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2018.7.30

デザイン思考はなぜ注目されているのか?

デザイン思考はなぜ注目されているのか?

経営やマーケティングなど、あらゆるビジネスシーンにおいて活用されている「デザイン思考」。アメリカのデザインコンサルティングファーム・IDEO社によって提唱され、スタンフォード大学d.schoolを中心に実践されており、近年特に注目を集めています。今回はそんなデザイン思考について詳しく解説していきます。

※弊社Relicではデザイン思考を活用し、企業のビジネス課題を解決するご支援をしております。
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デザイン思考とは?

Wikipediaによると、デザイン思考は以下のように定義されています。

デザイン思考(でざいんしこう、Design thinking)とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である。

しかし、これだけではアバウトすぎて一体どのようなものなのか分かりません。

具体的に言うと、人々(ユーザー)のニーズを観察した上で課題を設定し、人間中心のアイデアを生み出していきます。そのアイデアをもとに身近にあるもので試作し、実際にユーザーに対してテストを行いながらトライアンドエラーを繰り返していくことで、新しい製品やサービスを生み出し課題解決につなげていくというものです。

デザイン思考には、具体的に以下の5つのプロセスが必要となります。

共感(Empathize)

イノベーションを起こすためには、まずユーザーを理解し、彼らの生活に関心を持たなければなりません。ユーザーがどのように行動するのか、身体的および感情的なニーズは何か、世界をどのように考えているのかなど、彼らにとって有意義なものとは何かを理解する必要があります。

問題定義(Define)

デザイン領域において着眼点を定め、優れた解決策を生むきっかけをつくるステップに当たります。街頭インタビューを行い、その結果を会社に持ち帰ってチーム内で共有するといったイメージです。

創造(Ideate)

ユーザーのニーズを観察した上で課題を設定し、定義された目的や方向性を実現するためのアイデアを多量に生産するプロセスです。この段階では、ブレインストーミングやアイデア創出技法が活用され、質よりも量を重視し、考えられるさまざまなアイデアを創造します。

試作(Prototype)

アイデアの価値を確認するために、必要最低限の機能だけを備えた試作を素早く製作していきます。試作なので、紙コップやダンボールなど、身近にある簡単なもので作っても構いません。

テスト(Test)

プロトタイプの段階で製作した試作品を、実際に市場へ投入し、ユーザーからのフィードバックを受け改善していくのがテストです。改善の度合いはさまざまですが、妥協をいとわず大幅な方向転換をしなければならない可能性もあります。


デザイン思考は上記5つのプロセスが必要となりますが、実際には創造、試作、テストのプロセスを何度も繰り返し行います。そうすることで解決策を洗練させることができ、イノベーションへとつながっていきます。

デザイン思考が注目されている理由

では、こうしたデザイン思考が近年特に注目されている理由について見てみましょう。

ニーズの多様化

消費社会の成熟に伴い、近頃ユーザーのニーズはますます多様化しています。従来、新たな製品やサービスを生み出す場面では、マーケティングリサーチが重要視されてきました。市場やニーズについて調査した結果から仮説を立て、それをもとに製品やサービスの開発を行ってきました。

しかし、ニーズが多様化し変化の激しい昨今において、こうした仮説検証型でのマーケティングは難しくなっており、ユーザーが抱えている問題の本質を捉えることが難しいケースが多発しています。そうした、変化の激しい環境の中で、仮説・プロトタイプ・検証をスピーディーなサイクルで回せるデザイン思考が求められています。

第4次産業革命

AIやIoT、ロボットなど、最近では製造業を自動化する動きが見られます。これを一般的に「第4次産業革命」と呼び、工場の生産性や効率性をアップさせるためのものです。そのような変化の中で、これまでの価値観に捉われない課題解決方法が求められ、これからの社会では自らが課題を設定し、市場を生み出さなければビジネスにはつながりません。そうしたことから、イノベーション創出に長けたデザイン思考が必要とされています。

オープンイノベーション時代

デザイン思考とパラレルで注目されているのが「オープンイノベーション」です。内部だけでなく自社外の組織メンバーやユーザーとのコラボレーションを通じて、新たな製品やサービスを創出していくオープンイノベーションでは、ネットやSNSの普及により、時間や場所、コストをかけることなくさまざまなコミュニケーションが可能となり、新たなイノベーションを生み出す機会が増えています。

自社の技術だけでなく、多様なアイデアを取り入れながら創出していくスタイルは、デザイン思考のプロセス中に行われる”アイデアの量産”につながります。それぞれのもつアイデアの強みを組み合わせて革新的な製品やサービスを開発していくことは、両者の共通項と言えるため、オープンイノベーション時代が進むにつれ、デザイン思考も必要不可欠な存在となりうるでしょう。

