2023.11.21

「マテリアリティ分析」企業の重要課題とは?

「マテリアリティ分析」企業の重要課題とは?

企業にとって解決するべき課題とは何でしょうか?

各社それぞれに課題はあると思いますが、「今」取り組むべきものが明確になっているでしょうか?今回は企業の重要課題を発見することのできる「マテリアリティ分析」についてご紹介します。

「マテリアリティ分析」企業の重要課題とは?

マテリアリティ分析とは?

マテリアリティは、日本語で「重要性」という意味を指します。また、ビジネスの現場における意味としては、自社に関わる「重要課題」のことを指します。つまり、マテリアリティ分析とは、企業にとって重要な課題を発見するためのフレームワークです。

企業の活動によって社会課題へどの程度影響を及ぼすか、「企業として各課題をどの程度重要と認識しているか」を優先順位をつけて分かりやすく示すものになります。しかし、ここで大切なことは「何を重要にするか」は人それぞれであるため、重要性を判断する「主体」と「視点」が必要になります。

「マテリアリティ」が重要度を増す背景

そもそも企業がマテリアリティという言葉を最初に使ったのは、財務報告のためです。ある情報を、報告書に掲載するかしないかの判断軸としてマテリアリティが存在していました。それが時代の変化とともに、財務指標ではなく非財務指標、つまり、CSRやサステナビリティの取り組みに対しも用いられるようになってきています。

その要因としては、企業の長期的経営にとって、財務的な側面だけでなく非財務指標が重要だという認識が広まったことにあります。言わば、現代のビジネスシーンにおいて、非財務指標への無関心は企業の長期的な経営リスクであるということを意味しています。マテリアリティが注目を集めるのは、企業にとっての「経済的価値」と「社会的価値」を統合させようという感覚が、広く浸透した結果だということができます。

「マテリアリティ分析」の目的

マテリアリティ分析の目的は大きく2つあります。

1つ目が、企業が行っているCSRやサステナビリティの取り組みを、外部に向けてわかりやすく発信するという目的です。前述したように、企業の長期的経営にとって、財務的な側面だけでなく非財務指標が重要だという認識が広まっています。ステークホルダーたちも同じように、企業の非財務指標への関心を集めています。

ただ「儲ければいい」という考えだけで、ステークホルダーを動かすのは難しくなっています。長い目で見て、安定的な経営を目指すには、「どんな課題に関心を抱き、その解決のために具体的に何を行っているのか?」を公表することで、ステークホルダーに関心を抱いてもらう必要あります。非経済指標への無関心は、長期的に見ると、企業にとって大きなリスクでしかないのです。

2つ目は、マテリアリティの設定をすることで、自社の特徴を再認識できるという利点があります。どのような企業文化があり、どんな長所・短所を改めて理解することができれば、この先どう進んでいくべきなのかを、見直す機会になります。

企業を長期的に経営していくために、重要なのは投資家だけではありません。幅広いステークホルダーが求める情報を積極的に開示することで、信頼関係を深めていくことが大切です。

マテリアリティ分析のプロセス

①経営レベルでのコミットメントと社内での意思表明

まず、企業価値を向上させるために解決すべき課題、または企業の価値が低下するリスクを低減するような課題を特定し、自社のマテリアリティとして設定します。それを企業戦略に組み込み、全社を挙げて取り組んでいくということを、経営層がきちんと決定することが求められます。

②課題の抽出

課題抽のステップでは、自社に関連する課題を幅広く抽出することが求められます。この時点では、どの課題が企業価値の向上に関係するか、どの課題がより重要かについて配慮する必要はありません。ステークスホルダーの立場から、彼らの関心や期待が何なのかを考慮してみると、普段の企業活動の中では発見することのできない課題が創出することがあります。

③課題のマッピング

次に、課題の優先度を決定します。企業にとってのマテリアリティを横軸、ステークホルダーにとってのマテリアリティを縦軸とした場合、抽出した課題はどのあたりに位置するのかをマッピングしていきます。

