オズボーンのチェックリストとは?
アイデアを思いついても、自分の意図とは異なった解釈をされてしまった。ユーザー体験のイメージが中々言葉だけでは伝わらない。そんな経験をしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?今回はこれらの課題を解決できる「ストーリーボード」という手法をご紹介します。
Contents
アイディエーションに活用できる「オズボーンのチェックリスト」とは?
オズボーンのチェックリストとは?
「オズボーンのチェックリスト」とは、アレックス・F・オズボーン氏によって考案された、ブレインストーミングによってアイデアを生み出すためのフレームワークのことを指します。異なる9つの視点(「転用」「応用」「変化」「拡大」「縮小」「代用」「再調整」「逆転」「結合」)から物事を考える思考方法のことで、たくさんのアイデアを考える時に役に立ちます。
つまり、この手法は今すでにある物事に改善・改良を加えることで、新たな価値を生み出すことができるかどうかを検討するフレームワークなのです。
オズボーンのチェックリストで使う9項目
この章では、先述した異なる9つの視点(「転用」「応用」「変化」「拡大」「縮小」「代用」「再調整」「逆転」「結合」)について詳しく見ていきます。
▼転用
オズボーンのチェックリストにおける「転用」とは、商品自体は変えずに、他分野や全く別の領域において活用することはできないかを考え、発想を広げる思考法になります。「別の使い方はないか」という視点を持ちながらチェックリストに回答することがポイントです。
<転用のアイデア例>
アイデア例としては、防犯カメラの技術を老人ホームなどにいる介護者の様子を見守るたのカメラに転用することや、今話題のリノベーションも空き家や古民家を改良して住めるようにするという点で転用の例として相応しいと考えられます。
▼応用
オズボーンのチェックリストにおける「応用」とは、他の分野の技術を活用し、新しい発想をする思考法です。他社の模倣をするのではなく、「異なる分野や他業種技術をどう応用すれば新しいもができるか」を考えるのがポイントです。
<応用のアイデア例>
有名な代表例として、スターバックスコーヒーのオペレーションシステムが挙げられます。スターバックスコーヒーは自社とはまったく違う分野であるTOYOTAの「トヨタ生産方式」を応用し、既存のオペレーションに改善しました。その結果、業務効率化に成功しました。
この例の他に、コウモリが持つ超音波の習性を応用して「自動車の追突防止機能」の開発に成功したこと。そして、AIの画像認識技術を応用し、製造業での検品作業の効率化に成功したことが挙げられます。
▼変更
オズボーンのチェックリストにおける「変更」とは、既存の商品の意味、色や形を変化させるといった方向で発想を広げる思考法です。同じ商品の場合でも、一部に修正・変更を加えることで新しい価値を生み出すことがあります。
<変更のアイデア例>
変更の事例として、ワークマンの作業服が挙げられるでしょう。最近ではSNSで「ワークマン女子」という投稿が増えています。元々は作業服であった商品の売り方を変更したことで新しい顧客の獲得に成功しました。
また、ネスレのキットカットは、「きっと受かる」とキットカットの名前を掛けて、願掛けのお菓子として売り方を変更したことでさらに売り上げを伸ばすことに成功しました。
▼拡大
オズボーンのチェックリストにおける「拡大」とは、既存の商品を大きくするといった方向で発想を広げる思考法になります。拡大する要素は、面積や重さ、商品の大きさやサービスの時間の長さ、他には高さ、強度などが挙げられます。
<拡大のアイデア例>
例として有名な取り組みは、大手コンビニチェーンの「セブンイレブン」の24時間営業です。セブンイレブンは営業時間を午前7時から午後11時までの営業形態から24時間営業に拡大しました。その結果、顧客獲得の機会が増加し、大きく事業を拡大することに成功しました。
他には軽自動車の収納スペースを拡大することで、ファミリー層向けの自動車として売り出したり、テーマパークの重条件を「年間パスポート」という形で販売することが挙げられます。
▼縮小
オズボーンのチェックリストにおける「縮小」とは、「拡大」とは逆で、既存の商品から機能を減少させ、サイズを小さくするといった方向で新しい発想を生み出す思考法です。他に縮小する要素は、「拡大」で挙げた面積や重量、時間、高さ、強度などになります。
<縮小のアイデア例>
縮小の例としては、高齢者が使いやすいように機能を縮小した「らくらくスマートフォン」を販売したり、通信量がそれほど必要のない人のために月1GBのプランを用意したりすることが挙げられます。また、ひとり焼肉やひとりカラオケのように人数をあえて縮小して店舗を展開するといった方法も挙げられます。
▼代用
オズボーンのチェックリストにおける「代用」とは、既存の商品を別の素材で代用する方法はないかといった視点で、発想を広げる思考法です。
<代用のアイデア例>
ビールの代用品として発泡酒を販売したり、肉の代わりに魚肉を使った魚肉ソーセージなどが代表的な例として挙げられます。他には、日本では法律上できないことになっていますが、Uberタクシーもタクシードライバーを一般人で代用するというアイデアのもと発想された事業であると考えられます。
▼再調整
オズボーンのチェックリストにおける「再調整」とは、要素を入れ替えてたり、他のパターンや配置、部品などを取り入れたりする方向で、発想を広げる思考法です。再編成する要素は、レイアウトや部品、順番、配置、パターン、時間などがあります。
<再調整のアイデア例>
飲食店での後払い決済を先払いの機械に置き換えることで人的コストを削減したり、図書館の勉強スペースにカフェを設置したりするなどが挙げられます。事業の再調整を検討することでコストの削減や新しい顧客の獲得につながる可能性があります。
▼逆転
オズボーンのチェックリストにおける「逆転」とは、既存の商品やサービスのメリットデメリットや順序、時間などを逆転させることで、発想を広げる思考法になります。
<逆転のアイデア例>
消せるボールペンは元々「インクが消えない」という良さがあったボールペンの発想を逆転させたものです。また、ナイトサファリは「動物園は昼間に行くもの」という考え方を逆転させたものになります。このように既存の考え方や物に囚われず逆転の発想を持つこともアイデアを出す上では重要になります。
▼結合
オズボーンのチェックリストにおける「結合」とは、違う要素を組み合わせることで、新しい発想を生み出す思考法です。
<結合のアイデア例>
代表的なものとしてiPhoneが挙げられます。元々はiPodという音楽再生機器であったものと携帯電話を結合させ完成したものになります。また、現在ではカメラ性能に力が入っており、携帯電話とカメラが結合した商品としても捉えることができます。
新規事業開発における「オズボーンのチェックリスト」の活用方法
1章で説明したように、「オズボーンのチェックリスト」は、今すでにある物事に改善・改良を加えることで、新たな価値を生み出すことができるかどうかを検討するフレームワークです。そして、ベンチマーク先の企業/戦略を分析するフェーズにおいては大きな力を発揮することのできるフレームワークです。
まずはアイデアの対象を設定する必要があります。例えば、海外の事業をベンチマークした場合、国内に導入する際はどのようなピボットが必要であるかを考えるとします。その後、オズボーンのチェックリストに当てはめて考え、アイデアを発想していきます。
「ベンチマーク先の事業を縮小させれば日本に導入することができるかどうか」を検討したり、「自社の持つ資源とベンチマーク先の事業の良さを結合した場合、シナジーは発生するか」などを検討することができます。
個別のアイデアでは実現不可能な内容だとしても、その他のアイデアと組み合わせることで、優れたアイデアに進化することも考えられます。オズボーンのチェックリストを使えば、思いも寄らなかったアイデアが手に入る可能性があるでしょう。
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