの仕方
- 実際にメンバーや身近な友人対してインタビューを実施して、言い回しや時間に問題がないか確認する
- インタビュー項目の結果、どのような結果になるかイメージしてみる
以下の良くない事例に当てはまる部分があれば修正します。
- 質問が具体的でなく、回答しづらい、具体的な回答が得られない
- 仮説がなく、得られた回答を受け止めるだけになっている(深堀りできない)
- 時間が足りない
- 質問の優先順位がない
インタビューの実践
注意点
- 時間はオーバーしてしまうかもしれないので、後の予定は必ず相手に聞く。また時計は必ず用意する
- インタビュー項目を順番で質問するのではなく、こちらの仮説の概要を説明しながら自然な流れでインタビューしていく
- 大局観を持って質問する。全体を通してどういった課題が根幹にあるかを確認し、主観などを排除していきながらインタビューしていく
- 他の回答と異なるところ、気になるところに関しては深堀りしていく
- わかったフリをせず、わからないことは些細なことでも必ず確認する
- 先方は課題を解決してくれるのではないかと考えているので、一方的な質問とならないようにする
実施手順
- アイスブレイク
- 今回のインタビューに対する概要・背景の説明
- 自然な流れで優先度高からインタビュー実施
- ソリューションの説明
- 先方からのQAには丁寧に対応
- 残りのインタビュー項目を確認、時間があれば実施
- インタビュー項目が全部確認できていないのに、時間が来たときは延長が可能か確認
- 忙しい中、協力頂いたところをお礼し、クロージング
- 御礼メールの送付
時間内で聞けなかった場合は、メールで再度確認させてもらえるか確認しましょう。
チェックポイント
- 回答内容は具体的か
- 回答内容の前提条件(なぜその回答になっているのか)は把握/記入しているか
- インタビュー結果から追加で必要な質問項目はないか
Badケース
- インタビュー項目をこなすことに注力し、課題の仮説検証ができていない
- インタビューを集めた結果、質問した項目だけでは示唆が出せず追加でインタビューが必要になる
インタビュー結果のまとめ
注意点
- インタビュー項目は常にアップデートが必要
- 一つのインタビュー結果にこだわらず複数のインタビュー結果を元に客観的に判断する
実施手順
1.インタビュー結果を元にインタビュー項目をブラッシュアップ
- 質問の内容が伝わりにくい場合には質問内容チューニングする
- 複数のインタビュー相手から出てきた回答が同じようなものは質問の優先度を下げる
- 仮説と回答内容が異なる場合には質問項目を変更する
2.インタビュー結果をサマリに記載
- インタビュー結果の共通していること、していないことを抽象化して明確にする
- 共通していないことだけで顧客セグメントを分けてみる
- N=1(1人からしか聞けなかった内容)でも貴重な示唆として特記事項として残す
チェックポイント
- 客観的なサマリになっているか
- N数(サンプル数)が少ないなどの情報がサマリに記載されているか
まとめ
いかがでしたか?CPFフェーズの顧客インタビューは事前の準備と実施後ブラッシュアップでPDCAを回しながら実施していくことが重要です。ぜひ本記事を参考にして、PSFフェーズやPMFフェーズでのインタビューも実施してみてください。
Facebookページから
最新情報をお届け
記事のアップデート情報や新規情報はFacebookページで随時配信されております。
気になる方は「いいね!」をお願いいたします。
新規事業・イノベーションガイドブック

4,000社、20,000の事業開発で得た新規事業立ち上げのノウハウを一部無料公開。
<本資料の主な解説事項>なぜ今、新規事業やイノベーションが必要なのか?
新規事業開発は、なぜうまくいかないのか

