「バリュープロポジションキャンバス(VPC)」の提供価値とフレームワークの概要を解説
新規事業立案におけるアイディエーションで重要となるのが、サービスの提供価値と顧客のニーズを的確にすり合わせることです。しかし、この作業プロセスは構成要素が多く、やみくもに進めるのはあまり効率的ではありません。ここで役立つ有効なフレームワークが、「バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)」です。
本記事では、「バリュープロポジションキャンバス」の概要と作成手順を紹介します。
Contents
バリュープロポジションとは
まず、バリュープロポジションキャンバスを活用するために、バリュープロポジションについておさえておきましょう。
バリュープロポジションの定義
バリュープロポジションとは、「顧客への提供価値」のことです。
ここで言う「顧客への提供価値」とは、
- 顧客が望んでいるものに対して
- 競合他社が提供していない
- 自社が提供できる価値
を指しています。またそれは、「顧客が自社のサービスを選ぶ理由」でもあります。
バリュープロポジションの重要性
昨今では、どの業界でも競合が乱立し、製品・サービスの差別化を図ることが難しくなっています。これからは、顧客に選ばれるサービスを作るために「顧客目線」に立ちつつ、差別化を図っていく必要があります。
これまでのマーケティングは、企業主導、品質重視で行われてきましたが、企業の想定するサービスの価値と、顧客が求めているもの(ニーズ)の間にギャップがあったため、多くのムダが生じていました。
これらのことから、「バリュープロポジション」の考え方が重要になっています。特に新規事業を検討する際には、この考え方が大いに参考になるはずです。
バリュープロポジションキャンバスとは
次に、バリュープロポジションキャンバスについて説明します。
バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)は、自社の製品・サービスについて想定しているバリュープロポジション(顧客への提供価値)と顧客ニーズとのずれを明らかにできるフレームワークです。
既存事業の分析・見直し時はもちろん、新規事業立案におけるアイディエーションで活用するのに適しています。
出典:【コラム】バリュープロポジションキャンバス(VPC)の重要性と作り方、事例を解説
上の図のように、右側に「顧客セグメント」、左側に「顧客への提供価値」を配置し、両者の構成要素がどう対応しているか(どの程度対応できているか)、可視化することができます。
バリュープロポジションキャンバスの作り方
バリュープロポジションキャンバスの概要をつかんだところで、具体的な作成手順について確認しましょう。
ステップ1 誰に、どんな価値を提供するかを決める。
はじめに、誰に何(どんな価値)を提供するか明確にするため、
- Value Proposition:顧客への提供価値
- Customer Segment:顧客セグメント
を記載します。なるべくシンプルかつ分かりやすく表現してください。
ステップ2 顧客ニーズを明確にする
次に、顧客セグメント(Customer Segment)の各項目を記載していきます。
自社サービスありきを避け、顧客について正しく認識するために、必ず顧客セグメントから先に取り組むようにしましょう。
- Customer Job(s) :顧客が解決したい課題(欲求)
- Gains:顧客の利得(嬉しいこと)
- Pains :顧客の悩み(嫌なこと)
ステップ3 顧客に提供できる価値を明確にする
次に、顧客への提供価値(Value Proposition)の各項目を記載します。
- Products & Services:製品やサービス(名称)
- Gain Creators:顧客の利得をもたらすもの
- Pain Relievers:顧客の悩みを取り除くもの
ステップ4 顧客ニーズと提供価値が一致しているか確認する
顧客セグメントに記載された要素に対して、バリュープロポジションに書かれた要素が対応できているか確認します。
ズレがあった場合は、正しい認識を持ち、修正していくことでサービス改善に役立てると良いでしょう。
まとめ
バリュープロポジションとは、「顧客への提供価値」を指し、バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)は、自社の製品・サービスについて想定しているバリュープロポジションと顧客ニーズとのずれを明らかにできるフレームワークでした。
フレームワークを活用することで抜け漏れなく、客観的に分析することが可能となります。ぜひ、アイディエーションの際には、本記事を参考にバリュープロポジションキャンバスを作成してみてはいかがでしょうか。
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