2023.12.22

サブスクリプションとは?定額制の意味やメリットを徹底解説

サブスクリプションとは?定額制の意味やメリットを徹底解説

今話題のサブスクリプションですが、成功しているサービスの陰には撤退したサービスがあります。今回はサブスクリプションの概要と、その事例についてまとめました。

サブスクリプションとは

サブスクリプション(subscription)とは、定額で一定期間内のサービスや製品の利用権を提供するモデルのことです。一般的には「〜し放題」または「一定期間ごとにお届け」のものが多く、その対象は多岐に渡っています。定期的に届けられる新聞や牛乳は、すでに多くの人の生活に定着しているサブスクリプションのひとつといえます。

消費者にとっては、以下のようなメリットがあります。

  • 比較的安い価格で利用できる(使うほどお得)
  • ライフスタイルの変化に応じていつでもやめられる
  • ものを所有しないで済むので保管コストがかからない
  • それ単体ではあえて選ばないものに手を伸ばせる

企業にとっても以下のようなメリットがあります。

  • 売上の上下を緩やかにできる
  • 高額な買いきりを敬遠する消費者に手に取ってもらえる
  • 顧客にスイッチングコストを与えて囲い込める、等のメリットがあります。

一方で、デメリットも存在します。

消費者にとっては

  • 不要なものも料金に含まれることがある
  • 使用しない間も料金がかかる
  • 契約を解除すると物が手元に残らない

企業にとっては

  • 競合他社との差別化が必要
  • 消費者がどのくらい利用するのかの正確な予測が必要
  • 買いきり商品の価値を損なう、

等のデメリットがあります。

では、どのようなサブスクリプションが成功するのでしょうか?過去の事例から紐解いてみましょう。

 ファッションアイテムのサブスクリプション

撤退【ZOZOお任せ定期便】

2018年2月にサービスを開始した「ZOZOお任せ定期便」。ユーザーが好みの傾向やサイズを登録することで、服や靴といったアイテムがコーディネートされて自宅まで届けられるサービスでした。しかし、約1年後の2019年3月にはサービス終了が発表されました。

ZOZOお任せ定期便は、自分で選ぶ手間がなく、届いた商品の中で気に入ったものがあればそのまま買い取ることができました。さらに、利用料が送料のみであることや、自分では買わないような商品も試すことができるのがメリットでした。一方で、サイズが合わない、こだわりに合致しない、といった意見もあったようです。サービス開始以前からZOZOを利用していた既存顧客の購入率がふるわず、サービス終了となってしまいました。

成功【メチャカリ】

2015年9月にサービスを開始した「メチャカリ」は、ZOZOと同様に商品が自宅に届けられるタイプの洋服サブスクリプションです。月額5800円と返却時手数料を支払うことで、制限なく何度でも利用することができます。

一見似ているようにも見えるサービスですが、ZOZOお任せ定期便とメチャカリの大きな違いは、その業態にあります。メチャカリを運営する株式会社ストライプインターナショナルは、製造小売業(SPA)と呼ばれる形態をとっており、生産から販売までを一手に担っています。その構造を最大限生かし原価や流通といったコストを抑えることで、収益を確保できたと考えられます。

さらに、既存の顧客と新規の顧客の重なりが少なかったというのもひとつの違いとして挙げられます。ZOZOは大まかな希望以外はお任せでアイテムが選ばれますが、メチャカリでは着たいものを自分でひとつひとつ選ぶ方式になっています。ファッションに興味があり、ある程度のこだわりがありながらも、何らかの理由(収納スペースの圧迫や買いに行く時間がない等)で購入に踏み切れなかった層をうまく取り込めたと考えられます。着実に会員数を確保してきたメチャカリは、今年度には広告費を除くと黒字化が見込まれているようです。

コーヒーのサブスクリプション

撤退【DRIPAPP】

イギリスで2014年に立ち上げられたコーヒーのサブスクリプション「DRIPAPP」は、会員数30,000人を超えるサービスでした。ロンドン市内の、特にスターバックスなどの大型チェーン店を除く地元密着型のカフェ150店舗で利用可能でした。例えば「fancy」プランでは、日本円で約3000円を支払うことで10杯のラテなどを飲むことができ、ロンドンにおいてはお得と言える価格設定です。