デザイン思考の効果

新しい発想が生み出せる

デザイン思考を活用する最大の効果は、イノベーションの創出であることです。人間中心設計の考え方であるデザイン思考では、これまでの延長線上ではなく今まで以上に新しいアイデアを生み出すことができ、市場中心のアプローチではなく、人々のニーズから課題の本質を見極めることができます。

強力なチームを作れる

デザイン思考は人間中心でアイデアを生み出しているため、チーム内のコミュニケーションはとても重視されます。試行錯誤するプロセスにおいて全員が発言権を持つことができ、アイデアの重要度も平等に扱われます。そのため、メンバーの役職や上下関係に左右されない意思決定を行うことにより、積極的なアイデア創出にも着手できるのです。

デザイン思考の活用事例

ここでは、実際にデザイン思考を活用した企業事例について紹介します。

Wii

2006年に発売された任天堂の「Wii」は、デザイン思考のプロセスを経て開発された家庭用ゲーム機です。Wiiを開発するにあたり、任天堂の社員たちは以下のようなさまざまなステップを踏みました。

まず、自社の社員たちの家庭について調査したところ、「ゲーム機は親子関係を悪化させる」「子どものリビング滞在時間が短くなる」といったマイナス的な結果が浮上。それらをもとに、「家族で楽しむことができ、かつ親子関係を良くするゲーム機の開発」といった方向性に定め、開発チームは「家族みんなで楽しめるゲーム機」「リビングで場所を取らないコンパクトな設計」など、方向性に沿ったさまざまなアイデアを創出していきました。

こうした多くのアイデアをもとに少しずつWiiのモデルは完成していき、重さ・形状・機能性などを考慮しながら、延べ1,000回以上の試作を繰り返しました。こうして2006年12月に完成したWiiは、2017年6月時点で1億以上の販売台数を誇り、いまや国民的家庭用ゲーム機として知られています。

iPod

Apple社が販売している携帯型デジタル音楽プレイヤーの「iPod」も、デザイン思考のステップを踏んで開発に至りました。iPodは2001年に初期モデルが発売されて以来、現在までに5つのバリエーションが製造されています。

開発チームは、まずユーザーがどのように音楽を聴いているのか調査を行い、「CDからPCへ、そしてプレイヤーへ音楽データを移行することに手間を感じている」ことと、「どこにいても音楽が聴きたい」というニーズを合わせてキャッチ。それにより、「全ての音楽をポケットに入れて持ち運ぶ」というコンセプトが確立しました。

結果的にiPodとPCデータを自動で同期させるシステムや、円盤型のマウスによる画面操作といったアイデアが次々に生まれ、そのアイデアを盛り込んだ試作品を製作。当時のCEOを務めていたスティーブ・ジョブズは、そうしたアイデアの詰まった試作品に触れるたび、「もう少しコンパクトに」「音質をもっとシャープに」「メニュー表示を素早く」とさまざまな注文を下し、幾度も試作・テストが繰り返されました。こうして2001年10月に初代iPodは完成され、5年半で1億台を超える世界的大ヒットとなりました。

P&G

世界有数の消費財メーカーであるP&Gでもデザイン思考を取り入れることで成功を収めています。同社の電動歯ブラシの開発チームは、急速にデジタル化が進む時代の中で生き残るにはIoTが不可欠だと考え、上手に歯を磨けているか感知し、改善方法をアドバイスしてくれる機能、歯肉の敏感性の計測機能、音楽スピーカー機能などをつけた「技術中心のプロダクト」を構想していました。

しかし、外部のコンサルティング会社より助言を受け、「ユーザー中心のプロダクト」にする必要性に気づきました。その後、ユーザーが抱えている不満が「専用の充電器でしか充電できないこと」「換えのブラシを注文するのを忘れてしまうこと」であることを突き止め、「USBで充電可能」「本体のボタンを押すと、Bluetoothで本体と繋がるアプリ上で交換用ブラシのオーダーが自動的にリマインドされる」という機能を組み込むことで、不満をシンプルに解決するプロダクトとなり成功を収めたのです。

SONY

SONYでは、近年デザイン思考の考え方を取り入れて製品開発をしています。製品開発を担当するエンジニアだけでなく、デザイナーも製品のユーザー企業やユーザーが実際に製品を使用している現場に訪問し、観察やニーズのヒアリングをしているのです。このようなスタイルで開発した製品の1つが、2018年2月に発売した映画撮影用デジタルカメラ「VENICE(ベニス)」です。

映画撮影では、5人ほどのチームで1台のカメラを操作するのが一般的です。そこでSONYのデザイナーは、ハリウッドやロンドンなどの撮影現場に自ら訪れ、ユーザーへ細かいニーズをヒアリングし、現場での観察を通して「いつ、誰が、どのような操作するのか、どの場面でストレスがかかるのか」を把握しました。ユーザーのニーズに応え、できる限りユーザーのストレスを減らせるよう開発を進めていった成果が、ディスプレーの配置や操作性の高いキーレイアウトといったインターフェースです。映画製作に関わるクリエイターたちから「画質と使いやすさを高いレベルで両立している」と称賛を得るプロダクトとなりました。