④特定したマテリアリティの管理

KPIの設定

まず初めに、企業がマテリアリティにどのようなアプローチで対応し、目指すべき未来像を明らかにする必要があります。それを踏まえ、KPIと評価方法を設定します。

体制整備

次に、その目標を達成するためのマネジメント方法や方針を決定します。特定した重要課題に紐づくKPI・目標等の達成には、担当部署の明確化等が不可欠です。責任をもって担当する部署を特定し、体制を整備します。この時、評価方法を決定するだけでなく、その成果について、責任者のインセンティブやパフォーマンス評価に紐づけると取り組みがより進みやすくなります。

⑤フィードバックの収集とマテリアリティの再検討

投資家をはじめとしたさまざまなステークホルダーからのフィードバックを得ることで、それを分析し、再度自社の企業価値の向上及び低減の観点から整理したうえで、必要があれば、マテリアリティ自体や開示指標などの見直しを行っていきます。

ある課題がマテリアルであるどうかは常に変化しています。外部との対話を通して、常に軌道修正していく必要があります。

SDGsとマテリアリティ分析

SDGsとは(Sustainable Development Goals)の略称であり、日本語で持続可能な開発目標」 と訳されます。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、17のゴール・169のターゲットから構成された国際目標です。

ビジネスの現場では、現在、一部の企業がSDGsへの対応を始めています。しかし、まだ十分な対応とは言い切れないので、これから企業のSDGs対応が本格化していくことになるでしょう。ここではマテリアリティ分析を用いてSDGsに対応した企業戦略を設定している企業であるキャノンの事例をご紹介します。

キャノンではマテリアリティとして、「新たな価値創造」、「社会課題の解決地球環境の保護・保全」、「人と社会への配慮」の3つを設定しています。

キャノンではマテリアリティを策定するまでに、以下、3つのプロセスを実施しました。

候補となる項目の抽出

これまでの自社の取り組みと中長期経営計画に沿った事業活動を国際ガイドラインに照らし合わせてキャノンが取り組むべき65項目を抽出

ステークホルダーアンケート調査

ステークホルダーが関心をもつ社会課題やキャノンに期待する内容を把握するために、アンケート調査を実施。この結果を基に、マテリアリティの妥当性の確認・再検討を行います。また、持続可能な開発目標(SDGs)についても、ステークホルダーの意見を聞いて活動に反映させています。

マテリアリティの特定

キャノンはさまざまな事業を通じてSDGsの達成に貢献しています。アンケートをもとに把握した各SDGsに対するステークホルダーの期待と、特定した3つのマテリアリティを踏まえキャノンとの関連性を整理すると以下のようになります。

出典:キャノン 企業サイト

アンケートの結果から、主に「地球環境の保護・保全に関わるテーマ」に対するステークホルダーの期待が高まっていることが明らかになりました。これらに対する具体的な取り組みとして、「省エネルギー化の促進/ 再生可能エネルギーの活用」「使用済み製品のリユース・リサイクル」「廃棄物の削減/水域、土壌の汚染防止」の3つに取り組んでいます。

まとめ

今回は企業にとってのマテリアリティ分析についてご紹介しました。また、SDGsは企業マテリアリティを特定しようとする際の重要な指標の一つです。

キャノンのように、マテリアリティ分析を行う際には、企業価値への影響が大きく、ステークホルダーの関心も高い課題を選ぶことが求められます。今後、さらに持続可能な社会への関心が高まって聞くことが予想されます。体裁のいい取り組みではなく、自社事業にとってのマテリアリティをきちんと特定し、全社を挙げて行動していくことが企業に求められるでしょう。

参考文献】

トークンエクスプレス「マテリアリティ(重要性)とは?企業価値向上にマテリアルな課題を見つける方法」
https://token-express.com/magazine/materiality/#reference

キャノン「マテリアリティとSDGs」
https://global.canon/ja/csr/sdgs/index.html 

DIC株式会社「マテリアリティの分析」
https://www.dic-global.com/ja/csr/philosophy/materiality.html

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