しかし、2年後の2016年11月には人材と資金の不足を理由に事業の中止を宣言しました。継続的に十分な利益を得られなかったと考えられます。

成功【COFFEE MAFIA】

西新宿に2016年10月にオープンした「COFFEE MAFIA」は、数種類の会員定額プランを設定しています。例えば、月額3000円の定額プランでは、通常300円のラージサイズのコーヒーを毎日1杯無料で飲むことができます。月間の平均利用回数は22回であるといい、単純計算で1杯約140円です。日本のチェーン店では安くても200〜300円以上のものが主流であることを考えると、かなり安価で提供されていることがわかります。

COFFEE MAFIAは定額制が破格の価格設定であり、まだ十分に利益を得られているといった状況ではないと推測されます。しかし、COFFEE MAFIAはそれを徹底的な顧客情報の活用により克服しようとしています。時間帯ごとの来客数を推定したり、把握した顧客属性を新メニューの開発に繋げています。また、定額制により来店回数を増やすことにより、ついで買いを誘発することができると考えられます。

現在、DRIPAPPと比較して、COFFEE MAFIAは店舗数が3店舗(2019年10月時点)とかなり少なくなっています。これは、DRIPAPPが個人経営のカフェそれぞれと契約して提供されていたサービスであるのとは異なり、そもそもサブスクリプションをメインに据えて開店したコーヒーショップであるということが理由です。その特化した業態が、需要に柔軟に対応するための鍵になるのかもしれません。

スーツのサブスクリプション

撤退【suitsbox】

2018年4月にサービスを開始した「suitsbox」は、月額を支払うことで毎月スーツを交換できるサービスです。例えば「スタンダードプラン」では、月額1万5,800円でスーツ2着、シャツ3枚、ネクタイ2本がセットで届けられます。返却の際も面倒なクリーニングが不要で、保管場所を取らないことを強みに、スーツにコストを払うことに抵抗を感じる20〜30歳の層をターゲットにしていました。

スーツ関連大手のAOKIホールディングスにより提供されていたこともあり注目を集めていましたが、およそ半年後の2018年11月にはサービス終了という結果になってしまいました。

成功【着ルダケ】

2018年7月にサービスを開始した「着ルダケ」は、suitsboxと同様に月額料金を支払うことでスーツを利用できるサービスです。suitsboxとは異なり、半年ごとに季節のスーツが届きます。春夏用、秋冬用それぞれ2回分は同じスーツを着用し、2年サイクルで新しいスーツに交換されます。「スタートアッププラン」では、月額6,800円でスーツ2着×2シーズン分、シャツ5枚、ネクタイ3本が届けられます。

ほぼ同時期にサービスを開始したsuitsboxと着ルダケですが、その明暗は大きく分かれることになりました。その最大の理由のひとつとして流通・保管コストがあげられます。前述の通りsuitsboxは毎月無料でスーツの交換が可能でした。さらに、スーツ関連品大手であることを生かし、商品数を増やしていました。つまり、毎月多くのアイテムを配送し、クリーニングし、保管するコストが必要になっていたということです。一方の着ルダケはアイテム数が限られている他、半年ごとの配送で済むため種々のコストが大幅に抑えられているといえます。

さらに、在庫コストがかさむAOKIでは、月額料金が着ルダケと比較してかなり高く設定されていました。色々なアイテムを利用可能だったとはいえ、スーツにコストをかけたくない層が二の足を踏む額であったと考えられます。さらに、客層がスーツに興味のある既存の顧客と重なってしまったことで、店舗の売り上げも減少してしまった可能性もあるでしょう。

まとめ

サブスクリプション事業の成功・失敗例を見ることで、その傾向をざっくり感じていただけたと思います。トレンドに流されることなく、事業を提供する側も、利用する側も、賢くサブスクリプションと付き合って行きたいものです。

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