Yahoo! JAPAN

日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」は、2013年からデザイン思考の全社展開を進めています。

企業規模の拡大に伴い、内部の事務処理に時間がかかるようになったことから、ユーザーファーストなサービスを作ることを目標に掲げました。ところが、何をすればユーザーファーストなサービスが実現できるのかという課題にぶつかりました。そんな中注目されたのが、ユーザー視点に立った新しい価値創出の手法であるデザイン思考だったのです。

デザイン思考を取り入れたいという社員向けに、デザイン思考にまつわるワークショップやセミナーを定期的に開催したところ、参加した社員が担当する案件で、実際にデザイン思考を取り入れるといったケースが報告されるようになったといいます。翌2014年1月には社内にワーキンググループが立ち上げられ、デザイン思考をファシリテーションできる人材の育成を進めるなど、全社的な取り組みへと発展するようになりました。

LINE

2011年6月からサービスが開始し、国内ユーザー数7,600万人以上を誇る「LINE」。

LINEでは、新サービスやゲーム開発などの際、想定されるユーザーの行動観察を目的に、複数のカメラが配置されたユーザーリサーチルームを設け、ユーザーの徹底した行動分析を行っています。新たに開発したゲームやサービスを想定ユーザーに試してもらい、実際の操作画面や表情などを観察、そこで発見されたユーザーニーズを素早くサービス改善に役立てているといいます。実践から改善までの一連の流れはまさに、デザイン思考的プロセスに値しています。

 

デザイン思考の導入を支援

現在、企業やプロジェクトにおいて、デザイン思考の導入を支援するものが増えています。

IDEO

「デザイン思考」という言葉が広く認知されるようになったのは、デザインコンサルティングファーム IDEOのCEOを務めるティム・ブラウン氏が提唱したことがきっかけと言われています。

IDEOは1991年に設立され、以来世の中の問題点や課題を明確にし、そこに対して本質的な解決方法を見つけていけるデザインの考え方をベースに、企業のデザイン思考やクリエイティブな問題解決能力の向上を支援しています。

東京工業大学

2015年度より、東京工業大学では「エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)」というPBL(Project-Based-Learning)型の授業を開講しています。

協力企業と教員チームが策定したテーマに基づいて、チームで課題を発見し、解決手法をエンジニアリングの手法を通じでプロトタイプで提案する授業です。テーマに基づいて、デザイン思考の「共感」「問題定義」「発想」「プロトタイプ」「実験」のサイクルを回しながら、問題の核心に迫っていきます。この授業では最終的に、「ユーザー体験」に対応するユーザーシナリオと「プロダクト」に対応するプロトタイプの実現を目指していきます。

Relic

弊社Relicでは、新規事業開発に関するワークショップを数多く開催しており、その1つとしてデザイン思考のワークショップを行っています。単なる知識伝達を目的とした講座ではなく、「共感」〜「実験」までのサイクルをグループワークを通じて、実践できるレベルまで理解を深められる体験型講座となっています。また、事後課題の出題やそのフィードバックなど万全のフォローアップ体制を構築しており、各企業さまに好評をいただいております。ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

さて、今回は今話題の「デザイン思考」について考察しました。

デザイン思考の際に行われる5つのステップ、共感・問題定義・創造・試作・テストを入念に実施することにより、世界的大ヒットを記録する製品やサービスが開発されることは多くあります。実際に上記で触れたWiiやiPodをはじめ、これまでデザイン思考を通じてヒットを遂げたプロダクトはさまざまです。多様化するニーズに対し、解決すべき問題は何なのかを見極め、できるだけ多くのアイデアを出すことで、新しい可能性やチャンスは無限にあります。

Relicではデザイン思考を活用し、企業のビジネス課題を解決するご支援をしております。
既存・新規事業のサービスデザインから開発、サービスグロースまで一気通貫でご支援いたします。
デザイン/開発の相談・お見積もりなどお困りのことがあればお問い合わせ窓口よりお気軽にご連絡ください。

引用

  1. なぜ今、デザイン思考が注目を集めているのか? – Build Insider
  2. デザイン思考 5 つのステップ
  3. 多様化する要求に合わせる!一人ひとりを大切にするOne to Oneマーケティングで顧客の心をつかみましょう
  4. デザイン思考の活用事例 – Build Insider
  5. ハード・ソフト販売実績
  6. iPodの累計販売台数、1億台を突破 – Apple (日本)
  7. RIETI – デザイン経営の実際 ―サムスン電子の成功事例から―
  8. iPodの累計販売台数、1億台を突破 – Apple (日本)
  9. RIETI – デザイン経営の実際 ―サムスン電子の成功事例から―

参考資料

https://www.slideshare.net/kashinotakanori/113-15017448

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